外伝7話 衰退した超文明の子孫達 前編

アースティア暦1000年・4月25日・午前9時30分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸・ユーラシナ大陸中央部地方・シベリナ中央地方・ダバード・ロード王国・イングラード州・王都インディクス・インディクス城にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 ダバード・ロード王国の宰相であるアイサ・ノートは日本国との交渉準備に追われていた。



 特にしなければ成らないのは、日本との交通路網と長距離連絡設備の整備である。


定期的な交易や互いの首脳または大臣や官僚との交流を活発にして行くのには、やはり交通の便や通信設備の充実が良くなければ成らないのである。


 その点、ダバード・ロード王国と日本との交通路を考えると陸上の街道では、日本国の自動車なる乗り物では、数日掛かってしまう。


 次に鉄道と言う乗り物を整備すると成ると、莫大な費用と時間が掛かるだろう。


 地球世界とは違って、空き地と国有地が圧倒的に多いアースティア世界に措いて、土地の買収費用は然程掛からないが、大陸間横断鉄道の建設と成ると、本来ならば一世紀以上は掛かる国家事業プロジェクトだからだ。

 

 次に考えられる方法はと言うと、帝国との国境沿いを流れるパイプ・ライン大河を使うのが、今考えられる現実的に最も日数が少ない方法だと考えられる。


 しかし、この航路は、一番便利で早いが、常に帝国の嫌がらせ行為の有る危険地帯を通る事に成る。


 それでも大河沿いには、数多くの港が在り、各地へと続く川が流れているパイプ・ライン大河と繋がって居る所が多く、とても使い易くあるのだ。


 この国ではアルインランド州の州都・ベルクラネル市の近くのアイリッシュ湖もその一つだった。



 アイサは、それとは別に有るもう一つ地点に目を付けた。



 国土交通管理省が管理して居る地図では、ガイダル諸島と書いて在るだけたが、此処には400年前まで使われていた飛行場施設である旧ロード・コスモ資本連合国ガイダル諸島空港が遺跡と成って残って居た。


 何でも空挺魔導戦艦専用の飛行場が在ったと記録には残って居るが、州都・ベルクラネル市の北へ50キロの地点へと飛行場が移転した事により、航路の変更が行われて、今は使われずに放置されていた。


 以来、その飛行場は長い年月の間、忘れ去れて居た。



 アイサは国土交通管理省から上がって来たガイダル諸島の旧飛行場の資料に目をやる。


 国土交通管理省とは、ダバード・ロード王国に措ける日本国で言えば、国土交通省のことで、王都インディクスの官庁街に在る省庁の一つである。



 彼女は、此処なら古い建物を取り壊すだけで済むかもと考え、アーヤ・シュチュ―ド女王に上申するのであった。


 ダバード・ロード王国の宰相であるアイサ・ノートとアーヤ・シュチュ―ド女王の二人は、国王執務室で、日本国へと飛行場として貸し出し提供する予定のガイダル諸島に付いて話し合って居た。



「それで、600年も前の飛行場・・・・・本当に利用価値が有るのかしら?」





「はい、新しい所を探すにしても、多額の買収に費用が掛かりますし、候補地の選定も手間となるでしょう。」


「これから更に対帝国戦が激化する中で、食料生産に必要に田畑や木材の生産に必要な野山を下手に削る訳にも行きません。」




「その点、遺跡同然の旧ロード・コスモ資本連合国時代に作られた旧時代の飛行場を改修または建て直す方が良いか・・・あの遺跡は、確か巨人戦争が終わって暫くは使って居たわね?」




「はい、旧ロード・コスモ資本連合国は、第2次転移国家の一つで、宇宙なる所へ飛び出すほどの超文明を持って居たと聞き及びます。」


「しかし、転移して暫く経ってから巨人戦争が起きてしまっ為に、彼の国を始め、多くの超技術を使った兵器や飛行船が転移国家に由って、この世界に齎されたとと言われて居ります。」


「今やその技術の一旦は見られる事も在りますが、今現在に措いての現状では、その殆んどが失われ、我々の様な政府関係者や知識人以外では、昔話や御伽噺とされて居ますね。」


「それに我が国や隣国のオローシャ帝国は、巨人戦争後に第2次転移国家との戦後復興を早める為に、隣国の大国の国家との合併をする事と成りました。」



この世界は、第1次転移国家群と第2次転移国家群がある。



 第1次転移国家群は王制国家と近代または現代的な民主国家で、前者が剣と魔法が主体の国家と後者が機械工業の発達していた民主国家である。



 第2次転移国家群は巨大なロボットと宇宙戦艦、そして巨人タイプの宇宙人がこの世界に転移して来て居た。




第1次転移国家時代の戦争を創世戦争、第2次転移国家時代を巨人戦争と呼んで居た。


 その後に邪神戦争という異界からの化物と対峙した戦争があり、邪神戦争の終結した後にローラーナ帝国は、当時国王であったギルバート・メリッシュ・ローラーナは、皇帝を名乗って世界統一を宣言、周辺国に戦争を仕掛けたのだった。



その直接的な原因と成った理由は、今もって不明であるとされて居た。



この度重なる戦争のせいで、超技術を持った国家は合併したり、国力が傾いたりして徐々に消えて行ったのである。


 その結果、民主的で先進的な考えは忘れ去られて、食料生産と自然調和な生活が取れていた魔法王制国家が生き残って行くのである。


 それでも商業国家や都市国家連合には、代表選挙制度のみが制度として生き残る形と残って居る。


 そして、邪神戦争以前の歴史は徐々にお伽話と成って、人々の記憶の片隅へと追いやれて行くのであった。



 居残った人類は文明の衰退と言う形を残して・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「でも、暫くして邪神戦争での痛手や、ローラーナ王国がローラーナ帝国へと国名を改名して、突然の周辺国への宣戦布告。」


