第38話 こんな偉人ばっかり


ケイオンという都市がある。


 銀河系リガルティアの主要勢力であるアーカム連邦のテトラ星系第四惑星リドリア星 ニューガン皇国領マシキアのカルパティア地方のバリング県の田舎都市である。


 随分と正式名称が長くなるが、それはそれだけ人類の生存領域が広い証でもある。

 その中に地元の人がシムラー動物園とすら呼ぶ不良校シムラー学園で授業が行われおり、ツリマ人独特のゴムのような体をしたキナミ先生が白板の前で説明をしている。


「この時代のバニースーツ国は乱れに乱れまくっており、このように上下が絶え間なく入れ替わり、前からも後ろからも攻めて攻められる時代をなんといいますか? イナミさん」


 キナミ先生に当てられた黒い肌の女子生徒が立ち上がる。


「ええと……わかりません」


 触角をブルブル震わせて答えるイナミ。


「残念、戦乱期は同盟を結んでは破るの繰り返しでした。すなわち、繋がる相手をころころ変えることです。隣のケート君」


 当てられて圭人がしぶしぶ立ち上がる。


「繋がってる相手をころころ変えるんですね?」


「そうです」


 うんうん頷くキナミ先生。

 それを聞いてにやりと笑う圭人。


「乱交」


 あっさりと言う圭人だが、うんうん頷くキナミ先生。


「その通りです。次々と乱れ交わることからその名が付きました」


(当ってんのかい!)


 心の中で突っ込み入れる圭人。

 冗談のつもりで言ったのだが当たりだったらしい。

 キナミ先生がくすくす悪戯っぽく笑いながら説明する。


「まあ、一般的には違う意味でも使われますが、本来はこちらの意味が正しいのです。ケート君なら絶対言ってくれると思ってました」

「「「「あはははは!!!」」」」


 キナミ先生の言葉にどっと笑う生徒。

 隣でイナミが手を合わせて「ごめん」のジェスチャーを送っている。


(知らんぷりしてやがったなこの野郎)


 カマトトぶりやがってと心の中で毒づく圭人。


「しかし、こっちに来てまだ一年なのによくそういった言葉を知ってましたね」

「そういった言葉を優先して覚えましたので」

「「「「ぎゃはははは!!!」」」」


 どっと笑うクラスメート。「さすがケート」と男子生徒からの称賛の声が聞こえる一方で女生徒からの冷ややかな視線も突き刺さる。

 キナミ先生はと言えばニコニコと笑っていた。


「まあ、それはともかくとして、このような時代に現れたのが後に大帝と言われる人物です。みなさんもゲームやドラマなどでご存知ですよね? そう、オッパイ大帝です」


 白板にえらそーな髭の老人の肖像画が現れる。


「このオッパイ大帝はなんとマッタイラと呼ばれる平民階級の生まれでそこからのし上がってきたことで有名です」


 キナミ先生がそう言うと白板にピラミッド型の階級図が現れる。


「最初のエイから始まってビー、シー、ディー、イーと段々爵位カップを上げていきます」


(伯爵男爵みたいなもんか?)


 勝手に当てはめて考えていく圭人。


「最初はマッタイラなので姓が無いのですが、便宜上、この時代のオッパイをオッパイ・マッタイラと言い、これ以降、爵位が上がるたびに姓を変えていきます」


 キナミ先生がそう言うと白板に名前表が出る。


「エイカップの時はツルペタ、ビーカップの時はフツー、シーカップの時はオーキメ、ディーカップの時はロケット、イーカップの時はマシュマロ、エフカップの時はスイカと言った形で名前を変えていきました」


(わかりやすいからいいけどよー)


 なぜか納得がいかない圭人。


「そして、皇帝位であるジェイケカップになったときはオッパイ=キワミチチになってます」


(極まったんだな……)


 納得する圭人。


「オッパイ大帝は部下にも恵まれています。俗にオッパイの4大ニューと言えば? リールさん」


 差された女生徒が立ち上がる。


「キョニュー、バクニュー、チョーニュー、ホーニュー」


(巨乳、爆乳、超乳、豊乳だな)


 書くまでもなく暗記する圭人。


「そうです。全員の姓にニューが付くことからオッパイの4ニューです」


(毛利の両川とか秀吉の両兵とかそういうやつか?)


 良く知ってるものに置き換えて覚える圭人。


「他に政治面で支えたワキフェチやシリフェチなどの3大フェチなんかも有名ですね。こういった人々は私達の祖先にあたる方々で今でも姓やエニル名にフェチがつく家が多いですね」


(嫌な皇族の名前だなー)


 日本の皇族の方々に感謝する圭人。もっとも圭人は知らないが日本の皇室の方々には姓は無い。


「そんなオッパイですが最初はマッタイラであったため、大成するには苦難の日々だったと言います」


(確かにマッタイラじゃ中々大きくなれそうにないよなー)


 圭人はただ呆れかえった。


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