もうおかわりは要らない

「シュラ、セルシア!! エルダーリッチの方にだけ集中しろ!!!」


「おっす!!!!」


「分かっ、た」


魔力切れを待ってても良いっちゃ良いんだが、エルダーリッチの魔力量を考えると、もうそろそろおかわりは遠慮しても良い筈。


魔力切れになったエルダーリッチを倒しても意味無いしな。


「お前らの相手は俺だ」


召喚されたスケルトン系のモンスターに、聖光弾を十発以上展開して掃射。

一応強化されてはいるが、回転と貫通力強化まで加えた聖光弾なら結構あっさりと殺れた。


「っしゃ!! 戦りやすくなったぜ!!!!」


「もう、召還はさせない、よ」


「っ!!!」


二人の斬撃に対応するほどそういった技術も持ってるが、完全に体が暖まった二人が相手だと、もう手下を召喚するのは不可能だろうな。


……あっ、やべ。メリルのこと忘れてた。


「ラガス坊ちゃま、こちらは終りました」


「お、おぉう……随分早かったな」


スケルトンになったとはいえ、ランクはCと中身があるリザードと比べても戦闘力はそこまで変わらないと思うんだが。


「やはり魔核がむき出しになっているモンスターは殺りやすいですね。リビングデット系のモンスターはあまり相性が良くありませんが、スケルトンケイトは非常に相性が良いようです」


つまり、スケルトン系のモンスターにとっては相性災厄の天敵ってことだ。


どうやらこのダンジョン、俺だけじゃなくてメリルにとっても良い狩場みたいだな。


「そうか。見事だな……さて、ここからどうするか」


スケルトンリザードの骨を回収しながら考える。


ぶっちゃけ……あそこまで密着しながら攻撃、その他の行動を行えてるのであれば、俺やメリルの援護はいらない気がするんだよな。


「お二人の援護についてですか?」


「そうそう。あのエルダーリッチ、ちょっと普通じゃないぐらい近距離から迫る斬撃の対応に慣れてるけど、もう召喚のアビリティを使う隙は無いだろ」


「そうですね……頑張ってその隙を生みだそうとしていますが、ことごとくその機会はお二人が潰していますね」


これまでの戦闘から、二人で戦うことに更に慣れてきたんだろうな。

どのタイミングでスイッチすれば良いのかとか、どっちが強威力の攻撃魔法を対処してどっちが攻撃を行うかとか、そういうのを即座に判断できるようになってる。


「召喚のアビリティを使わずとも、エルダーリッチの魔力が削れていきます……私たちは乱入してくるかもしれないモンスターに気を配っておいても大丈夫そうですね」


「へぇ~~~。メリルにしては珍しい回答だな」


「お二人の連携度を考えれば、絶対に万が一がないとは言えませんが、信用出来る強さを発揮しているかと」


「確かにな。見た感じ、エルダーリッチはまだ魔力量はそれなりにあるが……あの状況だと、もう発動出来る手札が他にないのかもしれないな」


エルダーリッチクラスの魔法をメインとするモンスターなら、もっと強力で派手な攻撃魔法を使ってきてもおかしくない。

ただ、それでも使ってこないってことは、それなりの為が必要なんだろうな。


今の二人を目の前にそんな事すれば、一発でやられるってのは……エルダーリッチも解ってるんだろうな。


それでもダンジョン産のモンスターだからか、逃げようとはしなかった。

その根性? は大したものだとは思うけど、二人が徐々にエルダーリッチの動きを読み始めてきたんだろうな……シュラが大技を繰り出して強魔法攻撃を見事に相殺。


相殺によって生まれた僅かな隙を狙って、セルシアの雷閃がエルダーリッチのローブや中の骨を斬り裂いた。


「っ……ッ!!!!!!」


「させねぇよ!!!!!」


最後の気力を振り絞って魔法を発動しようとしたが、それよりも先に露わになった魔核をシュラが掴み、思いっきりぶん取った。


まだ魔力量に余裕があったとはいえ、魔核を抜かれちゃあな……なにはともあれ、見事な勝利だ。

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