2021年4月
オリンピックの身代金
読書感想文でーす。
オリンピックの身代金/奥田英朗
どうしても、島崎には共感できなかった。
どうして、不満もなくそこで生きている人夫たちを貧しいといってその人たちはみな不幸な人であるかのように考えたのだろうか。人にはそれぞれ役割があって、高い位置にいる人がわざわざ下に降りてきて、かつ上を貶めようとするのか。裕福な人が敵だといって、爆弾仕掛けたり殺人を犯したり、ヒロポンうったり、正当化されるべきことではない。みんながオリンピックを望む中、破壊工作するというあまりに身勝手な行動。
それ、現代のTwitter民やでっておもった。
Twitterでいろいろネガキャンしている人たちって島崎のことどうおもうだろうか。まさに現代で起こっているオリンピックネガキャンの幾らかは、同じ思考なんだろうなと思いました。
島崎は虚無だ、というセリフがあるんですが、金に囚われた人は他者を批判することに必死でまさにその通りだなとおもいました。
わたしも囚われないように気をつけようとおもいました。
作品としてはとても面白いです。
現代の状況と比較しながら楽しむとよりいいかもです。
わたしにとってはかなりボリューミーだったので、読了まで二ヶ月くらいかかっちゃいました。
平凡王/高橋源一郎
1989年前後のエッセイ。平凡王というだけあって、高橋さんの他作品と比べると、かなり普通だが、一般人と比べて決して平凡ではないことだけはわかった。テレビに対する考察がすごい。カウチポテトって数十年ぶりに聞いたわ。
昭和から平成初期のお話なので今とは時代背景が違うが、天皇崩御時の「自粛」の話、「志村けんの逆襲」、「テレビは映しすぎて嘘をつく」、「反原発」など、以前読了した「恋する原発」(2011年前後)と同様に、似たような現在のコロナ禍でもリンクするところがあっておもしろいなと。
十八歳/谷川俊太郎
二十代ぐらいのときの詩集。特に尖った感性があるわけではないが、逆にそれでも詩人を続けてきたことがすごいなと思った。
ちゃんと後に、不可思議wonderboyなどによりラップにも引用されている「生きる」を生み出したのだから。
ちひろのことば/いわさきちひろ
共産党員だったことを初めて知った。なるほど、才能はあるにしても、やたらと世間で引用されている理由が理解できた。
ひとり目の旦那と嫌々結婚して、他国で旦那が自殺して出戻りするくだりがサラッと書かれているが、どんなメンタルしているんだっておもった。淡い作風とは対照的に、意外と気が強かったのだろうか。二人目の旦那との子どもはたくさんいて、仕事も評価されて結局幸せになれたのだろうけれど、意外と周りはそうでもなかったのかもなとおもった。
そういえば、数年前に彼女の生涯に関する展示会を見て、昭和後期から「心の豊かさ」に関する言及をしていて、感銘を受けたのをなんとなく覚えている。でも今思うと、自分のお仕事命的な発言だったんだろうなと。現代で言うと、女性の社会進出についても物申してそうだなとおもいました、いい意味で。ただ、それは彼女の才能があるから可能であり、みんながみんなそうなるかはまた別かなとおもいました。
オリンピックの身代金でも思ったことだが、共産員は能力の高い人が多いが、かなしいかな、逆に他の人の能力の低さや本人たちの現状の受け入れを理解できないんだろうなとおもった。他人の幸せは、本人がつくるものであって、押し付けちゃだめなんだよね。
作品は好きなのだけれど、人柄を知るとちょっと違うかなとおもうタイプでした。まあ、芸術ってそんなもんだよね。作品がよければいいのだ。
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