◇2020.12.12◇(曇のち晴)

12月12日(土)☁/☀

ホスピスに転院して六日目。


昨日は、わたしと次男とで父の病院に行きましたが、ちょうど父は眠っていました。

30分くらいはいたのですが、コロナのこともありますし、この日は早めに引き上げました。


******


そして今日は、長男と次男とわたしでの面会。

父は眠っている時間が増えて、長く話をすることが日に日に難しくなってきています。

面会時間の二時間のうち、少し話をすると、うつらうつらして寝息をたてて……。

そうして眠っている父の顔を見ながら、その手を握るわたし達……。


暖房で空気が乾燥しているせいもあって、水を欲しがります。それも氷水がいいみたい。

気持ちがわかる気がします。

冷たく澄んだ水で、胸の息苦しさをスッキリさせたいんでしょうね。


ホスピスに来るまでは点滴で水分を補っていたせいか、水を口から飲みたがることはありませんでした。

今は、吸い飲みに氷水を入れたのや、時には林檎ジュースも飲んでいます。

点滴を止めたので浮腫もなくなりました。


回復する為の治療では必要なものでも、終末期の患者にとっては、また違う場合もあるんですね。

前の病院では点滴の針も入るところがなくなって、足に注射針を刺したりしていたのですが、痛がって外してしまうので、テープで上から巻かれていたり、(点滴を外さないように)時には拘束具を付けられることもあったようです。

勿論、治療の為の医療行為としては、決して間違ってはいないのですけれど(同意書も出していました)やはり父の心情からすれば辛かったようです。


勿論、一人一人の考え方や病状も違うので、一概には言えませんが、父にとっては点滴を止めたのは良かったと思います。


二時間が過ぎて、眠っている父に

「また、明日くるからね」と小さな声で伝えてから病室を出ました。


明日も長男と次男とわたしで面会に行きます。


******


今は一日一日が貴重です。

貴重で、でも苦しい毎日でもあります。

別れが避けられないことがわかっていて、日々弱っていくのを見ているしかできないのは、やはり辛い。


何度繰り返しても、何人の大切な人達を見送っても……いえ、見送るたびに寂しさは重なり、心は弱くなります。


それでも向かい合わないといけないのが、この別れなのですものね。


明日も父の手の温もりに触れてきます。

まだ、もう少し時間は残されているはずだから……。

旅立つ瞬間まで側にいて見送れますように。


どうか……


どうか……。

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