11話 日本は異世界に出会いと外交を求めるのは間違っているのだろうか?1

アースティア暦 1000年・西暦2030年・4月5日・午前11時00分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本列島・日本国・関東地方・東京都・千代田区・永田町・国会議事堂・衆議院・衆議院予算委員会場にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



現在、国会では、新たに確認と接触を果たした近隣国と成った半島国家への使節団と護衛として派遣する自衛隊に関する特別法案の審議をして居る真っ最中である。


 所が与党として連立政権を組んで居る自国党と公民党以外の野党は、使節団派遣の為の法案成立を少しでも遅らせ様として居た。


 その為にあさくら号救出の為に行った自衛隊の防衛出動による海戦である東シナ海沖海戦(後に龍雲海沖海戦と呼ばれる)の政府の責任を追及して居た。


 野党の言い分では、国会で審議を素っ飛ばして、総理権限で防衛出動に踏み切った事が、特に大いに不満であるらしい。



 この事をネタに、内閣不信任案と総理不信任案を国会に提出して現政権に揺さぶりを掛けて来ていた。


 これを審議しないと、使節団関連の法案の審議には、一切応じないと言うのである。



 野党は、これまでどんな政党も万年野党に甘んじて来た烏合の衆である。


 過去二回だけ政権を奪取した民社党だったが、その結果は悲惨な形で幕を下ろした。


 それまで一度もまともな政権の運営していない政党が、党と党内の政権運営の経験不足と突如として起こった大震災に見舞われてしまい。


 多くの不運が祟って、瞬く間に政権を失う憂き目の結果と成ってしまった。


 それに日本国の存亡の危機に有っても、政争する事を優先する野党。


 一刻も早く新規の国家を相手に、外交をしないと無用な敵を増やしたり、紛争を起す結果と成るのは目に見えて居る事だろう。



 現に帝国なる未知の国が、日本国の民間船であるあさくら号を臨検の名の下に拿捕・奪取を試みる事と成り、日本を含めた三勢力の紛争に発展していた。



 この事に関して野党側は、現政権政府の失策として居た。


 野党側は、現政府が帝国なる軍に対して、もう少し穏便な対応するべきだったとして、帝国のあさくら号への攻撃は、この世界に軍の装備に置いて正当な臨検行動に該当する筈だと言って居る。



 万が一あさくら号が拿捕されたとしても、外交交渉にて引渡しを交渉すべき事で自衛隊による救援は、過剰防衛にして、やり過ぎであり、この事件に関わった自衛隊の上層部と現場指揮官と、それを指示した政府の関係者は裁判に掛けられるべき事案だとして、証人喚問するとまで言って来ていた。



 そんな暴論を持ち出してまで国内の反対意見側の意見を自分達の政党は汲み取って居るぞとアピールをして居るので有るが、野党としては、将来的に政権奪取する際の布石をこの度の騒動で打ち出そうとして居た。


 しかしながら、彼らは全く空気を別方向に読んで居る様にしか見えていないとしか言いようがない。


 現在の国内全ての政党は、2025年度に有った政界の大変革で生まれた政党である。


 その年に全ての政党が統廃合と改変が起って居た。



 政界の第一党にして、政権与党を担って居る自由国民党、通称自国党である。


 次に連立を組んでいる第二勢力である公明民権党、通称公民党。


 次に中立的な政党である日本一新党、通称日新党。


 第四は野党の民主護憲党、略して民憲党。



 次に民主社会党、民社党と成って居る。


 最後に紹介かるのが、万年野党と揶揄され、どんな政党が与党に立とうと何を政策立案をしようと反対の二文字しか言わない万年野党政党で有名である日本共有党である共有党が在る。


