143話 終結に向けての決戦!ブラキュリオス湖畔紛争っ!3

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月19日・午後19時11分・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・九州島地方・福岡市・福岡市東側郊外地域・神部町・居酒屋店舗・志賀屋にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 


 

 竜史と紅葉の二人は、互いの時間が合えば、時より食事に出て居た。


 竜史は群馬県の出身者なので、当然ながら九州はおろか福岡県に親族や知り合いすら居ない身の上である。


 政府関係者や官僚、県庁に市役所の職員らとも、仕事上の付き合いで会ったり食事会等に誘われる事も有るが、気が休める様な友人や知人が居なかった。


 単身赴任と言う立場な上に、特に気の合う関係を持てる相手が居ないと言うのは、非常に残念な事で寂しい物である。


 転移災害で就職先が無く、半ば無理やりな形でこの仕事を引き受けたと言え、仕事先の地域に、一人も話し相手が全く居ないのも、日々の日常の中では詰まらないと言えた。


 同じく、日本にコヨミ皇国大使の対日本外交に置ける特別顧問として滞在して居る紅葉も、決まった日の仕事以外は、割と暇と言える日々を過ごして居た。


 国内の諸問題から女皇族を疎開させる為の処置として、長女でありコヨミ皇国の濃い秘術が使える血脈を受け継いで居る為に、わざわざ大使付きの特別顧問なんて職で、日本に来て居る彼女もまた、この異国とも言うべき日本に措いて、竜史と同じく、親しい話し相手が居ないのである。


 紅葉と共に日本へと来て居る護衛隊を含めた御付の人達は、臣下と言うべき立場なので、常に姫様と呼んで付き従う者達ばかりなので、彼女に取って話し相手にはカウントされて居ないのだ。


 そんな彼女は、運命の悪戯的な出会いをした、年下の青年を玩具代わりに遊ぶのが、それはそれは、とてもとても楽しかった。


 二人は福岡市内に店舗を構えて居る居酒屋、志賀屋と言う居酒屋に来て居た。


 この店は玄界灘と博多湾沖で取れる海の幸と九州各地で取れた作物や各種鶏肉を提供してくれる居酒屋である。


「ふぱーっ!すみませーんっ!お冷で剛勇鎮西一下さーいっ!」


「あーあー、紅葉さん。もう、二本飲んでるよ。その辺で止めときなって。」


 ワンピースの洋服を普段着として、着こなして居る姿の紅葉と、ラフな格好をして居る竜史の二人が、騒がしいカウンター席やテーブル席とは別の物静かな店内の予約者専用の奥座敷席に居た。


 何でこの2人がこの様な席に入って食事を供にして居るのかと言うとだ。


 政府関係者と異国の皇女と言う立場を考慮してか、二人は常日頃から、こう言った店内では、個室で食べる様にして居た。


 専用通信マイクを通じて注文を受けるシステム使って居るので、別の客の目を気にせずに、気軽に注文出きるので、厨房が遠くても便利にメニューに有る物を頼めていた。


 この店は交援省の専用宿舎寮が交援省から歩いて20分、車で10分程度の距離に在るのだが、その近くにアースティア世界各国の職員専用宿舎が宛がわれて居るマンションが在るのだ。


 因みに来日している日本臨時大使は、交援省の南に位置している連絡事務所が宿舎と成って居るが、側近のスタッフと3名と臨時大使らが寝泊りが出きるだけで、とても数十人が暮らせる様なスペースが無いのだ。


 紅葉は一国の皇女とは言え、国家と家の方針で、特別扱いはされて居ない理由から、交援省の専用宿舎寮近くに在る日本政府が、用意して居る寮住まいをして居るのだった。


 とは言え、警備が24時間体制で、冷暖房から電気・ガス・水道等の各種インフラが整って居る家具付の日本式の部屋に文句を言うアースティア世界各国の方々は誰一人居ないのであった。



 そして、出会ってから凡そ二ヶ月が経った二人は、親しい知り合いが少ない土地の中で、自宅がお互いに直ぐ目の前の者同士。


 二人は余って居る時間を気軽に誘い合う関係が出来上がって居た。



「これくらいは、へーいき、へーいきだって、あははははっ!!」


 こりゃ、完全に酔って居る人の発言だ。


 何時も飲んべな紅葉の酒を飲むペースのブレーキ役をして居るのは、今や竜史の役目に成ってしまって居た。


 食事に付き合う数をこなして行く内に、段々と紅葉との距離感が掴めて来た様である。


 この福岡市の辺りで出回って居り、酒精が物凄い強いと評判の日本酒・剛勇鎮西一。


 それを軽く飲み干して居る紅葉は、物凄く強い酒豪であったりする。


 コヨミ皇国では、18歳から自己責任で飲める法律が有るらしい。


 この法律は、この世界の殆んどの国で採用されている国際的な慣習かる来て居る飲酒法だった。


 彼女の母である葛葉皇后も、物凄くお酒を飲める蟒蛇らしいとの事。


 親子二代で酒が強いのも考え物だ。


 その上コヨミ皇国を含めたアースティア世界諸国との間に在る治外法権見みたいな感じの特別法案と成って居る異世界特別風習・慣習・多様性・認可申請提示法と言うのが交援省からの提案で国会へと提出され、衆参両院で可決されて居る。




