想像以上の速さ?

「はぁ~~~~、戻ってきた~~~」


地下遺跡に籠って探索すること七日。

久しぶりに地上に戻って来て太陽の光を浴びている。


「さっさと戻って、とりあえず寝よう」


ルーフェイスがいるから、以前セルシアと共に転移トラップで跳ばされた時と違って、睡眠に関しては問題はなかった。

ただ……それはそれとして、地下遺跡みたいな場所で探索してると、どうしても体力が普段の探索以上に消耗する。


「いやぁ~~、今回の探索も楽しかったっすね!!」


「まっ、それは確かにそうだな」


偶にトラップに驚かされたり、予想以上の数のモンスターに襲われたりしたけど、充実した探索なのは間違いない。


「……良い経験は積めたかもしれませんね」


「だろ」


今回はイレックスコボルトみたいなAランクのモンスターには遭遇しなかった。

でも、ケルベロスやデスナイトみたいなBランクモンスターと遭遇することは珍しくないし、Cランクモンスターに関しては本当に……こいつ詐欺だろって思う感じの個体にもよく遭遇する。


「メリルの、言う通り、良い経験が、出来た」


「…………そうですよね」


あっはっは!! メリルとしては半分は違う意味だったんだろうな。


「それにしても、本当に広いですね。全体から見た時……いったいどうなっているのか、非常に気になります」


「……それはそうだな」


一回、端から端まで移動したんじゃないかって思えるぐらい移動したが、半端じゃなく広かった。


ダンジョンの階層なら納得出来る距離ではあったけど、元が地下遺跡……何かしらの建物って考えると、あり得ない広さだ。


バッドエコロケーションで確認するには、あまりにも広すぎるからな…………もしかしたら、俺たちの想像以上の速さで、ダンジョン化が進んでるのかもしれないな。




そういった報告も含めて、街に戻ってから一旦夕食遅めの昼食を食べ終えた後、そのまま爆睡。

翌日、ちょっと早く起きてから数時間後、ギルドへと向かう。


「素材の売却っすか?」


「それもあるけど、一応報告も兼ねてな」


「やっぱりそこまで実力がない奴らが探索しても、死ぬだけだって伝えるんすか」


「そんな喧嘩腰で伝えないけど、似た様な事は伝えようと思ってる」


深くなればなるほど、遭遇するCランクモンスターが本気で詐欺だろと思えるぐらい強い。


全体的にほぼBランクだろって突っ込むほどではないけど、確実に長所を伸ばす? 感じで強化されてる。


「ランク詐欺ってのは、やっぱり反則だよな~~」


「……ラガス坊ちゃま。ラガス坊ちゃまがそれを言うと、完全にブーメランになってしまいますよ」


「うっ…………別に俺たちに関してはどうでも良いんだよ。別に他のハンターたち全員と喧嘩するつもりはないんだし」


地下遺跡の探索に挑むなら、遺跡内に生息しているモンスターと戦うのは避けられない。


となれば、Cランクモンスターの中に割と詐欺野郎が混ざってるって知らないと、手痛いダメージを受けることになる。


「けどあれっすよね。一回から五階層とかまでなら、割と戦えるハンターたちなら刺激的な戦いをするにはもってこいっすよね」


「……現段階ではそうかもな。後、ダンジョン探索の疑似体験をするには、もってこいの場所かもな」


ボス部屋っていう存在がないから、深く潜れば潜るほど、地上に戻るまでに超時間が掛かるけど、五階層ぐらいまでなら、普通に活動しているハンターたちでも……まぁ、なんとなかなるとは思う。


トラップもあるしな。


「その考え、あまり広めない方がよろしいかと」


「自信過剰なハンターたちが挑んで、無駄死にするからか? そういう事が起こるかもしれないけど、あの場所まで行けるって事を考えれば、それなりの実力を持ってるって思っても良さそうだけどな」


「それは…………そうかもしれませんね」


「だろ」


あれこれ話してる間にギルドに到着。


いつも通り倉庫を使わせてもらって査定を行ったけど、もう何回も同じような事をしてるからか、そこまで視線が集まらなくなった。


嬉しい傾向だと思っていると、査定終了後にエスエールさんが待ち構えていた。

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