妥当な見せしめ内容
「ッ!! て、てめぇ……」
……ちっ! 引かない感じか。
しょうがない。そっちがその気なら、とりあえず指を斬り落とすか。
「お前ら、良い加減理解しろよ。ラガスさんはハンターになる前、学生が主役の大会で三連覇してるんだ。お前らより才能があって、お前らより努力を惜しまない学生たちを全て押しのけ、在学中……ずっとトップに君臨してたんだよ」
一応その説明は間違ってはないんだけど、トップに君臨とか自分のことになると中々に恥ずかしいワードだな。
「お前らみたいな気に入らないルーキーにわざわざ絡む様なバカ共が勝てる人じゃねぇんだ…………ここまで言って理解出来ねぇなら、俺がラガスさんに代わってお前らの骨を全部折る。あっ、首の骨だけは許してやるよ。犯罪者になる訳にはいかねぇからな」
「……クソが!!! 帰るぞ、お前ら!!!!」
まだ謝れば印象は変わったんだが……なんで全くカッコ良くないのに、そうまでして頭を下げないんだ?
ここで謝らなかったら、それはそれで下に見てた連中に絡んだのに、呆気なく返り討ちにされてもふんぞり返ってる態度だけの奴って烙印を押されるのに……やっぱり斬り落とすか、折っとけば良かったかもな。
「ったく、勘弁してほしいな……メリル、俺ってそんなにヒョロガリに見えるか?」
「ヒョロガリには見えませんよ。ただ、ラガス坊ちゃまはシュラほど背が高くなく、容姿に威圧感がありません。噂だけが先行してる、そう思われるラインを越えてないのでしょう」
「そっか……三年前と比べて、そこら辺も成長したと思ったんだけどな」
まだまだ威圧感が足りないか~。
そうだなぁ……これから髭でも生やすか?
…………止めとこう。
どちらにしろ似合わねぇから、アンバランスな顔になるだけだ。
「ちなみにラガス坊ちゃま、先程の馬鹿が引き下がらなければ、どうするつもりでしたか?」
「とりあえず指一本斬り落とそうと思ってた」
「……悪くありませんね。一番最初は、それぐらいが妥当でしょう」
「そうだろそうだろ」
周りの同業者たちがちょっとドン引いてるっぽいけど、それぐらいしないと見た目で判断してお前らは絡んでくるだろってツッコミたい。
「面倒っすね。これでダンジョン内でモンスターだけじゃなくて、一応人にも注意しないと駄目ってことっすよね」
「良く分かってるじゃないですか、シュラ」
「……今回は別にそこまで気にしなくても良いんじゃないか」
「どうしてですか?」
「パッと視た感じ、ニ十層以降には来れないだろ。だったら、次の探索でサクッとニ十層まで降りれば良い」
言い終わってから、また同業者たちの怒りを買ってしまう発言をしてしまったと思ったが……もうこの街では今更だな。
「多少モンスターのレベルは上がるだろうけど、前回と同じペースで潜れるだろ」
スピードアップすれば、前回以上の早さでボス部屋に到達出来る筈だ。
翌日、本当なら一日か二日休みを入れるんだろうけど、戦いらしい戦いをしてないから、一日も休む必要はない。
十一階層に転移し、光弾を常に待機させながら、若干速足で移動する。
「……スケルトンとグールも、武器を持っている個体が増えてきましたね」
「武器を持ってるつっても、武器術には程遠い腕だろ。心配する要素にはならないない」
「油断は禁物と言いたいところですが、ラガス坊ちゃまの無双状態を考えると、本当に心配する必要はなさそうですね」
いやぁ~~、本当にそうなんだよな。
光魔法のライトボールより燃費が良いらしいし、本当に楽過ぎる。
こりゃニ十階層までも特に戦いという戦いはなさそうだな~。
なんて感じでちょっと調子に乗りながら探索してたんだけど、マジで本当に光弾だけで殆どのモンスターが片付いた。
……ボスモンスターはちょっと期待しても良い、よな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます