145話 終結に向けての決戦!ブラキュリオス湖畔紛争っ!5
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月20日・午前9時31分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城各周辺及び第二防衛ライン・ナガシノ野戦陣地付内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ナガシノ野戦陣地は、織田・徳川連合軍対武田軍が激突したと言う長篠の戦いを参考資料を基にしたダバ派遣隊により考案され、日シベ合同作戦軍が南北約10キロに広がる野戦陣地を築き上げた物の事である。
その姿形は、先にも述べた通り、織田・徳川連合軍対武田軍が激突したと言う長篠の戦いの屏風絵図と少ない歴史資料に加え、現代戦の野戦塹壕戦術を併せた形を雛形として造られて居る。
日シベ合同作戦軍は、ブラキュリオス湖・レジェンダリア諸島紛争の本戦に備えて、何日も掛けて陣地の造営を行い。
陣地と成る場所に、幾つものバリケードや塹壕に空堀に出丸と様々な仕掛けを施して来た。
特にナガシノ野戦陣地には、7段階の有刺鉄線が張り巡らされて居る。
その張り方も様々で、その間には電気柵すら有るのだから、何も知らずに突入して来る敵に取っては、ホンとエグイやり口と言えるだろう。
因みに、この有刺鉄線と電気柵は、元々は野生動物や不審者避けとして、ホームセンターで入手が出きる品物である。
防衛省がホームセンター関連向けに卸して居る業者から、経費節減も兼ねて手に入れた品々であった。
これ等の品は、出先の戦場で使い捨てする事を想定し居る為に、使い捨てにしても惜しくない、出きるだけ安く仕入れられる価格で、尚且つ機能的な品物を入手して居たりして居た。
これら有刺鉄線網を突破するには、鉄切りハサミでも無いと簡単には行かないだろう。
だが、そんな便利な代物は、この世界で有るとしたら地球系転移国家群以外では、ドワーフの集落か国家くらいだった。
それにこれからガミトフとその配下たるグリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍者達は、初めて近代戦争と遭遇すると言う不幸に遭うのだから、これまた堪った物ではないと言える。
特に日露戦争で有った様な旅順要塞や203高地、奉天会戦で兵力が劣って居た大日本帝国陸軍は、この近代化要塞戦で手酷い目に遭った。
日清戦争では余り無かった堅固な要塞に、大多数の機関銃と長距離砲台を組み合わせた防御陣地が、延々と続いて居る構造を持った大要塞。
そんな数多の要塞群や防御陣地の端から端まで設置されて居る所に、従来から敵陣地踏破の基本である纏まった大兵力を用いての突撃・突破戦法を全くの無意味にしてしまった。
当然ながら、そんな戦術を繰り返して居た時代、まだ装甲車や戦車なんて代物が無かった頃、兵力が目減りして行くのを悔しい思いをしていた陸軍将校も多かった事だろう。
特に旅順要塞を攻略しようととして居た乃木希典は、その際たる人物の一人であった。
その中でも、特に死に直面している有刺鉄線を切りながらの前進突撃は、地味で最もやりたくない役柄だった違いない。
そんな苦しい思いを今度は、ガミトフとその配下たるグリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍者達は、これから味わう事に成るのである。
さぁ、今こそ幕を開けよう。
このブラキュリオス湖紛争の決戦を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
時刻は午前9時半を回って居た。
ナガシノ野戦陣地で相対する両軍は、これまで通りセイジョン・ローグリア城を背にしながら、各城門方面に造られた陣地に配置した3軍に別れて、敵と対峙して居る。
傷病兵を入れ替え再編されたグリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍は、これまでの戦いのツケのせいか、その軍勢は12万人まで減って居た。
各方面に4万人の配置整理を行い、日シベ合同作戦軍を包囲して居ると、彼らは考えて居たのだった
確かに包囲して居るのは、間違い無い。
しかしながら、その事実は違う。
シベリナ連合各国軍と自衛隊らが、日シベ合同作戦軍としてタッグを組んでの奮闘により、40万人以上は居た兵力を12万人まで減らされて居ると言う真実に、ガミトフとその配下達は、未だに気が付いて居ないのだ。
この事実の齟齬が、ガミトフ達の勝敗を決定付けたのだと、後世の歴史書には書かれて居り、あらゆる分野の学者達は、敵を欺いて騙した、見事な戦振りと賞賛して居ると言う。
グリクス地方軍団・レジェンダリア諸島遠征軍の全軍は、ナガシノ野戦陣地から3キロ離れた場所に、各方面軍の陣地を敷いた。
此処まで来たら残る敵に対して最早、小細工等が殆んど無用と言える状態に思えていた。
篭城戦をする戦いは、どんな時代、どんな世界で有ろうとも悲惨な末路と相場が決って居る。
