ガンガン振るうよ?

「……といった流れになりますが、よろしいでしょうか」


「はい、分かりました。あと、これは先に聞いておきたいんですが、ルーキーたちがこう……反抗的な態度を取る場合は、物理的に指導を行っても良いのでしょうか」


言葉で伝えられず、考えを正せない指導者は二流三流?

そんなの、知ったこっちゃないって話だ。


そもそも俺の本職はハンターだ。

指導はハンターとしての仕事の一環。

個人的に……前世の記憶元だけど、割と拳骨を食らったり、尻を引っ張たたかれた痛みってちゃんと覚えてるから、言うことを聞きやすくなった……ってのが実体験としてある。


「えぇ、勿論です!! ラガスさんたちの言う事を聞かないバカたちには、キッチリ物理的指導をしてあげてください!!!!!」


「そうですか……それでは、そういった形でやらせてもらいます」


こうしてルーキーたちの指導と内容、当日の流れなどの話し合いは終了。



「ラガスさん、どれぐらいの強さで殴って良いんですかね」


「……シュラ、言っておくけど俺たちの仕事は指導だからな。ぶん殴ることが仕事じゃないからな」


「勿論解ってるっすよ。でも、絶対にラガスさんや俺たちの事を嘗めてかかってくる奴は一人か二人、もしかしたらそれ以上いても全然おかしくないっすよ」


そうだね~。まだハンター歴はそんなに長くないけど、そもそも俺たちはまだエメラルドランク。

立場としては、一応同じルーキーな訳だし……年齢的に、俺やセルシアだけじゃなくて、シュラやメリルも嘗められそうだよな。


「可能性としては、十分あるでしょうね」


「ほら、メリルもこう言ってるんすから、先にそこら辺の下限を決めておいた方が良さそうっすよ」


「……青痣ができない、骨にヒビが入らない程度だろうな」


「骨折じゃなくて、罅もアウトっすか?」


「よっぽど生意気な奴らがいたら、頭以外の場所なら罅ぐらいは良いかもな」


「了解っす!!!!」


……どうせなら、指導が始まったら座学をすっ飛ばして、いきなり訓練場でルーキーたちをラストに叩き潰してもらうのもありか?


それとも、その役割はリーダーである俺がやるべきか?


「ラガス坊ちゃま、まだ指導まで時間はあります。ゆっくりと考えましょう」


「……そうだな。さんきゅ、ちょっと冷静になった」


「それはなによりです」


指導を行う日まで三日ある。

魔靴でも造りながらじっくりと考えるとするか。



「…………ラガス坊ちゃま、それ……何足目ですか」


「ん? そうだなぁ……六足目だな」


「……休日なので、趣味に時間を費やすことに文句などありませんが、ちゃんと細かい指導内容を考えていますか?」


あぁ~~~。それでちょっと怒ってたのか。

メリルは心配性だな~~~。


「大丈夫だって、ちゃんと考えながら造ってるよ」


「…………どうにも、私にはこの魔靴のクオリティ的に、全神経を魔靴の製作に注いでいる様にしか思えません」


「どれぐらいで売れそうだ?」


「余裕で白金貨数枚から十何枚……場合によっては数十枚になるかと」


「はっはっは!!! そうか、そうか。それだけ評価してくれてるのは嬉しいが、そりゃ使ってる素材の品質が高いからだ。素材の質が高ければ、自然と魔靴のクオリティも上がる」


休日の間に造ってる魔靴に使用した素材は、殆どBランクモンスターの素材ばかりだからな。


一応……腕前的には一人前なんだから、良い素材を使ったらそれなりの品質の品を造り出さないとな。

売るとかどうこう関係無しに、プライドの問題だ。


「…………ちゃんと内容を考えているのであれば、それで構いません。しかし……これだけの魔靴、どうするのですか?」


「ん~~~~……どうしようか? 全く決めずに造り続けてたから、どうしようか一切考えてなかった」


「そうですか。であれば……といった内容を彼らに伝えるのはどうでしょうか」


「ほほぅ~~? そうだな……うん、それは悪くない。良いアイデアだな」


確かに、これだけの魔靴を眠らせておくのは勿体ないな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る