縛られてるからこそ

「それじゃあ、頑張っていきますか」


たっぷり休養を取り、再び地下遺跡? の探索を開始。

特にメリルが反対したりすることはなく、ダッシュで地下遺跡? へと向かった。


「しかし……本当にダンジョンと化したら、どう管理するのでしょうね」


「本当にダンジョン化したら、宝箱やボスモンスターから定期的に利益を得られるわけだから、多分ハンターギルドが難しいって解ってても、頑張って管理するんじゃないのかな」


「……特別な結界を張ったりして、なんとか管理するしかなさそうですね」


「だな。多分だけど、正面の入り口? から入ろうとするモンスターはいなさそうだから、あそこまで移動する労力以外は……もしかしたら、そこまでなのかもしれない」


とはいえ…………うん、こうしてそこそこ強いモンスターがゴロゴロ生息してるからな。


「「「ッッッッッッ!!!!!!」」」


「ラガスさん、俺が纏めて相手しても良いか!?」


「あぁ、勿論。頼んだよ、シュラ」


「っしゃ!! 頼まれたぜ!!!!!」


遭遇してしまったモンスターは、ウッドゴーレム三体。

スピードはそこまでだけど、パワーと再生力が厄介なモンスター。


「……シュラの奴、あまり時間を掛けてはならないと、解ってるでしょうか?」


「それは解ってると思うぞ…………話は戻るけど、多分姿や気配を消すのが得意な人じゃないと、無事に地下遺跡? まで到着するのはムズイよな」


「体力、魔力、アイテムを消費せずにと考えると、そういった技術が優れた方でないと、難しいでしょう。とはいえ、優れた隠蔽効果を持つマジックアイテムを身に付けていれば、話は別です」


そうか、それは確かにそうだな。


ランク四……だと、気付く個体は気付きそうだな。

安全を優先するなら、ランク五か六の隠蔽効果が付与されたマジックアイテムを複数用意すれば、無理ではないか………………ん~~~~、まぁお金が掛かるな。


「ギルドって、お金持ってるんだよな」


「カルパぐらいの規模のハンターギルドなら、間違いなく並の貴族以上の財産は持ってるでしょう」


「だよな。それなら、後はハンターギルドが信用出来るハンターが何にいるか……そこが問題になるか」


「契約、書を、交わせば、良いんじゃ……ないの?」


契約書、契約書なぁ……間違ってないんだろうけど、そういうのってハンターの人たちが嫌うイメージがあるんだよな。


「ラガス坊ちゃま、それよりも問題は地下遺跡? の警備を任せられるほど優秀なハンターたちが、地下遺跡を潜った方が良いんじゃないか? と疑問を持たない程の報酬を払うか否かが問題になるかと」


「そうか……それもそうか」


危険を冒すって意味では、ダンジョン化した地下遺跡を探索するのも、未開拓地で何日も警備を行うのも変わらない。


リスクはあれど、ダンジョン化した地下遺跡を探索する方が、リターンを期待出来る。


「経営とか管理って、本当に面倒というか考える事が多いな~~~」


「そういうものでしょう。ですが、おそらくハンターギルドからそういった頼みをされるのは、大手クランに所属するハンターたちかと」


「それは……俺たちがあんまり信用されてないから、か?」


ここ最近はギルドの依頼を受けてないから、仕方ないといえば仕方ないか。


「そういう訳ではないかと。おそらくですが、ハンターギルドは私たちがカルパに定住しないことを把握している筈です。ですが、未開拓地の探索を主な活動としてる大手のクランは、今後も主な活動拠点を変えることはないでしょう」


「カルパに、縛られてる、ってこと?」


「その通りです、セルシア様」


「仮に契約を破ろうものなら、クラン単位で評価が下がって賠償を背負わされることになるってことか……なるほど、それならおそらく俺たちに声を掛けてこないのも納得だな。あっ、終わったみたいだな」


あれこれ話してる間に、ザハークの手には三つの魔核が握られ、ウッドゴーレムは死体となっていた。

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