外伝49話 動き出すデモニュクス帝国・魔族連合国編 4

 アースティア歴1000年・西暦2030年・5月10日・午前10時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・東南アジア地方・アセアン加盟諸国・タイ王国・首都バンコク市・三葉商事株式会社系列傘下会社・ジョージア総合商事株式会社・バンコク本社(元支社)にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 デモニュクス帝国・魔族連合国から、日本国の様子を探る諜報活動を親友でもある魔皇帝ヘレナに頼まれ、遥々地球人勢力圏内へとやって来た者達が居た。



 その者達とは、デモニュクス帝国・魔族連合国内でも、上位の地位に位置して居るエルザとリリエの二人の含む、吸血鬼族とサキュバス族のチームで編成された6名から成る秘密諜報部隊である。



 彼女達は、独自の変身能力や魔法を駆使して、白人系アメリカ人のOL女性と入れ替わり、その姿と身分の人物に成り済ましてから、今日で4日の日数が経過して居た。


 

 タイ王国の首都バンコク市に入り込んで以来、彼女達は入れ替わった人物が有して居た記憶知識内にある技能知識を活かしつつ、ボロが出ない様に互いをサポートし合ってジョージア総合商事株式会社の第一営業部の第4班営業課の仕事を見事にこなして居た。



 サキュバス族の子達が、やや、ルーズで、時々ボロが出そうには成るが、有能な吸血鬼族の子達が、サキュバスたちのフォローする事で、会社内での不信感と成る事態と言うのは、辛うじて防がれて居た。



 そんな日々過ごしているエルザ達は、次なる行動に出ようとして居たが、とある事情からチョットだけ足止めを喰らって居た。


 足止めと成って困って居る原因に関しては、肝心の日本国へと行く方法の手段が、これと言う手立てが見つからないままに、とうとう煮詰まって居る状態に陥って居たからだった。


 単純に日本に行くだけなら簡単だ。空港から飛行機に乗り込んで行けば良いだけだ。


 だが、それでダメなのだ。


 擬態変身して居る姿は借り物で、借りて居る姿の女性達には、それぞれ生活と戸籍と仕事が有るからだ。


 それらをエルザ達の都合だけで、ぶち壊して良い理由には成らない。


 そんな理由から、足止めを喰らう羽目と成ってしまって居るのだった。



 要は6人分の日本人の成人女性を如何にして、纏めて手にするかだった。


 だがしかし、エルザ達が思って居たよりも、タイには日本人が多く居て、其処で働いて居る人も多く居た。


 しかしながら、ただ単に帰国するだけの人物を探すと成ると、話は別だった。


 エルザ達が調べて行く内に判った事だが、何れの日本人は、このタイ王国に進出して来て居る日系企業の家族で、旦那さんに付いて来て居る奥さんとその娘を含めたお子さんたちが暮らして居るのだが、家族構成と家庭事情が、それぞれがバラバラな上に、条件に見合う人物が居なかった。



 転移災害の影響で、観光で来て居る日本人も少なく、ツアー客すら居ない、この状況下で、集団で帰国予定する6名もの日本人女性を探す事は、非常に困難を極めていた。



 それに擬態変身は、自分達の背格好や見た目の年齢から離れすぎると擬態変身が出来ないと言う欠点も抱えて居た。


 詰まり、15歳以下の未成年や児童、40歳くらいの年齢で、老け過ぎている姿には擬態が出来ない条件と成って居るのだった。


 そんな理由から、このタイのバンコクで、如何やって日本へと行くのかを彼女達は悩んで居たのである。


「・・・・・・」


「やっぱり、アメリカのハワイとか言う島へと向かわないと、ダメ?」


 リリエは、ジョージア総合商事株式会社の女子社員寮内に在るエルザが間借りした姿であるエリーの部屋にやって来て、パソコンでインターネットを見ながら悩んで居るエルザに声を掛けた。


「それは・・・・一つ手ですわ。」


「ですが、今のアメリカ合衆国と言うのは、この世界に来る前の・・・転移前の超大国では無く、単に軍隊の多いだけの島国に過ぎないのですのよ。」


「行ったとしても、此処とは状況が変わらず、また日本人女性を探すには苦労するでしょうし、もう一つの手段であるアメリカ軍に潜り込むと言う、手に訴えるのも危険ですもの。」


「例えハワイのアメリカ軍基地で、女性兵士に成りすまして、在日米軍基地を経由するのが、今は手っ取り早い方法とは言えますが、これは大変に危険を伴う賭けですし、その擬態基と成る女性兵士が所属すると言う相手は、この世界に転移して来たアメリカと言う超大国の一部に過ぎないとは言え、この世界の水準で言えば十分過ぎるほどに大国ですの。」


