126話 激闘!セイジョン・ローグリア攻城戦 3

アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前8時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城北門郊外にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 グリクス地方軍団・遠征艦隊・遠征軍を併せたグリクス地方軍団北方方面軍・第三艦隊の司令官を任されたジャーマン・ダニーガン中佐は、セイジョン・ローグリア城北門から自身の艦隊に距離を取らせつつ、敵を警戒しながら敵情の偵察を繰り返して居た。


「隊長殿おおおぉぉぉーーーーっ!!」


「バカもーんっ!!静にしろっ!!!」


「申し訳ありませーんっ!!」


 隊長の方こそと、偵察兵は言いたかったが、その騒ぎを起こしたのは、自分が原因なので、その言葉を飲み込む。


「隊長殿、各偵察隊が北城門内部の様子を探りましたが、誰も居ませんとの事です。」


「それは可笑しいぞっ!」


「正面や南門は厳しい警備をして居るとの話だ。」


「北門だけ、誰も居ないのは変だぞっ!」


「その通りであります。」


「しかし、北門は旧城下町を改装して作った城郭らしく。四方600メートルの敷地内に古い町並みが残って居るだけです。」


 偵察隊長は、様々な筋から入手した北門地区の簡素な地図を広げる。


「それでも旧市街の街中に、敵兵士が一人も居ないのは可笑しいぞっ!」


「その地図はどれくらい前の物なのですか?」


「30年前くらいの代物だ。」


「その頃は兵士を相手にした商店が、立ち並んで居たが、次第に廃れて行った様だ。」


「だが、他の偵察隊の報告や以前からの報告を聞く限りでは、この北門地区は、それ程の大きくは無かった筈だ。」


「それって、只単純に地図が少しだけ、古いだけでは無いのですか?」


「いや、間者の報告が、噂の尾ひれを付いたかの様に、大げさに成って居たか、調べ漏れが在ったのかも知れん。」


「とにかく、これから如何致しましょうか?」


「取り敢えず、ジャーマン・ダニーガン中佐殿に、ご報告して、今後の可否に付いてのご裁可を仰ぐのだ。」



 グリクス地方軍団北方面軍の偵察隊は、一旦、自軍陣地へと下がって、司令官のダニーガン中佐の指示を仰ぐと決めたらしい。




アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前8時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城北門・セイジョン・ローグリア城北門から700メートル内側付近にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




 その頃、セイジョン・ローグリア城北門から700メートル内側付近ではと言うと・・・・・・・・・・・・・



「くくっ、流石に食い付きませんでしたか・・・・・・・」


「これだけ怪しい状況ですから、そう簡単には行きませんよ。」


 クールな美男子であるアルガス魔導師団を率いるレイダー第四騎士団長は、迎撃の為に、三国志マニア自衛官集団と共に居た。


「軍勢が一気に来てくれると嵌めるのに、とても楽なんですがね。」


「まぁまぁ、此処は狩や釣りと同じですよ。」


「冷静にドーンと、構えて居ませんと成功は有りませんよ。」


「くくっ、さぁて、待ち伏せの狩の本番はこれからです。」


「大物の獲物が掛かるのが、今から実に楽しみですね・・・・・・・・」


 三国志マニア自衛官部隊とアルガス魔導師団との夢のコラボ作戦が始まろうとしている。




アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前9時1分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城北門郊外・グリクス地方軍団北方面軍・司令部陣地・グリクス地方軍団北方面軍・第三艦隊旗艦アレキ・サンジェルス級魔導空挺戦艦・ドアーレ艦橋内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 グリクス地方軍団北方面軍・第三艦隊司令官のダニーガン中佐は、偵察隊からの報告を受けて、如何するかを決め兼ねていた。


