悪魔探偵団 ~夢魔の夢~

作者 偽田中一郎

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★★ Very Good!!

男子高校生を探偵役とする怪奇・謎解き物。
サキュバスを思わせるメイドコスの悪魔的存在と出会い、街の怪奇事件に挑む主人公達の活躍を描く。

序盤の導入において、フラれた友人の励ましのため遊びに繰り出すという高校生らしい日常の描写から、メイド悪魔との邂逅という非日常へとスピーディに接続する作劇は出色であり、読者をダレさせない計算を感じる。

本作は章ごとに語り手を切り替える複視点小説であり、第2章では主人公の友人のほうが語り手となって同じ日の出来事を別視点から語り直すのだが、「僕」と「俺」という一人称の差異のみならず、地の文の口調や語彙のレパートリーも各々のキャラクターごとに書き分けられているのが印象的。同じ男子高校生でありながら、ちゃんと違う人物が喋っている感じが出ている。これは作者の確かな文章力の為せる業だろう。
その文章力の一端を証明するのが、プロローグにあたる第1話「夢」である。この第1話は怪奇事件の被害者と思しき女子生徒が語り手となっているが、第2話から始まる主人公達の若々しい語り口調とは全く異なり、怪奇小説ばりの地の文で読者の不安や恐怖を掻き立てることに成功している。冒頭でこの文章力を見せつけられているからこそ、読者は作者の技量を信頼して本編を読み進めることができるのである。

また、そうした堅実な筆力をベースとしながら、ラノベ的エロティシズムを全開にしたメイド悪魔のキャラクター造形も目を引く作品である。「主人公は美味しい目を見なければならない」という男性向けラノベの鉄則がわかりやすく守られている。
バランスよく幅広い読者に受け入れられる作品といえるだろう。