142話 終結に向けての決戦!ブラキュリオス湖畔紛争っ!2

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月19日・午前11時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城各周辺及び第二防衛ライン・ナガシノ野戦陣地付近・後方野営場陣地内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 グリクス地方軍団との激しい攻防戦を繰り広げ、敵を退ける事に成功した日シベ合同作戦軍。 


 当初から予定されて居た第一防衛ラインとして居たサナダ丸から、ナガシノ野戦陣地へと退いた日シベ合同作戦軍は、負傷者の治療や交代での見張り、休息等を取って、次なる戦いに備えていた。



 戦いを終えたクリス・リナ・ハンナの3人は、物凄~くクタクタな状態でセイジョン・ローグリア城の宿舎へと帰還して居た。


「ふう、今日の戦はキツかったのである。」


 ハンナも獅子奮迅の槍働きで、後退戦に大きく貢献して居た。


「確かに、追撃して来た帝国の奴らってば、ホンとしつこいの何のって・・・・・・」


 リナも殿部隊に居たので、クリスとハンナの援護に回って戦って居た。


「すう、すう、すう、すう・・・・・・・・・・・・・・・・」


 クリスは付加魔法と防護魔法で味方を助けつつ、リナ達のサポートと自分の魔法騎士隊の指揮で魔力と精魂を使い果たして、追撃が止んだと聞くと、疲れ果てて為に、その場で倒れ込んでしまう。



 その結果、彼女は運ばれた馬車の中で眠り扱けてしまって居た。


 最初は馬に乗っていたが、戦いの終盤に落馬しかけた所をハンナとリナに助けられて居た。


「それより、クリスを運ぶのを手伝って。」


「分かったのである。」


「先に鎧を外すから・・・・」


 リナは布で覆われている荷馬車の天幕内で、光を照らす魔法であるライトを使うと、クリスの鎧と服の一部を脱がしてやる。


 鎧を外すとスパッツの様な服が露に成り、鎧から白いマントを取り外すと、クリスを包ませた。


「ハンナは、クリスをこのまま宿舎に運んでちょうだい。」


「あたしは、クリスの鎧を運ぶから、頼んだわよ。」


「任せるのである。けほけほけほっ。」


 ドンと胸を叩くハンナだったが、戦いで疲れきった状態な挙句、ぜーはー、ぜーはーして居る身体には、少々キツかった様だった。


 リナは、ハンナに、クリスを任せて、本当に大丈夫なのか?と呆れてしまう。


アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月19日・午後13時17分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・日シベ合同作戦軍司令部本営にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 今日行われた戦いの事後処理に追われる日シベ合同作戦軍。


 敵の動きも監視の目を緩める事無く続けられ、その様子から進軍を一旦停止したと結論付けられて居た。


 日シベ合同作戦軍に参加する合同軍幹部たち等は、セイジョン・ローグリア城の大会議室に集まり、いよいよ最終決戦に向けて最終会議の話し合いが始まる。


「敵はナガシノ野戦陣地から約3キロ付近で、我らと対峙する為の前線陣地を敷いて停止した。」


「4キロから5キロ付近では、戦艦艦隊と陸上補給部隊が陣地を築いて居る。」


「此処までは、我々の当初からの予測と予定通りだ。」


「これまでの戦闘で被った此方側の被害は、如何なって居る?」


「先ずは人的な被害関係に付いては、私と自衛隊の衛生科隊を率いて居る野口隊長殿と共にお答えしましょう。」


 手を上げたのは医療師団とも呼べるアルガス騎士団・第五騎士団・法術治癒師団を率いているファサリナ・ゲール騎士団長とダバ陸自派遣隊の陸自衛生科隊長の野口秀寿一佐が立ち上がる。


 海自にも衛生科は有るが、階級の先任制度の関係の立場から、ダバ派遣隊の衛生科の統合衛生科隊長も兼務と成って居る野口一佐が会議に参加していた。


 ゲール団長は、自衛隊が使用して居るコピー用紙の書類を手に、立ち上がる。


 その手には、この戦いに参加しているシベリナ連合各国用に、大陸共通語で手書きで書かれて居た。


 一方の自衛隊側の用紙は、勿論パソコンを使ったコピー機による印刷であった。


「この戦いで我がアルガス公国軍は4万人が参加して居る。」


「今の所、戦死者は出て居ないが、中軽傷者を合わせて3千名が出て居る。」


「何れも負傷者の怪我は、矢傷や魔法による怪我が原因である。」


「治療方法に関しては、自衛隊の医療班による切開手術と消毒に加え、点滴による医薬品投与を施し、傷口に関しては、我々の治癒魔法によって傷口を塞ぐ方法を取って回復を早めて居る。」