故国の為に将兵は、最後の一兵まで戦い抜いて討ち死に、城の最後は自決するか、城に火を放って焼死するだろう。
捕らえられた将兵は奴隷にされ、奴隷市場へと売り捌かれ、何処かへと連れて行かれるのだ。
そして、城に残った納税さたれり、徴収された備品と財貨以外の戦利品は奪い取った将兵の物に成るのだ。
この乱捕りを一番の楽しみにして居る兵士達も、少なくないのである。
それは現代地球世界でも変わらないらしい。
近年ではウクライナでの侵略戦争を仕掛けて居るロシア軍が乱取り行為や性暴力に虐殺行為に至るまで、やりたい放題と成って居る報道もなされて居るから記憶に新しい。
そんな乱捕りで美味しい思いをするのだと、今からウズウズして居るのが、攻めて側のグリクス地方軍団の者達である。
既に調理の準備は整い、後は自分達が美味しく食べるだけ・・・・・と彼らは、そんな風に勝利の図式を思い描いて居るのだろう。
この戦いをまな板の上の鯉と言う古事に例えるのなら、日シベ合同作戦軍側が料理人で、鯉がグリクス地方軍団である事は間違いない。
そして、釣り糸を垂らした巨大魚は、今餌に喰らい付き、吊り上げられ鍋料理にされ様として居るのだ。
「この期に及んで、また城内に野戦陣地か?」
ガミトフが城内と名指しする場所とは、旧市街地や集落にに加え、少し広い平原を指して居る。
彼はセイジョン・ローグリア城の周辺が増改築されたと思って居るのだった。
こんな変てこりんな増築を考えたのは自衛隊、古の日本人達が培った戦い方の体現と言える増築方法だった。
地球世界では多く場合、城とは高い城壁に天然の要害と強固な仕掛けで守りきり、援軍を待つのが当たり前である。
だが、国力の弱い国や内乱が長く続き閉鎖さたれ国とかの場合は、変わったやり方をする場合がある。
わざわざ城を攻められても、絡めてから密かに軍勢を差し向けて、敵大将を討ち破ると言う大胆な戦術を駆使するやり方とかだろう。
そんなやり方をする国家や国軍が、この世界には限りなく少なく、そして、殆んど居ないのだ。
ガミトフを始め、多くのローラーナ帝国軍は、絶対の強者として大国に成り上がって以来、大軍勢を用いて敵を殲滅するのに慣れ過ぎてしまって居た。
そんな大国としての弊害から、少数精鋭による逆転戦術や策謀を使った戦略なんかの攻撃を受ける事に、成れて居ないのも有ると言えた。
勿論、軍人として将校としてなら、その様なやり方を組み合わせる事が有るのは、知っている。
だが、彼らは敵を小国と侮り、異界国家の軍は、何れ力尽きて撤退を見込んで居ると見ている事が、彼を大敗北への道筋へと誘っていた。
「ガミトフ閣下、オバム大佐殿、ダニーガン中佐殿、キゼン少佐殿から攻撃を開始するとの事です。」
「分かった。攻撃を許可する。」
「ははっ!」
「ふっ、此処まで来たら勝ちは当然だな。」
「こうなった敵は、撤退するか全滅するしか有るまい。」
「切り札を使わずに済みそうだな・・・・・・・・・」
ガミトフは不適な笑みを浮かべて各方面軍に対して、ナガシノ野戦陣地への攻撃命令を下す。
合図のに為に、陣大鼓や角笛、鐘が鳴り響き、ザッザッザッザッと足音を立てて、グリクス地方軍団の全軍勢は前進を開始した。
一方のナガシノ野戦陣地では、日シベ合同作戦軍は万全を期して、迎え撃つ態勢と準備は万端である。
有刺鉄線と電気柵に、馬棒柵や空堀、おまけに対戦車地雷と指向性散弾に仕掛け爆弾を多数揃えた防御陣地。
これを数多の軍勢と兵器の数の有利で突破を図ろうとすれば、必ず多大なる損害を出す事だろう。
陸上部隊全軍の指揮を任されて居る井上一佐は、セイジョン・ローグリア城から外へと出て、ナガシノ野戦陣地から500メートル離れた前線指揮所に身を置いていた。
敵の長距離兵器や何らかの空襲に備え、前線指揮所を隠れた林の中へと移して、危険を前もって回避する様に務めて居る。
「井上一佐、監視要員からの報告です。」
「敵側に動き有りとの事です。」
「ご苦労。さぁて、始めるぞっ!決戦だっ!」
井上一佐は、無線マイクを手に持ち、日シベ合同作戦軍の各方面の全部隊へと通信を入れる。
「日シベ合同作戦軍の諸君へ、おはよう。」
「もう既に現場指揮官や通信機器で聞いて居ると思うが、敵が我が最終防衛ラインであるナガシノ野戦陣地へと進軍を開始する様だ。」
「だが、恐れる事は無い。」
「諸君等は、今日まで良く戦い抜いてくれて居た。」
「もう、我慢する必要は無い。」
「敵は既に我らの懐深くまで入り込んで居る。」
「今度は此方から攻勢に転じて、この戦いに終止符を打ってやろう。」
「皆の奮戦と活躍に期待する。以上だ・・・・・・・・」
通信を終えると前線各所の各長射程の武器を携えた自衛官と将兵達は、塹壕に隠れて獲物を待ち受ける。
空ではダバード・ロード王国のガイダル島基地から飛び立って来ているP-1哨戒機改が交代で地上の監視に当たって居る姿が見受けられた。
目の前からはグリクス地方軍団の足音が迫っており、張り詰めた緊張感と重たい空気が漂う中で、戦い火蓋が切って落とされ様としている。
両軍の開戦は、もう間もなくである・・・・・・・・・・
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