「日本国とは、国家としての法も国体制度も、根本的に違いますわ。万が一にも私達の正体が、バレたら事ですの。」


「でも、それ以外だと・・・・・・」


「ですわね・・・・・・・」


「せめて飛行機と言う乗り物で、簡単に全員で飛んで行ければ良かったのに・・・・・・・」


 リリエの最後の何気ない一言に、頭を抱えて悩んで居たエルザは、暫し思考が停止する。


「はっ!?それですわっ!!」


 エルザは、ハッと何かに気が付いたらしい。


「ええっ?!何々っ!?何かを思い付いたのっ!?」


「ええ、リリエは、初めて飛行機に乗った時の事を覚えてますわよね?」


「うん。凄かったね。魔導空挺艦よりも、バビューンって、遠くに物凄い速さで飛んで行けるんだもの。」


「その時に沢山の女性たちが、お客として乗って居た乗客に対して、非常に便利な接客サービスをしてくれて居ましたわね。」


「ああっ!?そっか、その手が有ったね。」


「ええ、此処に来るまでの飛行機は、このタイ王国系列の航空会社だったので、当然の事ながら、行き帰りの到着先であり、経営者国を本拠を置くタイ人経営者が雇って居るタイ人女性が、お客への接客サービスをして居ましたわ。」


「日本の飛行機を運航して居るなら、当然ことながら、日本人経営者に雇われて居る日本人女性が、客室乗務員をして居る筈だよねっ!」


「ええ、盲点でしたけど、これなら怪しまれずに日本へと潜入が出きますわ。」


 思わぬ奇抜なアイデアからエルザ達は、日本国の航空機運航会社で、客室乗務員をして居る日本人女性達を襲って、その姿を装おいながら、目的地である日本国へと潜入する計画を打ち立てる事に成った。



 それから2日掛けて入念な下調べと日本へと向かう為に使う航空機運航会社を選定し、間借りする女性達の姿の入手先は日本国内でも最大手の航空機運航会社である大日本航空機株式会社に勤める客室乗務員をして居る女性達と決めた。



 アースティア歴1000年・西暦2030年・5月12日・午後19時15分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・東南アジア地方・アセアン加盟諸国・タイ王国・首都バンコク市・バンコク市内・大日本航空機株式会社バンコク支店・女子専用宿泊所にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 エルザ達は、その日のジョージア総合商事株式会社・バンコク本社での勤務を定時で上がり、急いで社員寮へと戻り、それぞれ間借りして居た女達を解放した。


 解放した際に、元の姿を基にした人間の姿へと変身し、日本で必要な最低限の衣服を前もって買って居た物を皮制のカバンしまい込み。


 それらを魔法の子袋と言う、この世界の旅道具の一つでもあ在る魔道具にしまって更に手荷物を身軽する。


 因みに魔族領から着て来て居た旅行に必要な物や異世界の貨幣や金品に衣服や下着などは、全て魔法の子袋にしまってあるのだ。



 普段着や下着に鞄を別に用意するのは、向こうでも普段使いする物が必要だったからだ。


 準備を整えた6人は、ジョージア総合商事株式会社の女子社員寮を後にして、ホームページで紹介されて居た、大日本航空機株式会社バンコク支店の女子専用宿泊所へと向かった。



 大日本航空機株式会社バンコク支店とは、大日本航空機株式会社が、タイ王国と日本国を行き来する為に設けた支店の事で、その業務には、タイ側の受付業務や営業。


 往来する社員達の寝床や勤務の管理等々と言った物と成って居る。


 その福利厚生の一環と業務上の都合から、バンコク支店には、男子専用宿泊所と女子専用宿泊所と言う社員寮を兼ねた宿直寮が、支店と空港近くの敷地に建てられて居る。



 彼女達は出発前に念入りに偵察をする為に、2日ほど透明化魔法のイリュージョンを使って、大日本航空機株式会社バンコク支店に潜り込み、入念な下調べをして置いた。


 その下調べの結果、丁度良い事に、次の日の13日に、日本行きの航空便で折り返し飛行する旅客機に乗る32歳の客室乗務員のリーダーをして居る野田絵里子と言う女性を含めた乗務員の勤務予定表の名簿を確認する事が出来ていた。


 

 それに合わせてエルザ達は、大日本航空機株式会社バンコク支店の女子専用宿泊所へと侵入する。


 その後のやる事は、実に簡単だった。


 部屋番号と何処に誰が居るのかは事前に知って居るし、後は誰が誰に成るか事前に決めて置き、それぞれが担当するその人物の居る部屋へと入り、背後から襲うだけだった。



「うふふっ、それでは頂きますわ。」


「あがっ!!」


 絵里子は宿泊部屋内で、音も無く近付いて来たエルザに首筋を背後から噛みつかれ、意識を失う。


 すると、今度のエルザの姿は、みるみるうちに日本人女性の姿へと変身して居たった。


 絵里子は、やや細めの背丈が160センチで、バストサイズも87センチと何れのボデイスタイルは控えめの女性だった。


 そして、彼女の仕事仲間のチーム内では、一番の年長で頼りがいのある年上に当たる女性でもあった。


「ふぅ、・・・・・日本人の女性の姿と言うのは、見た目が白人とか言う地球人とは違って、やや控えめなのですわね」


 以前の白人女性のエリーは、ボリューム感の在るボデイスタイルだったが、今度化けて見た絵里子の姿は、とても控えめなボデイスタイルだった。


 やや控えめなバストを触ったエルザは、普段から成れている大きく形と大きさが程よいサイズの美乳で有るバストが、しぼんで居る事に違和感を感じてしまって居た。



 他の部屋でもエルザと同じ様にして、日本人女性の姿を手に入れ、明日に備えてそれぞれは就寝に入った。



 そして、翌日。


 タイの国際空港であるスワンナプーム国際空港へと現れたエルザ達は、何食わぬ顔で日本行きの航空便である850便に乗り込んで行くのであった。

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