149話 移動要塞戦艦デストロイヤー再びっ!この泥沼な大紛争に、中二聖天使と雷帝の手で終止符をっ!1

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前10時26分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦・ローラーナ帝国軍・グリクス地方軍団・グリクス地方艦隊占領地・カントルナ砦にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 カントルナ砦を西から強襲しようと突き進むビダイン団長と彼が率いるアルガス騎兵団。



 その進軍速度は、正に神速と言うべき速さで目的地へと達しようとして居た。


 先のカントルナ砦の撤退戦では、レジェンダリア騎兵団千人が、敵に奇襲攻撃を仕掛けたので、アルガス騎兵団の十八番でもある騎兵による素早い騎兵戦術をする見せ場が無かった。


 また、騎兵団の指揮を取っているビダイン団長も、陣地防御では、流石に囮役と騎馬から降りての参戦だったので、本来の得意とする戦い方が全く出来ては居なかった。



 彼の見せ場と戦いは、これからであった。



 ナガシノ野戦陣地からカントルナ砦までは、馬で凡そ1時間ちょっと位である。



 それを40分程度まで縮めて見せるのは、彼の腕前の良さが伺えると言えた。


「カントルナ砦まで約6分です。」


「作戦予定では、恐らく既に石井殿の攻撃が始まって居る筈です。」


「我らは、その混乱に乗じて、燃やせる物は何でも放火して焼き尽くします。」


 騎馬の鞍には、皮袋が付けられ中には、100円から百数十円程度で購入出きるライターとチャッカ装置に加え、油が入っているペットボトルと松明器具が入っていた。


「任せて下さい団長。」


「ニホンの方々から、火打ち石を使わない道具を貸して貰って居ます。」


「壊れにくい容器に油を入れて持たせてくれました。絶対にやれます。」


「宜しい。ですが彼らばかりに世話に成ってばかりでは、我がアルガス公国騎士団の名折れでもある。」


「我々も違う形で、戦える底力を援軍たる自衛隊の方々に、見せて上げるのですっ!」


「「「「「「「おおおおぉぉぉぉーーーーーーっ!!!」」」」」」」


 疾風のゼータ・ビダインと諸国から証される彼に率いられた騎兵団は、間も無くカントルナ砦に到着し様としていた。


 

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前10時20分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦・ローラーナ帝国軍・グリクス地方軍団・グリクス地方艦隊占領地・カントルナ砦・カントルナ砦軍港近くにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 