 国会での審議で、質疑攻めを仕掛けて居るのは、民憲党、民社党、共有党である。


 これ等の政党は、自衛隊の戦闘行為その物を問題視し、政府の責任追及をする事で勢力を伸ばそうと考えていた。



 日新党は相変わらずの中立だが、自衛隊のあさくら号救出の防衛出動に前向きに賛成と支持を述べて居た。


 それどころか大陸への使節団とその護衛である自衛隊の派遣も容認する構えで居る。



 日新党の意見は、政府はしっかりと憲法を守って自衛隊を運用して居るし、何よりも、このまま日本と転移した国家の呑みの貿易だけでは日本が立ち行かなくなるとして、早急な大陸勢力との新たな国交を結ぶ交渉を行うべきだと言って居る。


 但し、帝国とも停戦か休戦に持込む道も探るべきと中立政党らしい意見も提案して居た。


 政党として意見で言えば、日新党の意見は、まともな部類に入る尤もらしい意見だと言える。


 このままアースティア世界の国々との国交樹立への話し合いや安全保障問題の協議の場を設けなければ、地球世界の台湾問題やウクライナ問題と似た様な憂き目に遭うだろう。


 特にウクライナ問題は深刻な事態へと陥り、遂にはウラドジミールーク・ペーチン大統領の暴政により侵略戦争を始めてしまう事態へと発展。


 此方の世界の地球では、未だに決着が着かないと言う苦しい日々が続いて居る様だ。


 未だに煮え切らない永田町の国会議員らは、国家存亡の危機と言う事態に対して、果たして腹を括れる覚悟が持てるだろうか?


 昨日から続く衆参予算委員会の終盤となる最後の質疑応答が国会内の衆議院予算委員会に掛けられようとして居た。



 一回目の衆議院では、使節団派遣と自衛隊派遣の法案は、与党と中立政党と無所属議員の賛成多数で衆議院で通過している。


 参議院では、世論を気にした与党内の議員が反対に回り、野党の票を混ぜてのギリギリで反対となり、この法案の否決が取られて居た。


 そして、昨夜に成り衆議院に提出された内閣不信任案と総理不信任案の審議は衆参合わせて、アッサリと否決された。


 午前11時の衆議院で、その後の日本国の運命に関わる最後の審議が始まろうとして居た。



「間も無く、衆議院予算委員会での日本の未来が決まる新世界大陸調査使節団派遣法案の審議が始まろうとして居ます。」



 テレビ局とラジオ局では、何処もこの話題で特集を組んで居た。


 世論の殆どが、この法案に前向きに賛成をして居た。



 驚くべき事に、コヨミ皇国への使節団と護衛の自衛隊の派遣に、80%の賛成派と反対が20%と言う数値と内閣支持率が、異例の高さである75%に達して居た。



 特に九州(沖縄も含む)と中国地方、北陸地方に東北地方、北海道の道南に特に賛成が多く見られた。



 関東と関西に東海地方では、国内の経済面からの賛成。


 それ以外では、防衛と海上での治安面からである。


 特に漁師と商船関係の船乗りの人々からは、しっかりと領海と海の治安が良くないと安心して船が出せないと不安視する声が聞こえて居る。



「それでは、新世界大陸調査使節団派遣法案の審議を始めたいと思います。」




「如何やら始まるようです。」



 議長の開会を告げるの言葉で審議が始まる。



 質疑応答は、本来ならそれぞれの政党の議員が質問内容を提出して行う物だが、今回は違って居た。



 日本が始まって以来の国難と言う事態であり、特に野党側は、党首自ら持ち時間一杯を使っての質問攻めにしようとして居た。


 しかしながら、突然、衆院予算委員長の横に数人の官僚が集まり、その内の1人が耳打ちを始めた。


「ええ~、たった今当委員会の始まりを申し上げましたが、安元総理、外務省、防衛省などの省庁から、緊急の事案が出来たとの事で、本事案の審議を一旦、中断したいと思います。」


