57話 第二次龍雲海沖海戦 14
アースティア暦 1000年・西暦2030年・6月3日・午前9時44分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・南西諸島・沖縄県・先島諸島・石垣市・登野城・尖閣尖閣諸島・魚釣島沖海域にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
海保船団を率いる海野船長は、声を高らかにして、海賊達に向けて地球世界時代でもお馴染みで、尚且つお決まりの台詞を言うのであった。
「こちらは日本国海上保安庁であるっ!!!我が日本国の固有領土たる尖閣諸島周辺の島々を不法占拠して居る者達に告げるっ!!!」
「諸君らはっ!!!我が国の領土・領海内への無断での進入及びっ!!!尖閣諸島全土地域への不法上陸を占拠して居るっ!!!」
「直ちに退去せよっ!!!直ちに退去せよっ!!!退去しなければっ!!不法入国及び不法侵入罪で全員逮捕するっ!!!」
20隻の巡視船からサイレンを鳴り散らしつつ、各砲台が海賊船団へと向けられていた。
一方の海賊達は、そんな海保の奇妙とも言える威嚇と警告を目を丸くして聞いて居た。
「ニホン国カイジョウホアンチョウだぁ!?何者だいっ!の白い船の連中はっ!?」
白くカラフルな目立つ色彩の色合いが混ざった船は、大きな騒音を巻き散らしながらアルビダ達の目の前で、船体を横向きにして、砲台の様な物を向けて来て居た。
「姉さん。ありゃ、コヨミ文字ですぜっ!ひょっとしたら、コヨミ皇国の新しい部隊ですかね?」
学の無い海賊の1人が、推測で物を言うが、別の者が正しい答えを言い放った。
「バカかっ!奴らは自らニホン国と言って居るだろうがっ!!あれは恐らくニホンの沿岸警備船だっ!!!」
「・・・・・と言う事は・・・・ニホンが近いって事さね。」
「お前達っ!舐めた事にニホンの連中は、ご丁寧に警告をして来たよ。」
「ガハハハハハハッ!!!」
「あはははははっ!!!」
「ふはははははははっ!!!」
「くっくっくっ、バカのじゃねぇのかっ!」
「姉さんっ!殺っちまいましょうっ!!」
「あたり前だよっ!さぁ!野郎共っ!!掛かれえええええええぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーっ!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーっっっ!!!」」」」」
「「「「「ヒヤッハーーーーーーッ!!!」」」」」
海賊達は、大船や小船に乗り込んで、自らが最も得意とする海戦や白兵戦を仕掛け様として居た。
「はぁ~、やはりこうなるか・・・・・・各船っ!撃ち方よーいっ!」
海野船長は事前に、この世界の海賊に関する資料や参考用の映画なとで対策の為の事前学習を済ませていた。
しかし、こうもお約束な展開通りに成ると、流石に溜息が出てしまう。
地球の海賊は、人攫いと船舶を人質にして、金銭要求と言う此方とは、別の意味で分かり易っかったが、こっちはこっちで別の意味で分かり易くて面倒だと、この場に居るであろう全員が思った。
血の気のを多い事に、世紀末世界に居る無法者立ちが叫ぶ様な、お決まり文句のヒヤッハーを言う連中は、素直に捕まりもしなければ、この場から大人しく退く事もしないらしい。
ウィィンと駆動音を鳴らしながら砲台は海賊船へと照準を定める。
「図体がデカイだけだ、目に付いた白い木偶の坊を片っ端から沈めてやれっ!!!」
「「「「おうっ!!」」」」
とある海賊団が、船体を横向きにすると、一斉に大砲を撃とうとして居た。
「来たぞっ!!放水開始っ!!」
巡視船の各船長は、近付いて来て砲撃をしようとして来た海賊船に対して、放水砲を向けて撃ち放った。
「ぐはっ!!」
「けほけほっ!!!ぺっぺっ!!しょっぺええぇぇぇーーーーっ!!!」
「何だっ!こりゃっ!」
「こりゃ、海水だぞ!」
「お頭っ!!さっきの放水で大砲の火薬がぁっ!!」
交援省が、提案して居た対海賊戦に措ける初手の有効打撃である放水砲による敵船の大砲の無力化は、功を奏したらしい。
「海野船長っ!!海賊達は、この程度では、まだ退く気が無いようですっ!!」
「止む終えんっ!!機関砲っ!!撃ち方よーいっ!!海自にも協力要請しろっ!!」
「了解ですっ!!」
海野は当初の予定通りと成って居た海自の参戦を要請する事にした。
一様、組織事の縦割りが有るので、海保で警告、後に海賊船団の撤退が無ければ、海自の介入が会議で決まって居るのである。
「小杉一佐っ!!海野二等海上保安監から共同作戦を開始したいと言って居られますっ!!」
「良しっ!!各艦右弦っ!!撃ちー方よーいっ!!」
「小杉一佐っ!!海賊の一団が、此方に気付いて向って来ますっ!!」
「くっ!仕方がない退去警告しろっ!!」
面倒な事に海賊達が、護衛艦の主砲を撃つ前に、海自側に向って来て居る。
海自としては、一様、海保と同様に建前上は警告しなければ成らないのだった。
「此方は日本国海上自衛隊であるっ!!」
我が日本国の固有領土たる尖閣諸島周辺の島々を不法占拠して居る者達に告げるっ!!!」
「諸君らはっ!!!我が国の領土・領海内への無断での進入及びっ!!!尖閣諸島全土地域への不法上陸を占拠して居るっ!!!」
「直ちに同海域及び同諸島から退去せよっ!!! 退去せよっ!!!退去せよっ!!!退去せよっ!!!退去せよっ!!!」
「繰り返すっ!!直ちに退去せよ!!!尖閣諸島は我が日本国の領土であるっ!!速やかに退去せよ!!!」
「警告を無視した場合は、実力行使するっ!!」
出きれば彼の隣国の警備船に対しても、堂々とこんな事を言って見たいものである。
この場に居る海自と海保の者らは、あの国に言いたくても言えなかった事への憂さ晴らしをするかの様に生き生きと仕事に専念して居た。
一方の海賊船団の30隻は「知るかボケええぇぇぇーーーーーっ!!!」と言って居る。
「問答無用か・・・仕方ない。撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!!」
「了解っ!目標っ!3時方向っ!!海賊船団っ!」
「撃てえええええぇぇぇぇぇーーーーーーーっ!!!」
船体を横向きにして各護衛艦の7隻は、一斉に前部と後部に付いて居る2基の主砲と20ミリCIWS・1基が火を噴いた。
ドンドンッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!
ブオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!
海保の船団も同じく機関砲と機関銃を撃ち放った。
ブオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーッ!!
ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!
ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!
ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!ダダダダタダッ!!!
海保の船団の左方向からミサイル艇はやぶさの7艇が現れる。
彼らは、更に海賊達を包囲する為でに左側から回り込む。
「曽我部艇長っ!!各艇予定位置に就きましたっ!!」
「良しっ!!日本の海を荒れす海賊共に情け無用っ!!!撃ちーかーた始めっ!!!」
曽我部三佐は、丸でJの名がが付く、宇宙の始末屋っ!!お呼びと有らば即参上っ!!みたいな事を言いつつ、曽我部三佐が率いるミサイル艇隊は、海賊艦隊を射程位置に捕らえ、各主砲と機銃を撃ち放つ。
ダダダダダダダダッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!
ダダダダダダダダッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!
ダダダダダダダダッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!
ダダダダダダダダッ!!ドンドンッ!!ドンドンッ!!
「うああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーっ!!!」
「ひっ!ひひいいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーっ!!!」
「ばっ!化物だああああぁぁぁぁーーーーーっ!!!」
「にっ!逃げろおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーっ!!!」
逃げ惑う海賊たち、彼らが陣取る狭い島では不利と悟ったのか、一斉に逃げる海賊や、逆に勇敢に日本の軍や警備隊に立ち向かう者も現れた。
そんな中をアルビダは、どさくさに紛れて戦地から逃げ始めていた。
「くそっ!!こう言う事かいっ!!如何りで帝国が大艦隊を率いて攻めたがる訳だっ!!」
「トンだっ!!ハズレクジを引かされもんさね。」
「アルビダっ!!ズラかるよ!!!」
「カーリーナ義姉さん。」
「しっ、その名前は出してはダメって言ってるでしょう。」
「ごめんよ、カーリー義姉さん。」
「宜しい。」
何時も強気で妖艶なアルビダでも頭の上がらない人物が居た。
紅き火蜥蜴海賊団の先代の頭領で既に、ドラグナー皇国の王女のヴァロニカとの戦い戦死をして居る人間族の女海賊カーリーナ・ラドスである。
紅き火蜥蜴海賊団の女海賊達からは母であり姉の様に慕われて居た。
勇敢で優しく美しい彼女は、既に死んで居る筈なのだが、生前に偶々手に入れた死者の宝珠と言う7アクセサリーからなる宝石を身に着けていた為に、姿の見える幽霊として現世に留まって居た。
その後は、密かにアルビダ達を見守って居たのだが、危なつかくしくて、見ていられずに、怪我で死に掛けていた今の女傭兵の身体を上手く回復させて、憑依して肉体を乗っ取り、アルビダの前に再び現れたのである。
最初は半信半疑だったが、紅き火蜥蜴海賊団の幹部らは、自分達のしか知らない出来事を聞かされると彼女の事を受け入れたのであった。
今は表向きの身分は、アルビダの遠縁の親戚で、義理の姉を称して居る。
名前もカーリー・ラッグナスと以前の名前を文字って使って居た。
ちなみに幽霊の彼女が憑依して乗っ取った肉体には、痛覚を感じ難いように意識下で痛覚を切っている。
そんな訳で無茶な治療を病院で受け、カーリーの乗っ取っている女傭兵の身体は、死地から蘇生が出きたのであった。
「それよりも男達を盾にして逃げるわよっ!!」
「はい。死んでは元子も無い。カーリー義姉さんの遺言だからさねっ!!」
紅き火蜥蜴海賊団は、甚大な被害を受ける前に、尖閣諸島から逃げ出したのである。
「小杉一佐っ!海賊達が退いて行きますっ!!」
「海保と各艦に連絡っ!!追撃するっ!!」
「了解ですっ!!」
海自と海保は国境の領海の外まで必要に、そして、徹底的に追撃を繰り返して海賊達を追い払ったのである。
海賊側は、3万人の兵力の内、1500人が捕らえられ、1500人を討ち取られて居た。
捕らえられた海賊達は、一旦はコヨミ皇国に送られ、其処で裁判に掛けられる。
そして、捕らえた海賊の行った罪状の多い国に優先して送られる事と成って居た。
日本は今回の龍雲海での交戦に措いて、捕虜を成るべく取らない方針である。
以前に捉えた捕虜は、情報収集為の目的と日本国籍の民間船の襲撃に由る刑期が終われば、即時開放と言う事が決まって居る。
しかしながら、ローラーナ帝国との外交チャンネルが無い為に、何処かの国を経由して帰国させるしか手立て無かった。
その事が成されるのは、ずっと先の事に成りそうだし見られて居た。
第二次龍雲海沖海戦で、尖閣諸島での戦いはこの様な形で幕引きと成ったのであった。
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