「どう見ても罠だと言いたいが、仮に、仮にだぞっ!」


「本当に蛻の殻だったら、我々は味方からの笑い者に成りかねん。」


「実に其処が困り所ですな。」


「ですが、ダニーガン中佐殿。時に罠とは単純な物では有れば有るほどに、引っ掛かり易い事もあります。」


「特に頭の切れる将校や軍師と言った者で在ればですが・・・・・・・・」


「だがなぁ、このまま手を拱くままに任せるのは、不味いかと・・・」


 ダニーガン中佐の参謀達等は、敵が仕掛けた罠かも知れない北城門内に関して、様々な憶測や提案が飛び交うが、如何すれば良いのかと眉を顰めるながら迷う。


「ダニーガン中佐殿、こうは考えられませんか?」


 参謀の1人が一つの推察をして居る様だった。


「言って見ろっ!」


「はっ!!この敵の策は、我らを足止めするのが狙いでは?」


「はっ?!そうかっ!そうとも言えるな。」


「貴官は敵の策謀を良く気が付いたな。」


「はっ!!お褒め頂き有難う御座います。」



「しかし、それはそれで、敵の考えと動きが益々は分からなく成るな。」


「敵は一体全体、何故この様な城塞を増築したのだ?」


「それも短期でだ。」


「ふーむ・・・・・・・」



 グリクス地方軍団北方面軍・第三艦隊の首脳陣は、 日シベ合同作戦軍の戦略的意図が完全に判らず、混乱して居る様子であった。


「アルガス公国は、このレジェンダリア諸島から撤退をするのと同時に、北上する我が軍勢全てを撃ちのめすのが、この戦での主な狙いの筈だ。」


「それ成し遂げる為にも、偶々通り掛かったと思われるニホン軍の援軍と近隣の同盟軍から成る少数の援軍を得て居る。」


「それなのに、何故この様な奇妙な行動を取って居るのだ?」



 敵軍の意図する全ての事柄に対して、訳の分からない行動と解釈せざる終えない状況に、頭を悩ますダニーガン中佐。



 其処へ続報が入る。


「報告うううううぅぅぅぅぅーーーーーーっ!!!」


「如何した?」


「南部より伝令で参りました。」


 伝令官が南方の動きを報告する為に現れた様だった。


「申せ。」


「はっ!グリクス地方軍団南方面軍の第二艦隊司令官で在らせられるカバディ少佐が、ガミトフ中将閣下のご命令により、セイジョン・ローグリア城南門に攻め入るとの事で御座います。」