「なお、次回の審議開催日は内閣と各省庁の情報や法案の一部の改訂の整理と準備が整い次第、再開したいとの事であります。」



 最初の質問をする筈だった民憲党の党首である前川議員は、突然の事でポカンとしたマヌケな顔を晒して居た。


 野党側は、ざわざわと騒ぎ立てつつ、此処に来て与党が通れる筈の事案を通さないのは、可笑しいと首を傾げて居た。



 では何故?それは遥か西での騒動に決着が付き、それに関係した人物が近日中に到着するとの報告を安元総理等は受けて居たからである。 




「衆院予算委員会の中継をご覧の視聴者の皆様、委員会は突然の延期となりました。」


「政府には、どの様な思惑が有るのでしょうか?番組は引き続き注視して行きたいと思います。」



 中継していたレポーターが、リポートを終えると、その番組はスタジオへと戻って行ったが、予定が狂ってしまったその番組のプロデューサーは、大慌ててスタジオ側の司会に、カンペで尺を延ばすように指示を出すのであった。




 アースティア暦 1000年・西暦2030年・4月5日・午後12時00分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・日本国・関東地方・東京都・千代田区・永田町・総理大臣官邸・総理執務室にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 



「それで、例の皇女殿下達は、明日には指定場所に到着するんだな?」



安元の前には小西防衛大臣と諏訪部外務大臣が立っていた。



「ええ、まさか・・・あの海戦に、半島国家の皇女が参加して居ようとは、驚きの報告でしたね。」



「救出艦隊を指揮した鈴置一佐からの報告では、皇女殿下達を丁重に持て成して居るとの事で、特に海自で出される料理はお気に召して居るとか。」



「ああ、海自の料理は旨いとの噂が絶えないからな。」


「特にこんな世界の料理は、恐らく調理法も限られて居るだろうしな。余計に旨く感じるだろうし、珍しくも有るだろうな。」



「で、総理。この後の処置は、如何しますか?」




 其処へ控えていた高橋官房長官が対応を聞いて来た。



「捕虜は用意してい置いた、例のマンションを仮設収容所に改装した所に取り敢えずは、収容して置いてくれ。」



「一月も有れば、瀬戸内海の瀬戸内諸島の収容施設に入れるようにして置く。」



「それに付きにましては、法務省を中心に警察庁と海上保安庁と防衛省で警備と管理を徹底します。」


「自衛隊は、壁際の管理だけですが、収容者と成る相手が軍人なので、警備しか経験した事しか無い警察や刑務官だけでは不安ですし、念には念を入れて海保にも協力をして貰って居ます。」


「本来なら法務省だけでやりたい所ですが・・・・・捕虜を扱うのは、先の大戦以来の処置ですからね。」



「それは仕方の無い事だろう。彼らが此方に馴染んできたら海保の定期巡回と防衛省だけで何とか成るだろう。何しろ、これは初めての事と久方振りの事ばかりだからな。」



「安元さん、紅葉皇女殿下の方は?」



「ああ、それを如何するかだな。」


「今の東京は正直言って非常に不味い。」


「それは彼女達を見られてではない。今の状況がだっ!」


「出きれば首都に近い横浜に招く事で、我が国がコヨミ皇国と皇女殿下らに対して、友好的であると言いたいんだが、安全性を考えると成ると、東京に近過ぎてマスコミと反戦活動家に気取られると厄介だ。」


「下手をすれば、テロとまでは言わないが、嫌がらせ行為をされるかも知れない。」


「反政府組織や国民達から見れば、初めて見て知る異世界人だからな。」


「戦争に巻き込みやがってっ!と言う感情が先走ってしまい、要らぬ諍いの種にも成り兼ねない。」


「それでは安元さん、こうして見てはどうですか?」


「先ず、静岡まで新幹線の臨時列車で移動し、箱根のホテルにでも来て貰ったら、如何でしょうか?」



小西防衛大臣が妙案を提案して来た。



「そうだな。それがベストな案だろう。」


「早速、3日後に来れるように手配してくれ、俺はこっちでの調整と仕事が済み次第、箱根に向う。」


「それと高橋、お前と諏訪部の二人には、紅葉皇女殿との会談には同行して来て欲しい。」


「それと小西さんは、引き続き日本の周囲を警戒して下さい。」



「分かりました。」



 高橋が官邸の職員に指示を出す為に執務室を出て行く。


 残った二人も、その後に続く様にして、執務室から出て行くのであった。

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