何かが居た

どれだけ回復力、再生力が高かったとしても、四肢をぶった斬れば殺れるだろ。


「ふぅ………………疾ッ!!!!!!!!」


メリルたちの牽制により、動きが止まった瞬間に狼牙瞬雷による斬撃刃を放つ。


「ッ、ルゥアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!」


左腕をぶった斬ることには成功したが、それでも一瞬だけ顔を歪ませるだけ、か。


というか、片手で振り回してるくせに、やっぱり破壊力がえげつないな。

どう見ても、通常種のオーガが出せる力じゃない。


かといって……上位種のオーガにも見えないんだよな~~~。

本当に、謎過ぎるっ!!!!!!


「ハッ!!!!!!」


「ナイス斬撃刃っす! ラガスさん!!!!!!」


「……それなら、私、も」


セルシアが細剣に雷を纏い、連続で頭部や心臓部目掛けて刺突を放ち始めた。


突っ込んでぶった斬ろうとしてるわけじゃないから、とりあえずは問題無さそうかな。

どうやらあのイっちゃってるオーガも、急所を攻撃されるのは嫌みたいだ。


「後一息ですね」


「みたいだ、なッ!!! セルシア! スピード上げてくれ!!!」


「了、解」


セルシアは俺の注文通り魔闘気と雷を纏い、突きのスピードを上げて連続の刺突放つ。


動きを止める方の遠距離攻撃はシュラ、メリル、ルーフェイスが行ってくれているので、間違いなくダメージが入っている。


「セヤッ!!!!!」


「っ!?」


そして、俺が放った雷の斬撃刃も右足を斬り落とし、思いっきり体勢を崩すことに成功。


「ぬぅおおおおおおらああああああああああッ!!!!!!」


後は居合切りの素早さを捨て、連続で斬撃刃を放ち続ける。


「っ!!?? ッ、ァ、っ………………」


「ふぅ~~~~、なんとかなったな」


「そうですね。明らかにただのオーガではありませんでしたね」


バラバラにぶった斬ることで、なんとかイっちゃってるオーガを討伐することが出来たっ!!??


「あっぶねぇ~~~……なんだったんだ、今の?」


オーガの頭部から何かにょろにょろとした物体が出てきたと思ったら、いきなり襲い掛かって来た。


貫通効果を付与した回転弾を撃ったら即死したけど……マジで何だったんだ?


「ラガス坊ちゃま、大丈夫ですか」


「大丈夫なのは大丈夫だ。特に問題はない」


触れられる前に撃ち抜いて爆散させることが出来たからな。

にしても、あんなモンスター……見たことがない。


「ねぇ、ラガス。最後の、あれ……なに?」


「俺も初めて見た。初めて見たんだが………………あいつ、確かオーガの頭から出て来たんだよな」


「頭部……脳からですか。そうなると……無茶苦茶な考えかもしれませんが、先程飛び出してラガス坊ちゃまを襲おうと? した謎の個体が、オーガを操っていたのでしょうか」


「操っていた…………っ」


待て待て、そういう事なのか? 


あれだよな……寄生虫ってやつだよな。

生物の体に入って、入って……そんなに操れたっけ?


とりあえず、俺たち人間だけじゃなくて、おそらくモンスターにも害がある存在の筈。


けど、俺がさっき撃ち抜いて爆散させた個体……多分だけど、普通の……いや、ちょっと大きめの昆虫サイズぐらいはあったよな?


「ラガス坊ちゃま。何か思い付いたのですか?」


「……さっき、俺があのうにょうにょした個体を魔弾で撃ち抜いただろ。そしたら、魔石がなかっただろ」


「少々お待ちを…………………………その通り、ですね」


体の大きさを考えれば、あったとしても小さ過ぎて、俺の魔弾で存在ごと消滅してるかもしれないけど。


ともかく、あれがモンスターだとは感じなかった。


「あれは、モンスターじゃない。オーガの頭の中に潜んでいたという事は、おそらく主に他の生物の体に入り込んで寄生する生物だ」


寄生虫という細かい詳細までは伝えられないが、それでもメリルならある程度解ってくれる。


「他生物の体に寄生……なんとも、恐ろしい個体ですね」


メリルの言う通り、心底恐ろしい存在だ。

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