「何だと!?」



「なお、南門の守備に現れたのは、アルガス騎兵団の団長である疾風のゼータ・ビダインとの事です。」


「報告ご苦労であった。」


「はっ!」


 伝令官が下がると、ダニーガン中佐が渋い顔して居た。


「不味いな。」


「不味いとは、ひょっとして南は罠で、我らは足止めを食らったと言う事ですか?」


「むう・・・・どうやら、そうかも知れん可能性が出て来たな・・・・・・・」


「罠であると言う理由として、我が方を誘う為に現れたかも知れん、アルガス騎兵団の団長である疾風のゼータ・ビダイン。」


「今の状況下で、こやつの動きは、とても危険と言える。」


「敵の餌とは、アルガス公国・第二騎士団のアルガス騎兵団の団長である疾風のゼータ・ビダインと言う訳ですね。」


「例え罠だったとしてもだ。」


「これを討ち取れば、これは第一級の戦功であり、討ち取った者は大手柄と成るぞっ!」


「・・・と成ると、我が軍もこのままボーっとして居ては、中佐殿のお立場が悪くなるのでは?」


「だがしかし・・・・進軍するにも、もう少し、判断材料が欲しい所だ・・・・・・・」



 なまじ知恵の回る分、ダニーガン中佐は二の足を踏み、事を如何するかを迷い、躊躇してしまう。


 これが三国志だったら、諸葛亮・孔明の罠に掛かる前兆であると言える事に成るだろう。


 そんな彼に、更なる追い討ちを掛ける報せが届いた。


「報告うううううぅぅぅぅーーーーーっ!!!」


「今度は何だ?」


「ははっ!!申し上げます。」


「グリクス地方軍団中央方面軍・第一艦隊のオバム大佐が率いる軍勢が、東門に総攻撃を掛けたとの事です。」


「何?今度はオバム大佐殿がだと!?」



「ダニーガン中佐殿。」


「このままでは、後々我らの軍勢は、何もしなかったと言われてしまいます。」


「如何かご決断をっ!」


「ええいっ!!仕方が無いっ!!」


「但し、目の前の城下町だけを制圧し、辺り一帯を徹底的に調べあげろっ!」


「決して深追いや敵の挑発に乗っては成らん。」


「不信な物や残されて居た敵の物資が有ったとしても、絶対に手を付けるな。」


「毒や爆発物が紛れ込んで居るやも知れんしな。」


「はっ!その旨を全軍の将兵達らに、周知徹底させますっ!!」


「良しっ!我が軍も他の味方に遅れを取るなっ!」


「全軍に通達っ!進軍せよっ!」


「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉーーーーーっ!!!」」」」」


「あわよくば、敵の背後を突ければ、敵が描く迎撃構想すらも崩せよう。」



 ダニーガン中佐は北門への進軍を決断する。


 進軍して、無人の陣地を奪取。


 そして、迎撃に全力を注いで居る南方の全ての日シベ合同軍の目論見を突き崩し、背後から襲い掛かろうと攻め入るのであった。



 古今東西の事柄に措いて、戦時下でこう言う時に、敵の策略や挑発行為に釣られて軍を動かすのは、とても危険だと言うのに動きたく成るのは、中間管理職の悲しい性である。


 日本の歴史で例えるのなら、大阪の冬の陣で、真田丸の挑発と味方の連携を欠いた徳川軍の前田軍と井伊軍は、この手の誤解と張り合いから間違いを犯し、多大な犠牲を出してしまう。


 更には抑えとして控えていた藤堂軍も、とばっちりを受ける形で援軍に出て行かざる終えなかった歴史が有るのだ。


 その失敗の歴史と同じ様な徹を踏ませる自衛官らも、とても意地の悪い性分を持っている者達も居た者である。


 だがしかし・・・ 日シベ合同作戦軍が思い描く作戦の真実は、彼の考えとは全く異なる作戦なのであった。



 それは・・・・・・・・・・・




 アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月17日・午前8時55分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央地域・シベリナ中央地方・パイプ・ライン大河・パイプ・ライン大河中央流域地方・ブラキュリオス湖・アルガス公国・レジェンダリア州・レジェンダリア諸島・レジェンダリア諸島西部・セイジョン・ローグリア島・セイジョン・ローグリア城・セイジョン・ローグリア城北門内・日シベ合同作戦軍・セイジョン・ローグリア城北門守備隊にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「よしっ!よしっ!掛かったっ!掛かったぞっ!獲物が勢い良く迫って来ているっ!」



「よしっ、総員っ配置に着けええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」


「急げーっ!急げーっ!急げーっ!敵が攻め入って来るぞおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーっ!!!」



 三国志マニア自衛官らとレイダー第四騎士団長らは迎撃体制を整える様に言う。



「くくっ、本日の作戦は、空城の計と上田城と新野城の街中での火刑の組み合わせですよ。」



「ふっふっふっ・・・・・・・・」



 自衛隊が考案した作戦とは、無人の陣地に敵を引き入れて、火計で焼き払うと言う物だ。


 シンプルで、且つバレる危険性が大と成るかも知れない難しい作戦だが、南と中央戦線で敵を罠に掛けるのが上手く行けば、自然な流れで北門の戦線も戦闘せざる負えない状況に成ると言う質の悪い作戦。


 この手の作戦を得意として居る諸葛亮孔明と真田昌幸。


 嫌らしく、性格の悪い上に、本当にセコイ作戦を立てたら、一流であると謳われる偉人達の知恵から、ヒントを得て練り上げられた嫌らしい作戦なのだった。



 特にダニーガン中佐は、慎重かつ冷静である。それに知恵も回るので、簡単には罠に掛からない人物でもある。


 今回の作戦で、どう迎撃するのかは、ギリギリまで決められて居ないのだった。


 何通りもの作戦を想定し、戦術を考案し合って、初めて決められる性格をして居るのだ。


 今回決定打と成ったのは、 日シベ合同作戦軍の偵察隊が、敵軍の旗印を写真を撮ったり、見かけた旗を記憶していた。



 そんな理由から、各方面軍の指揮して居る人物の特定が出きたのであった。

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