  カントルナ砦軍港を目指して、疾風のゼータ・ビダインが率いる騎兵団の速さを超える船隊が、目的地に到着しようとして居た。



 石井三佐が率いるはやぶさ型ミサイル艇隊。この世界では神速と呼べる速さで航行していた。


 何せウォータージェット推進航行であるはやぶさの最大速度は、凡そ40ノットで、時速に換算すると大体72キロくらいにも成る速さ誇るのだ。


 そんな速さで航行するから、船内では安全ベルトを付けて居ないと、とても危険と言われて居る。



 スピードを落とさないと、船内をまともに歩く事すら叶わないのである。


 それなので、航行中は所定の立ち位置で動かないまま仕事をして居るのだ。


 そんな猛スピードで、はやぶさ隊は、敵に占拠されているカントルナ砦軍港に向って間も無く突入しようとしていた。


「隊司令っ!間も無くカントルナ砦軍港ですっ!」


「各艇隊は、戦闘よーいっ!」


 戦闘開始を告げるラッパが鳴る。


「攻撃開始まであと5分ですっ!」


「敵船艦隊とカントルナ砦軍港が視認が出きましたっ!!」


「どう戦われますかっ!?」



「はやぶさ、わかたか、おおたかは右舷へ回れ。」


「カントルナ軍港の北西回りを周回航行してつつ、攻撃する。」


「残るくまたか、うみたか、しらたか、とんび等は南下しつつ攻撃し、東南周りに周回航行を取って攻撃する。」


「私が合図をしたら、全艇のミサイルを一斉に2発つづ、砦とその周辺に撃ち込むぞっ!!」


「それを合図にアルガス騎兵団が突入して来る筈だっ!!」


「その後、我々はカントルナ軍港周辺の居残って居る敵の撃滅をしつつ、最低限の敵船を残して、撤退行動に移る。」


「状況次第だが、それで一先ずは作戦終了と成る。」


 最低限の数の敵船を残す理由は、敵の撤退させる船舶を残さないと大量の捕虜と最後まで抵抗する軍勢を残さない為である。



 戦争で最も面倒なのは死兵と成った将兵である。


 これ等が頑強に抵抗し尽くされると、とてもめんどくさいのだ。


 やる気の無い将兵達こそ、戦に措いて戦い合う相手として、最も御しやすい相手であると言えるだろう。


「作戦目的が達成され時点で、我々はブラキュリオス湖の北へと移動し、ダバ艦隊本隊と合流する。」



 作戦の説明が終わると各隊員も本格的に緊張が高まって来て居た。



「石井隊司令、アルガス騎兵団のビダイン団長殿からです。」


 ダバ派遣隊は、ビダイン団長の部下数名を通信士に任命し、使い方を教えた携帯無線をアルガス公国軍の仕官に貸し出して居るので、其処から連絡して来て居るのだった。


「後7~8分程度でカントルナ砦に到着するそうです。」


「はやぶさ隊には、一足先に露払いの支援攻撃を願う。以上です。」


「先に周囲の帆船艦隊から片付ける。」



「2隊が一周をしたら、第二攻撃でミサイルを一斉射するぞっ!」



「敵船が射程に入ります。」


「敵艦隊と敵砲台群発砲っ!?」


 ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!


 ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!


 ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!

 

 ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!


 ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!ズドドーンッ!!




「流石に此方側の動きに気が付いたかっ!?」


「構うなっ!突っ込めっ!」


「奴らの弾は、そうそう中らないっ!そのまま主砲撃ち方始めっ!」


「了解っ!全艇へっ!旗艦のはやぶさに続けっ!!」


「うちーかーた始めっ!」


 76ミリ単装速射砲の砲塔がウイィィィーンと音を立てて敵へと向けられながら先頭を航行して居るはやぶさ、わかたか、おおたかの3艇が戦端を開く。



ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!



 連続で撃ち放たれた砲撃、その間に数秒間の沈黙が流れる。


 バキバキッ!!メキメキメキメキ・・・・・・・ドッカーンッ!!


 木造船特有の船体が圧し折れる音と共に、砲弾用の火薬に引火してしまう。


 更には船内に常備されて居る生活用品や嗜好品である壺に入った油やワインが詰まった酒樽まで引火して大爆発を起こした。



「初弾全弾命中っ!」



ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!




 第二部隊とし分かれた南へと突き進むくまたか、うみたか、しらたか、とんびも砲撃を始める。


バキバキッ!!メキメキメキメキ・・・・・・・ドッカーンッ!!



 先鋒隊と同じく全弾命中し、はやぶさ隊全艇は、砲撃戦の為に周回航行に入る。



 数分後、軍港付近への再突入コースへと入る。


 


 全部隊は、直ぐに第二攻撃が開始された。



「第二攻撃よーいっ!」


「各艇っ!SSM発射スタンバイっ!」


「目標っ!カントルナ砦とその周辺っ!」


「P-1哨戒機改からの座標データリンク・・・・・・全目標座標をロックしました。」


 P-1哨戒機改がレジェンダリア諸島上空を武装した形で、常時交代で偵察とロックオンに必要な座標を送ると言うサポーターの役割を果たして居るので、衛星が使い辛いこの状況に有っても、万全の体制で戦えていた。


「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーっ!!!」


バッシュッ!!ゴオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーっ!!


 今回の派遣に当たって、はやぶさの全艇普段は2基しか積んでいない90式SSM発射機が、4基積まれて居るトップヘビーな状態だった。


 その4基の発射筒から2発のミサイルが火柱と白い煙を噴き上げて空高く飛んで行く。


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!


ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!ダンダンダンダンッ!!



 主砲もカントルナ砦軍港や帆船艦隊への砲撃を続け、立て続けに船や倉庫が爆発をし、港では爆発の影響で、土砂と土煙を巻き上げていた。



「各員っ!!手を緩めるなっ!!」


「我々がっ!この戦いの反撃を狼煙を上げたと言う事を敵に知らしめるぞっ!!」



 はやぶさ隊は容赦無く、敵が占拠して居るカントルナ砦とカントルナ砦軍港に攻撃を加えて行く。


 停泊して居る敵艦隊は、帆船艦隊だと言う事と旧式型の火薬式大砲が配備されて居る為に、はやぶさの主砲の砲撃を受けて命中すると大爆発をしてしまう。


 それにどう足掻いてもウォータージェット推進である、はやぶさの猛スピードに着いて行く事は敵わないし、反撃すら出来ずに敵艦隊は、成す術無く撃沈されて行くのであった。




アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前10時25分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・ レジェンダリア諸島東部・カントルナ島・カントルナ砦・ローラーナ帝国軍・グリクス地方軍団・グリクス地方艦隊占領地・カントルナ砦及びカントルナ砦軍港・グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍・カントルナ砦守備隊の各部隊近くにて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



日シベ合同作戦軍のビダイン団長が率いるアルガス騎兵団と石井三佐が率いる海自はやぶさ艇隊が、水陸の二方向から進撃して居るとも知らずに、勝ち戦だと高を括って居るグリクス地方軍団・カントルナ砦占領守備隊の者達。


 前線の激しい攻防をしている将兵の苦しみと奮闘をし、気の休まる暇も無い中で戦いを繰り広げていた。


 それとは裏腹に、この占領されているカントルナ砦では、朝からのんびりと朝食も食べられて、朝寝坊をしていても良い位にゆっくりと平和な時間が流れているのだった。


「ふあああああぁぁぁぁぁーーーーっ、ふうーっ。」


 北東で見張りをしている兵士の1人が、不意にあくびをしていた。


「おいっ!余り腑抜けた顔をして居ると、上官にどやされるぞっ!」


「ああ、悪い悪いっ!こあも暇を持て余して居ると成ると、余りにも暇過ぎて眠気が来てしまったからな。」


 それを見ていた同僚に窘められる。


 そだけ今の彼らは暇だったのだ。


 先のカントルナ砦攻防での撤退戦で、この砦は爆破炎上をし、グリクス地方軍団側は、多数の死傷者を出して居た。


 焼け落ちた北東に在る見張り台を立て直して、其処の見張りをして居る2人の兵士達は、占領した後方拠点の守備部隊に属して居た。


 彼らは、この戦でカントルナ砦を占拠して以来、専ら見張りとグリクス市のグリクス港から魔導水上輸送艦や帆船輸送船等で運ばれ、カントルナ砦軍港で荷揚げされた補給物資を荷馬車や陸上魔導輸送艦に移し変えたりと忙しい時間と暇な時間を繰り返す日々を送って居た。



「前線じゃかなりの激戦で、我が軍が押せ押せだって言うじゃんっ!このまま行けば、後数日で片が付く筈だ。」


「そうだな・・・・・・・んん?」


 兵士の1人が、聞きなれない音が微かに、聞えて来ていた。


「どうした?」


「何か聞えないか?」


「何かって、何だよ?」


「分からない。良く聞く魔導力炉の音とは、別のみたいなんだが・・・・・・・」


 キイイイイィィィィーーーンン!!!


 それはジェットエンジンの噴射音に似いて居た。



 それが段々と大きく成って行く。


 キイイイイィィィィーーーンン!!!


「あっ?!あれは何だ?!」


「んん?何だありゃ?」


 見張り台の兵士二人は、カントルナ砦攻防戦での戦いの後に、この砦に来ていた為に、はやぶさ艇を見た事が無かった。



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