 異世界特別風習・慣習・多様性・認可申請提示法と言うのは、何かと言うと。


 異世界人との国際結婚。異世界人としての風習・慣習・習慣。又は新国土の住人達の文化・習慣・慣習を日本国の法律で一括りにしてぶち壊し過ぎても争いの種に成る事から作られた特別法案。


 18歳以上の自己責任での飲酒。又は亜人種族。地方民族・部族、異世界多国間での慣習・風習・習慣等で、人道的観点に触れない範囲でなら身分証明書を携帯した上でなら認可すると言う物や、それに合わせた多様性の社会造りを進める法案内容と成って居る。


 これには日本人と地球系出身者は該当しないが、地球人とのハーフ家系図で2世まで限定として、最寄りの市役所等に届出と許可証を受け取り携帯して居ればOKと成った。

 但し、この法律と合わせて他の法律違反に在る事が在れば、違反者には罰則規定が在る。

 これは両親と保護者達の同意が無ければ認可されない仕組みで、家庭内でダメだと判断すれば、役場が許可証を出さない仕組みと成って居る。


 法律施行時期は、日本国の亜人種地域編入法案と同時期で、それまでは亜人地域と一部の異世界人が国内に入って来た事に対する対処法案を交援省主導の元で臨時法案を作り上げて、臨時対処して居た。


 そんな法律と許可証が在るので、紅葉は日本国内に措いて、成人年齢でも無く、20未満での飲酒喫煙に関わる法律をパスする事が出来るのである


 この法案に付いては地球系転移国家群が、どう判断するかは各国政府の自己判断に成るので、日本国政府が如何こう言う積りは無い。


 日本国政府は、亜人族地域とアースティア世界諸国との付き合いがあるので、この法案を可決する事に決めた。


 まぁ、一部を除き、野党勢力は反対論を訴えて居るが、国会勢力が微々たる彼らの声は、単なる与党への反感反発心から来る訴えなので、幾ら叫んだとしても、今の所は国民には届かないとも言えるだろう。


