終わるまでに、後何回?

「ゲゲゲギャッ!!!」


「ギャギャギャッ!!!」


「お前ら……一応ヴァンパイアだろ。もうちょいまともな声で喋れないのかよ」


四十一階層に転移して早々襲ってきたモンスターはレッサーヴァンパイア。


ランクはCだが、腕力とスピードは中々だけど……動きが単調なヴァンパイアのなりそこない。


「レッサーヴァンパイアなのですから、それは無理な注文というものでしょう」


「それは解ってるけど、ヴァンパイアって確か……プライドが高いんだろ? 絶対にこいつらを、同じヴァンパイアって、認めないよな~」


「私たちが、盗賊や変態を自分たちと同じと捉えるな! と怒るのかと同じかと、思います」


「なるほど~~。無茶苦茶納得出来た」


いや、本当に解かりやすくて納得出来る説明だわ。

ヴァンパイアもまともな言葉を喋らず、四足歩行で歩くこいつらと同類と思われちゃ……そりゃもうブチ切れしそうだな。


「ラガスさん!! こいつら、中々強いな!!!」


「割と、強い、かも」


「そりゃ良かった。援護が必要だったら言ってくれ」


「今のところ、大丈夫っす!!!」


「りょ~かい」


楽しそうだなぁ~~~……まっ、本当に苦戦してるわけではなさそうだし、周囲の警戒に集中してて大丈夫そうだな。


「つっても、本当にステータス面はこれまで遭遇してきたモンスターと比べても優れてる方だな」


「シュラとセルシア様が楽しんでいるということは、それなりの強さを有していると言っても良さそうですね」


「……やばっ、ちょっとワクワクしてきた」


「はぁ~~、本当に変わりませんね」


「人間の根っこがそう簡単に変わるわけないだろ」


数分後、戦闘を楽しみ終えた二人はあっさりとレッサーヴァンパイアの首を斬り落とし、戦闘終了。


「どうだった」


「いやぁ~~、本当に悪くなかったす。あれが平均レベルなら、思ってたより超楽しめそうっすね」


「そうだな。ぶっちゃけ、これ以上当初予定していた訓練になるのかって心配だったけど、問題無さそうだな」


「あら、ちゃんと覚えていたんですね」


「一応リーダーだからな」


偶に忘れてるけどな。


にしても、これだけ楽しめるモンスターが多い……訓練になる相手が多いとなると、五十層までに到着するのにそれなりに時間がかかりそうだな。


まっ、今までの探索スピードが速過ぎるってだけか。


「っし、それじゃ次は俺とメリルが前衛になるから、二人は後衛を頼む」


「了解っす!!」


「分かった」


そう宣言してから約十分後、直ぐにレッサーヴァンパイア二体と、途中からデス・ナイトが参戦してきた。


「メリル、そっち二体を頼めるか」


「えぇ、勿論、です! ラガス坊ちゃまは、そちらに戦いに、集中してください!」


「サンキュー」


前回のボス戦では戦えなかったからな……存分に楽しませ貰うぜ!!!


「シッ!!!!」


「ッ!!!!」


「はっはっは!!! ご機嫌な剛剣だな!!!!」


正直なところ、四十層のボスほどの強さはない。

てか、バランスを考えれば当然か。


それでも流石Bランクのモンスターだ。

レッサーヴァンパイアみたいに強化系スキルなしで戦ってたら、あっさりと腕の一本や二本、持ってかれそうだな!!!


「オラッ!!!!」


「っ!!?? ッ!!!!!」


「良い反応速度、だな!!!!!」


こっちが身体能力を上げても動揺せず、冷静に対処してきやがる……良いね! 盛り上がってきたぞ!!!!



「ラガス坊ちゃま、少し時間を掛け過ぎではありませんか?」


「そ、そうか?」


「そうです。デス・ナイト乱入してから五分以上も相手をしていました。Bランクモンスターを訓練相手にするのを止めろとは言いませんが、少々時間を掛け過ぎです」


「分かった分かった。次から気を付けるって」


まぁ……こんかいはちょっと時間を掛け過ぎたかもな。

どれだけ全力で動いてもスタミナが減らず、常にベストパフォーマンスを保ち続けるから、つい楽しみ過ぎたな。


けど、まだ四十一階層で注意されてたら、攻略が終わるまでに後何回注意されることやら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る