今更ながら

「そういえばよ、ラガスさんはモンスターとか戦う時、どんな事に気を付けてるんだ」


四人と合流してから即出発し、未開拓地を歩いてるとレグディスがそんな質問をしてきた。


「どうした、いきなり?」


「いや、ちょっとした質問だ。ぶっちゃけ、俺たちより戦ってきたモンスターの数は多いだろ」


「……そうだな」


許可を貰ってから戦って戦って訓練して戦って、魔靴を造って……そんで戦ってって生活を繰り返してたからな。


「んで、ハンターになるまで、死にかけた事とかあったか?」


「ん~~~~~~………………死にかけた事は、ないかもな」


ハンターになってからの戦いを思い返しても、死にかけたことはない、な。

あっ、ダンジョンの最下層のボスの……ハイ・ヴァンパイアだったか。


あれとタイマンで戦った時は、なんとか首元に刃や銃弾が飛んでくる感じの危機感は感じたっけ。

でも……うん、そうだな。結局死にかけはしなかったな。


「や、やっぱぶっとんでんな。んでよ、死にかけた経験がねぇなら、あんたが戦闘の際に気を付けてることが、割と重要なんじゃねぇかと思って」


「………………なんか、割とリーダーっぽいな」


「バカっぽいのは解ってっけど、強くなりてぇからな」


「ごめんごめん、別に馬鹿にしたわけじゃない。でも、気を付けてること、か…………俺はさ、魔弾っていうアビリティがあるから、割と安全に戦い続けることが出来たんだよ」


「? 魔弾って、この魔弾じゃなくてか?」


レグディスはいきなり魔力を指に集め、そこら辺の木に向かって撃った。


ん~~~……ただ撃った、って感じだな。


「その魔弾で合ってるよ。ただ、俺は魔弾っていうアビリティを持ってるんだよ」


「それだけで、そんなに変わるのか?」


「変わるね。っていうか…………アビリティの所有者としてこんな事を言うのはあれだけど、なんでそんな事まで出来んの? ってツッコみたいところとかあるし」


各属性の魔弾を放つことが出来る。

それは解るし、回復弾に関しても……うん、一応解る。


魔弾を操る技術を意識せずに出来る、これに関しては非常に解る。


ただ……付与効果とか、呪弾とかは今更ながらちょっとよく解らん。

勿論有難いことには有難い。

呪弾のお陰であのクソ馬鹿王子を散々目に合わせることが出来たしな。


「アビリティのお陰で、数十体のモンスターに囲まれたとしても……高速で動きはすれど、割と安全に倒せる」


「……やべぇな、魔弾」


「そうだな。俺も今更ながらにやべぇと思うよ。ただ……気を付けてたことがあるとすれば、なるべく急所を狙うようにしてたな」


「基本中の基本ではあるな」


「だろ。でも、魔弾だとモンスターが強化系のアビリティを使えて、魔力か闘気まで纏えたら……通常の魔弾だと、適当に当ててもあまり意味がなくなる」


貫通力上昇、回転を加えてもどうなることやらって感じだ。


「だから、少しでもダメージを与えられるように眼とか心臓、魔核や首を狙うようにしてたな」


「………はぁ~~~~。基本を疎かにしちゃならねぇってことだな」


「簡単に言うと、そういう事かもな」


「ねぇ、ラガスさん。モンスターの中には自分の急所を解ってる個体もいるけど、そういった個体が相手の時はどうしたら良いかな」


「そりゃあれだよ、ヴェルデ。急所を狙うと見せかけて別の場所を狙えば良い。お前らは一人じゃなくて四人で戦ってるんだから、直後にまた急所を狙えば、なんとかなるんじゃないのか」


対峙するモンスターにもよるだろうけど、全ての攻撃に対処出来る個体はそう多くない。


「それもそうか……頭がパンクしそうってなるけど、でもやらなきゃこっちが殺られるんだもんね」


「ふふ、良い思考じゃん」


難しいって解ってても、実戦ではやらなきゃ殺られる。

本気で上を目指すなら……尚更無茶だと思ってもやらなきゃな。

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