過去に……
「っ!? だ、大丈夫だったんですよね!!」
「あ、はい。勿論大丈夫でしたよ。ちゃんと撃ち落としたんで」
ハンターギルドで、オーガに寄生して虫? の話を伝えると、身を乗り出しながら超心配された。
「ラガスさんはちゃんと触れられる前に魔弾で撃ち落してたぜ」
「そ、そうなん、ですね……本当に、良かったです」
何故そんなに心配してたのか、受付嬢が後ろに並んでる人たちの迷惑にならない程度に、超サラッと説明してくれた。
「受付嬢の話を聞いた感じ、確かに心配しねぇ方が無理って感じだったっすね」
「そうだな」
酒場に移動してからも、会話の内容はあの寄生虫について。
「もう終わったことではありますが、本当にあの生物にラガス坊ちゃまが触れられなくて良かったです」
「メリルの、言う通り、だね」
どうやら、ハンターギルドもオーガに寄生していた存在については、既に知っていた。
ただ、あまり詳しい情報は解っていない。
過去にBランクモンスターに寄生して多くのハンターたちを追い詰め、ある時はハンターに寄生して街中に入った途端、無差別に暴れ回ったという事件があったと受付嬢が教えてくれた。
「Bランクモンスターが寄生されたら、身体能力に関しては……Aランククラスになってしまうよな」
「どういったタイプのBランクモンスターなのかにもよりますが、接近戦を得意とするモンスターであれば、身体能力はAランククラスまで上昇するでしょう」
「Aランクモンスタークラスの身体能力、それに加えて再生能力。ここまでだと、前に戦ったハイ・ヴァンパイアクラスの強さだな」
「そのBランクモンスターのタイプにもよりますが、魔法が使えるのであれば、平気で攻撃魔法をいくつも発動しながら接近戦を仕掛けて暴れ回るでしょう」
「……Bランクモンスターがそこまで強くて暴れ回れるって、いきなり遭遇したら上手く対処出来ないだろうな」
そのモンスターの知識を知ってれば知ってるほど、そのギャップにやられそうだな~。
「俺は寧ろ戦ってみたいっすけどね。だって、あれだけ再生出来るとか、超殴り放題じゃないっすか」
「えっと……うん、本当にシュラらしいと思うけど、相手は元がBランクモンスターだから、殴り放題とはいかないんじゃないか」
「あぁ~~~、確かにそれはそうっすね。殴ったり蹴ったりすることだけに集中してたら、ガツンと一発ぶちかまされそうっすね。Aランクモンスタークラスの一撃ってなったら…………いやぁ~~~、さすがに俺もヤバいっすね」
そうなんだよ、ヤバいんだよシュラ。
気付いてくれて良かった~~~。
シュラは確かに俺たちの中ではタンクよりのタイプだけど、Aランクモンスタークラスの物理攻撃は食らえば、普通に大ダメージを負ってしまう。
「まだ酔いは回ってなかったようね。全く……本当にバカになったのかと思ったわ」
「はっはっは!!!! 酔うのはもっと呑んでからだろ。それに、そんな強いモンスターとの戦いは、バカにならねぇとやってられない時もあるんじゃないか?」
「…………本当に、偶に核心を突くことを言うわね」
「ふふ、確かにシュラが言いたいことも解らなくないかな」
「私、も、解る。本当に、強い個体と、戦ってる、時……多分、だけど、気付いたら、笑ってる」
あぁ~~~……はは、そうだな。
普通に考えれば、自分が本当に強いと感じるモンスターと戦ってる時って、普通なら必死になるか、絶望が浮かぶかのどっちか?
それが普通なんだろうけど、俺もハイ・ヴァンパイアとかと戦ってる時は、多分笑ってただろうな。
「しかし、人間の体に侵入して、街中に入ったタイミングで暴れ回ったという事は……寄生した人間の記憶まで読み取ったということですよね」
「そういう事になるだろうな……俺に飛んできた個体も、もしかしたらそうするつもりだったのかもな」
木端微塵に撃ち抜いてしまったから、そこら辺の真相は解らないけど……とりあえず、やっぱり心底恐ろしいモンスターっていうのは解ったかな。
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