「魔法医療に関して、物凄いとしか言い様が有りません。」


「ですが、傷口を急激に塞ぐので、患者には万が一の為に数日の休養を取らせる事を勧めて居ます。」


「何せ、治癒魔法と科学式の外科医療の組み合わせの治療は、今の我々には前例が有りません。」


「実証医療すらやって居ない医療行為ですので、近い将来を念頭に置いた治療データを取りながら、慎重に事を進めて行きたいと考えて居ます。」


 魔法医療と科学医療の組み合わせは、まだまだ実践実証がされて居ない部分が多い。


 日シベ合同作戦軍の医療部隊は、良く話し合って患者の治療に、当たって居るのであった。


 そして、幸いな事に、医療現場と戦地の両方では、死者出る様な事態には至って居ない。


 これは本当に地獄の様な戦地に取っては、不幸中の幸いな事実であった。


 因みにアセリナ王国・東方地区第3聖天使騎士団の団長が率いるスミレイン・デコモリン少佐を中心とした五千人の聖天使騎士団には、かすり傷以上の怪我無かったので、この会議の報告には上がって居ない。


 デコモリン少佐が怪我の内に入らないと考え、報告書に書いて居ない為である。



「なお、陸自隊員等に、これと言った大きな怪我は有りません。」


「戦場でのストレスのケアを考慮しつつ、心のケアをして行く上で、カウンセラーで会う隊員達には、何か有れば良く上官や同僚、またはカウンセラーの資格を持った衛生隊員に相談をと呼び掛けて居ます。」


 

 ダバ派遣隊で、一番に気に成って居た事、それは戦地でのストレスが原因で、精神に異常を起たす事だった。


 近代の戦争では、特に多く見られる精神の病である。


 長期の船旅に戦闘の長期戦の二つで隊員達が如何なって行くのか、それを心配していた政府や防衛省。


 そして、現場指揮官達。まだまだ油断は出きないが、今の所は、その心配は杞憂である様だったらしい。


「そうか、味方には死者は、まだ一人も出て居ないのか?それは良かった。」


「引き続き両者には、協力して医療班としての力を揮って貰いたい。」


「はい。引き続き全力で事に当たらせて頂きます。」


「報告を終わります。」


 医療班の二人は、それぞれ敬礼をして、自分の指定席に着いた。


「続いて各方面部隊の装備と弾薬に付いてですが、先ず北門方面の・・・・・・・・」



 その後も、日シベ合同作戦軍の総司令官である置鮎一佐を始め、日シベ合同作戦軍幹部たち等は、合同会議で、各方面の前線偵察部隊、各所の状況、物資の残り等の報告を受けた。


 そして、会議は最後場面を迎える。


「此処からが本番ですな。」


 ビダイン騎士団長が真剣な顔立ちをしながら言う。


「小沢殿、他のグリクス地方軍団とグリクス要塞に動き無いか、奴らに占拠されたレジェンダリア諸島の各駐留軍に動きにも何か無いのか?」


 南部の動きにも油断ししては成らないと、海自と空自の広域偵察やレーダーに変化は無いかと質問するのはアーシダ騎士団長である。


「今の所、各所に異状は見られない。」


「ダバード・ロード王国のガイダル島基地のP-1哨戒機改と本国の偵察衛星で連携監視して居る。」


「何か有れば、直ぐにでも報せが来る筈だ。」


「だが、それだけでは安心出きない要素が有る。」


「我々の科学技術が如何に優れて居ても、僅かな隙間の穴は有る。」


「事実イリュージョンなる姿を透明化させる魔法は、レーダーに映り難く、カメラにも視認がし難いと言う物が在る。」


「決して、油断は出きない。」


「その可能性は多いに有るな。」


「日シベ合同作戦軍の監視網を擦り抜ける手段として、イリュージョンは、この世界のどの敵味方が共に扱える魔法で、非常に有効的だろう。」


 魔導師であるレイダーも小沢一佐の指摘を受けて魔導の専門家として意見を述べる。


「我が国も最新のステルス戦闘機や若干のステルス装備をしている戦闘機は有るが、この世界では、今の所は役には立たないな。」


「何せ、レーダーアンテナ等の機材機器を持って居る国が、地球からの転移国家だけだ。」


「これでは宝の持ち腐れだろうな。」


「今の日本に取って、魔法を使ったステルス戦術は脅威と言える。」


「何としてでも防ぐ事や見破る方法を確立したい所だが、今は目の前の敵や周辺から侵入して来る敵の監視を強化するしか無いだろうな・・・・・・・・・・」



 池田空将補も魔法によるステルス戦術は、厄介な手段として見ていた。


 巨大な物から小型の物に至るまで、姿を隠して敵地の近くや敵機の背後に回り込まれたら非常に厄介だと思っていた。


 それに最新鋭機として期待されていたF-35も、性能に申し分は無い物のレーダー機器が、地球転移国家群以外の地域に無い状態では、正に宝の持ち腐れと言えた。


 恐らくこの世界では、このままの展開で戦争を続けて行くと成ると、ある程度コストが下げられた旧型タイプが再設計する形で生産配備されるかも知れない。 


「周囲と眼前の敵の監視強化と明日以降の敵の進軍に備える。」


「今はそれしか出きる事が無いだろう。」


「全員、明日に備えて、交代で休息取りつつ、引き続き協力して一致団結して戦い抜こう。」


 井上一佐と置鮎一佐の締めの言葉で会議は閉幕した。間も無く両軍は決戦の日を迎え様としていた。


 そして、日シベ合同作戦軍に向かって、ガミトフ中将が企む黒い影の魔の手が迫っている事をまだ彼らは知らないのであった。



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