「泥沼の戦争が続き、南部の領土に有った旧ロード・コスモ資本連合国の遺産を失って、我が国は魔導機兵ナイト・マギアや空挺魔導艦に陸上魔導艦。」


「更には水上魔導艦等の技術を残して、その殆んどを失って居るのよ。」



「そして、南部の最後の領土たる地をレナが調査していた。」


「ダバード・ロード王国が王家の渓谷と呼ばれる遺跡は、旧時代の基地か工場地跡とも言われて居たわね。」


「其処でレナは、古代のナイト・マギアの機体を発掘して居たのよね。」



リナの姉たるレナ・ミーサガ・リンバースは王家の渓谷で、ゾルモン要塞司令官のアーノルド・ドズール大将配下の将であるデナンズ・フリーザー中将が率いる魔導機兵団の前線司令官であるガナベル・セガール・バドー大佐の強襲を受けた。



 バドー大佐は、こう言ったと強襲を受けて、逃げ延びた者達は女王らに報告して居る。


 彼の登場シーンは、もしも・・・日本人が聞いたら、それは宇宙世紀の戦場に措いて、核弾頭搭載型試作ロボットを奪った悪夢と呼ばれた男の様な口上シーンだったかも知れない。


「この遺跡にある全ての物は我らが頂いて行く、我が栄えある帝国の為にっ!!」と。




「それが元でリンバース家は、御家が離散の憂き目に・・・・・・・・・」



「リナには悪い事をしたわ。」


「我が国としては、巨人戦争時代の遺物を調べる為の只の遺跡発掘調査だったのに、今やあの子は復讐の権化と化して、世界最悪の魔導師、雷帝の魔導師とか言われて居るわ。」



「最悪ですか?」



「まぁ、ある意味では災厄とも言うわね・・・・確かとてつもなく身長と胸が大きく成って居るらしく、それと同じで胸もデカイが態度もデカイ。」


「ドラグナー皇国のアイアン・ブラッド・プリンセスと戦場で出会ったら、戦神を呪えっ!!」


「雷光の魔術師に喧嘩を吹っ掛けたら、己の無能を悔やめっ!!」


「アセリアの聖光の天使に罰を下されたなら自信の愚考を恥じれっ!!」


「そして、この三人に鍛えられし、最高の魔術師である雷帝の魔導師と出会ったら、この世の終わりと諦めろとか、誰が流した噂なのかしらね? 」


「更にはドラサダのリナとも言われて居るらしいわね。」



「無法で勝手に気ままで、好き放題の暴れ回る最強の種族である竜人族や竜族達でも。逃げて跨いで雷撃から逃げ回るとかも聞くわ。」


「はぁ~、これじゃ返って面倒な存在に成った気がするわ。」



「ですが陛下、リナに今さら国に戻れとも言えませんよね?」



「そうね。これが言葉通りに始末に負えないとは、この事よ。」


「それに、それどの逸材に育つなら手元に置いて置きたかったわ。ホンと、惜しい事をしたわ。」



 息ピッタリに溜息が漏れる二人。


 面倒を避ける為に追放したリナが、斜め上に成長して帝国に喧嘩を吹っ掛けて居るとの報告が、何処からともなく、幾度も幾度も繰り返し聞こえて来るのである。


 更にそのお陰で自国が助かって居ると成ると、下手にリナを取り押さえられないのだ。



 アーヤは、リナを力量と器の見方を誤った事を悔いて後悔して居た。


 それはアースティア大戦の戦後に措いても同じく、リナの帰郷は適わなかった。


 リナを国外追放に追いやったアーヤの事を苦手としたリナは、故郷に帰る事を嫌い、大学への進学、大戦下での恋愛、そして結婚と就職と激動の時代を歩んだ彼女は、日本国で一生を過ごす事に成ったのであった。



「それに付いては、取り敢えずは置いて置きましょう。」


「日本には、別件で飛行場の調査と発掘をして貰いつつ、改修か建て直しを頼みましょう。」


「日本の技師や学者関係者達と作業機材の運搬と迎えには、オローシャ帝国に居るリナの親友が、武装運送商会をして居る筈だから、その子に頼みましょう。」



「ああ、先頃、日本行きに付いてのオローシャ帝国からの返答の手紙を届けに来られたと言う方ですか。」



 アイサは数日前にオローシャ帝国から使いとして訪れたシェスカーナ・フローレイティアと言う女性を思い出して居た。



「そうよ、シェスカの所有する私設艦隊ならば、この依頼を十分に引き受けられるわよ。」


「直ぐに魔水晶を要して頂戴、ミランダと直接話すわ。」



「分かりました。」



 アイサは魔水晶によるホットラインの準備に掛かった。



 因みに魔水晶とは、特定の魔力を流し、波長を合わせると映像通信装置と成る水晶隻のこと。



 使用するには魔鉱石を消費するので多額の費用が掛かると言われて居るので、一般的に使用して居るのは、国家組織や王侯貴族又は、商人金持ちくらいである。




 これを使ってアーヤは、隣国であるオローシャ帝国の女帝、ミランダ・ランティーとの間で、フローレイティア武装輸送商会艦隊を使わせて欲しいと嘆願する為であった。



 シェスカは武装輸送商会を経営する傍らで、オローシャ帝国の海軍にも所属して居る為に、アーヤも勝手な事が出きないからである。 






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る