第6話 <レティーアのランク>

 翌日、ギルドからレティーアのランクが出たと連絡があった。アキトたちは、ギルドに入る。

 朝早いこの時間は、冒険者たちが今日の仕事を探すため、掲示板と窓口に押し寄せている。


「あっ!アキトくーん。こっちよ」

「お待たせしました。レティーアのランクはどうなんです?」


 その会話に、ギルド中の冒険者が反応する。大半が、アキトのパーティーから引き抜けるランクであることを祈っている。


「では、発表です。今回、ギルドの規定に基づいて……ランクAとさせてもらいます」

「「「おぉーっっ!!」」」


 冒険者たちが歓声を上げる。ランクAは、上から二番目のランクだ。リーネやマリアと同じである。

 引き抜こうと企んでいた連中は諦めモードだ。彼らのランクは大体Cランク。釣り合わない。

 そんな中、アキトは言葉に不審なものを感じていた。


「規定に基づいて?あれですか。一定ランク以上は試験が必要っていうあの?」

「はい。その規定ですよ」

「じゃあ、レティーアの単純な実力だけだとどうなります?」

「潜在的な能力を合わせると……Sランクですかね?新たにSSランクを作ってもいいくらいです」


 ギルドが静まり返った。可憐で可愛い女の子が自分達より強いのだ。

 冒険者の何人かは、掲示板から離れて酒場に向かった。今日は一日飲むつもりなのだろう。完全に自信をなくしていた。

 冒険者たちに大きな衝撃を残し、アキトたちはギルドを出た。仕事を受けるつもりだったが、レティーアの武器を買いなおさないといけない。

 アキトたち四人は、リーネの武器の受け取りもかねて、もう一度{金属と三匹のおっさん}にやって来ていた。


「おぅアキトさん!今日はなんだい?」

「うげぇ……。リーネがいやがる」

「かーえーれ!かーえーれ!」

「いい度胸ね!?続きしてやるわよ!?」


 店に入るなり喧嘩を始めるリーネとドワーフのおっさん二人を置いといて、アキトは店長のドワーフ、ガンジンと話す。


「実は、レティーアのランクがAだったんだ。実力的にはもっと強い。だからあの武器じゃダメだと思ってな」

「確かに、昨日の武器はDランク冒険者向けですからな。また武器を見繕いますよ。……癪だが、リーネの武器も持ってきやすね」

「聞こえてるわよ!?どいつもこいつも!」


 ちなみに、リーネとドワーフのおっさん二人は、マリアの魔法で拘束されている。暴れることはできない。

 ガンジンが店の奥に消えてから数分。ガンジンが、装備一式とリーネのミスリルソードを抱えて帰ってきた。


「レティーアちゃん……だっけか?ちょっと装備してみてくれ」

「はい。分かりました」


 レティーアが慣れたような手つきで鎧を着て、剣を装備していく。


「早いな。ホントに剣士だったのかい」

「確かに。記憶が戻ったのか?」

「いえ。ただ、なんとなく体が覚えてるんです」


 この短い会話の間に、レティーアは装備を全て装着していた。


「どうよ?」

「……馴染みますね。とても使いやすいです!」

「レティーアがそういうならいいだろう。これもらうよ。いくら?」

「少々高いですぜ。金貨二十枚ですね」

「無理無理無理無理!やめときます!」


 レティーアが、値段を聞くなり顔を青くして断る。自分みたいな素性の知れない者に与えるべき値段ではないと感じたのだろうか?


「いいさ。これくらいは」

「金貨二十枚ですよ!?銀貨じゃないんですよ!?」

「レティーア。アキトはそんなこと気にしませんわ」

「アキトが気にするのは食事くらいだよ。買うべきものはすぐに買ってくれるわ」


 リーネとマリアがフォローしている。

 アキトは経費を削れるところは削るが、大事なものには出し惜しみをしないのだ。


「自分に合った武器は大事さ。でないとすぐに命を落とすぞ」

「でも、私なんかに……」

「何言ってるんだ?レティーアはもう僕たちのパーティーじゃないか」

「っ!そうですね。じゃあ買ってもらいます」


 レティーアの説得?に成功して武器を買った。出費は大きいが、普段のアキトたちの稼ぎに比べればなんてことない。


「さて、リーネ!お前の武器な!どんな使い方した!?」

「急に何よ!?どうしたの?」

「どうしたの?……じゃねぇよ!ミスリルにヒビが入るなんて聞いたことねぇ!何斬ったんだ!?」


 ガンジンのお説教を受けるリーネ。普段よりも修復に手間取ったということで、いつもより高い修理費を請求された。

 用事を済ませ、店を出る一行。リーネは最後まで喧嘩していた。


「さて、まだ朝だし依頼でも受けるか」


 ……というわけでギルドまで戻ってきた。依頼を探そうと掲示板に近づいたのだが……。


「ちょうどいいところに!アキトくん!緊急クエストよ!」

「自分に緊急ですか?一体何が?」

「町に魔獣の大群が接近中!兵士の方と協力して倒してほしいの!」

「それまずくない!?いこうよアキト!」

「行くべきですわ。兵士の方だけでは無理です」

「私、この町を守りたいです」

「みんな……。……よし!ミレイさん。そのクエストは僕たち[剣と魔法の自由人]が受けます!」


 こうして、レティーアの初陣となるクエストが決まった。どんな戦いになるかは分からないが、なんとかなる。

 そんな気がしているアキトたちだった。

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