 そんな訳なので紅葉は福岡市内に在る酒場を梯子する事を楽しんで居た。


 この福岡市内にある各地の酒場を含めた飲食店は、海の幸を含めて料理がとても美味い。


 それに加えて竜史は生の魚を好んで食べるのが好きで、対する紅葉は故国の酒に近い日本酒を好んで居て、暇さえあれば、夜の酒場をウロウロして居たりする。


 異国での一番の楽しみは、見知らぬ異国の食と見知らぬ土地での観光と言うのが定番だろう。



 紅葉は故国の五月蝿い慣習や見知った者達が居ない自由で、気ままな日々を謳歌して居るのである。


「今日は遅くとも8時半までには、寮に帰りまからね。」


「明日はブラキュリオス湖・レジェンダリア諸島紛争の勝敗に、そろそろケリが付き添うだと報告が来て居ますから、僕は早めに帰宅して翌日に備えないと。」


「ああ、そう言えば、そんな話が有ったわね。」


 紅葉は酔っていて、へべれけと成ってしまい。


 少しだけブラキュリオス湖での出来事が、頭から抜け落ちていた。


「でも、問題無いわよ。」


「問題無いって、そう簡単に気軽に言われても・・・・って、はぁ~、そうでしたね。それって何時もの予知能力ですか?」


「そう言う事。戦勝間違い無し。」


「そんなに気負う必要は無いわよ。ただ・・・・・・」


「ただとは?」


「まだ分からないわ。」


「大きな黒い影の様な気配を感じて居るわね。」


「詰まりは、油断は出きないと言うのが、私の力で出た答えね。」


「兎も角、明日までは何も起こらないわよ。」


「だから明日に備えて英気を養う意味も込めて、しっかりと食べましょ。」


 竜史は紅葉の予知能力と気楽さに押されて、慌てても事態が如何にか成る物では無い。


 ダバ派遣隊は、遠くに居て、自分達は経過報告と事後報告を聞くしか無いのだから・・・・・・・・・・・・・


「お歓談中に失礼します。」


 個室の襖が開けられ、中に入って来たのは、居酒屋・志賀屋の店主と二人が来た時に対応してくれて居る従業員の2人であった。


「お二人供、何時も当店をご利用を頂き有難う御座います。」


「高見大臣、紅葉皇女殿下。」


「店長、此処では大臣と呼ぶのは止して下さい。」


「そうよ、料理は美味しいし、楽しく飲める場所で、そんな大袈裟な。」


 二人が行きつけにして居る飲食店では、万が一店に迷惑を掛けては成らないと考え、回数が多く、行き着けと成った店舗には身分を明かして居る。


 こうして形式的な挨拶をする人も居るが、この店の店長は気さくな人柄で、持て成す一環のジョークとして二人を空かって居るのだ。


「まあまあ、店長として偶にはこうでも言わないと、格好が付かないからね。」


「他の従業員の手前でも有るしね。」


「紅葉さん、ご注文の剛勇鎮西一です。それと焼酎の鬼島津もお試し下さい。」


「あら、焼酎?まだ味見に少しだけしか飲んで無いから、新しい品種を飲むのも面白そうね。頂くわ。」


「刺身皿をお下げします。」


「此方は宮崎地鶏の照り焼きと阿蘇産の和牛ステーキですです。」


「胡麻おにぎりもお持ちしました。」


 従業員達は食べ終わって居る皿を下げて、新たな料理と酒を並べて行った。



 竜史は旨い料理を楽しみ、紅葉は酒と肴を楽しみ、楽しい一時を過ごしたのである。


 竜史は、紅葉の言う予知の大きな黒い影の様な気配を感じている事が気掛かりであった。



アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月19日・午後18時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・シャッポロ連峰山脈・シャッポロ連峰山脈西部地方・キリランシャロ山脈・ローラーナ帝国・ローラーナ帝国領・グリクス地方州・グリクス地方軍団・グリクス地方西方戦線区・キリランシャロ地下山脈地帯大要塞郡・キリランシャロ要塞にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 苦戦を強いられるグリクス地方軍団。司令長官であるガミトフは、密かにシベリナ連合の西の果ての一角であるオローシャ帝国と対峙しているローラーナ帝国軍・ユーラシナ大陸中部管区第二方面軍団ゾルモン要塞司令官アーノルド・ドズール大将。


 その配下にして腹心でもあるデナンズ・フリーザー中将、嘆願書を届ける事を協力要請を頼み込んだガルベ・マグベ大佐等に、速達扱いの密使を送り、密かに有る頼み事していた。


 

 そして、ガミトフの願いたる事柄をゾルモン要塞司令官ドズール大将は、聞き入れたのである。これで彼が思い描いた秘策は成ったも同然となり、その秘策を行う部隊が密かにブラキュリオス湖・レジェンダリア諸島に近付きつつ有ったのだ。


 その部隊の正体とは・・・・・・・・・・・・・・・


「ぐふふふっ、がははははははーーーーーっ!先の戦いでは不覚を取ったが、これでニホン軍者共に、仕返しが出きるという物だっ!」


 先のダバ支援艦隊とグリクス地方東部戦線管区・帝国空軍・第9空挺艦隊と戦いに置いて、ローズマウンテン大要塞を守護しているデナンズ・フリーザー中将に属しているギンジェム・グェンダー大佐。


 彼は貴重な古代兵器にして、移動大要塞である移動要塞戦艦デストロイヤーをダバ派遣支援艦隊とエリン達ドラグリア白龍大帝国の一行らと戦い、激しい激戦の果てに撃沈されてしまった。



 これを例えるのなら彼の有名な超時空要塞を一隻失う程の大失態であった。この失態でギンジェム大佐は更迭されるのを覚悟していた。


 所がブラキュリオス湖紛争の戦局が芳しくない事を理由に、移動要塞戦艦デストロイヤーを扱える人材として再び雪辱を晴らす機会が彼に与えられた。


「多数のゴーレム兵器に加えて、ワイバーン、キメラドラゴンと言った生体錬金魔法学を駆使した兵器を満載にして、三隻もの移動要塞戦艦デストロイヤーを派遣して下さったアーノルド・ドズール大将を始めとした、諸将の方々に感謝しても、仕切れない温情を賜ってしまった。」


「待っておれ、ニホン軍っ!貴様らを彼のロリババア共々八つ裂きにしてくれるわっ!!!


「がはははははははははははははっ!!!」




 ブラキュリオス湖・レジェンダリア諸島に近付く黒い影、その脅威が日シベ合同作戦軍の前に、その姿を現そうとして居た。


 明日、ブラキュリオス湖紛争での最終決戦の幕が上がる。

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