影響力が零れてる?

「…………」


「おはようございます、ラガス坊ちゃま。今日も二度寝しますか?」


「……いや、起きる」


寝過ぎも体に良くないと思い、二度寝せずに起床。

セルシアも数分後に起き、一緒に食堂で朝食を食べる。


「しっかし、やっぱあの人たちも俺らと似た様なこと考えてたんすね」


「そうみたいだな」


「そうなると、本当に考え通り……徐々に変化していくのかもしれませんね」


地下遺跡には何かしらの動力源があり、現在俺たち探索者たちによって刺激を受け、本当の意味でダンジョンに姿を変え始めている、か……憶測ではあるけど、やっぱり割と間違ってない気がするな~~~。


「本当に変わってくれれば、それはそれで探索しやすいかもしれないな」


「かもしれませんね」


「…………なぁ、突拍子な考えだとは思うんだけど、動力源にダンジョンコアかドラゴンの心臓とかを使われてるなら、もしかして未開拓地に生息してるモンスターが他の地域よりも強いのって、それが関係してたりしないか」


「それは……どうなのでしょうね。可能性としては、ゼロとは言えません」


俺もメリルと同じだ。


いきなり何を言うんだって思ったけど、あの地下遺跡の広さ……未開拓地は地下遺跡の上に立っているとは言えない。

さすがに、地下遺跡はそこまで広くはない……筈。

こっから先まだまだ広くなるのかもしれないけど、現時点ではまだ、未開拓地の下に全部あの地下遺跡が広がってる訳じゃない。


とはいえ、未開拓地の下に、あの地下遺跡があるのも事実。


「……セルシア。お前は、どう思う」


「あり、得る。と思う、よ」


「そうか。それじゃあ……おおよそ確定って言って良いかもな」


「動力源、が……ダンジョンコアだと、して、元の……ダンジョン? が、凄く、大きかった、ら……ドラゴンの心臓ぐらいの……力強さ? があって、も、おかしくないと、思う、かな」


仮にダンジョンコアを使って人工ダンジョンを造れるなら、まだ俺たちはダンジョンコアの利用価値? に気付けてない。


結果的に、ダンジョンコアか……もしくはドラゴンの心臓とか、そういう物が動力源として使われた場合、地下遺跡の外にその効力が溢れる可能性も本当にあり得そうだな。


「…………これに関しては、あまり広く伝えない方が良いかもしれませんね」


「……一旦戻るか」


朝食を食べ終えた後、部屋に戻って話の続ける。


「あまり広く伝えない方が良いっていうのは……単純に人工ダンジョンを造ろうとして、それが暴走するかもしれないから、ってだけじゃないんだよな」


「えぇ。最悪の場合、もう一つ……未開拓地の様な場所が誕生する可能性があります。勿論、人工ダンジョンは別として、その影響力が周辺の土地に及ぶまで何年、何十年……何百年かかるのかは解りません。しかし……最悪の場合、人類が住める場所が減るかもしれません」


「あり得ない、とは言えないんだろうな~~~」


それなりに未開拓地でモンスターたちと戦ってきたから解る。


刺青コボルト……に関しては刺青の効果を増す? マジックアイテムがあったからっていうのもあるけど、シャーマンも含めて強かった。


筋肉がムキムキ過ぎるリザードマンも強かったし、どこから現れたのか解らないエルダーリッチも高い戦闘力を持っていた。


戦える人間っていうのが限られてくるとなると、そういう場所……一帯が増えれば、確かに人間の住める場所へ減ってもおかしくない。

あの人の言葉を喋れる刺青コボルトシャーマンも、あの時俺たちが倒してなかったら、多分人間の街を襲撃しようとしてた気がする。


モンスターが全員そうではないと思うが、積極的に人間を殺そうとするモンスターの数が増えれば、メリルの言う通りになる、か…………そうなると、本当にこの話は他人に伝えない方が良さそうだな。

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