意気消沈?
「ささっとダンジョンを探索するという楽しみがありますが、どうしますか」
集めた情報を話し合う中で、サラッとメリルが楽な道を提案。
「悪い案ではないんだけど、却下」
「そうですか」
ハンターとして楽しむのであれば、ダンジョン探索は一番効率的というか、わざわざ何かを探す必要はない。
ダンジョン探索は……個人的に、もう少しハンターとして活動してからが良いかな。
「ラガスさん、ノールスからそれなりに離れた街の付近での話なんすけど、森を徘徊するタコがいるらしいっすよ」
「……なんだそれ?」
驚きよりも疑問が勝った。
シュラが誇張して話しているとは思ってない。
ただ……話の内容に関しては、疑ってもしょうがないと思う。
「シュラ、なんですかその頭がおかしな話は。どうせ酔っ払いが仕入れた情報ではないのですか?」
「おいおい、酷い言い様だな。さすがに森を探索するハンターたちが、酒を呑みはしないだろ」
「……まぁ、どっちでも良いです」
とりあえず二人が口にした両方ともあり得ないだろうな。
にしても、森の中を徘徊するタコ、ねぇ……普通に考えればあり得ない存在ではあるよな。
でも、おそらく見かけたであろう人物がタコと断言出来たんだ。
見た目がタコであることは間違いないだろう。
「あと、そのタコは火を吐いたりするらしいっすよ」
「…………それ、本当にタコか?」
「分からないっす」
だよな。
水を吐くなら分かるけど、火を吐くって……どういうこと?
本当に真面目に解らない。
「シュラ、そのタコによって起こった被害はどれぐらいなんですか」
「ハンターが何人か殺られて、調査しようとした兵士は……全滅だったか?」
「…………エメラルド、サファイアクラスの冒険者が容易に殺される相手、と考えた方が良さそうですね」
「だろうな。タコのモンスターが森の中を自由に動き回ってるのはちょっと想像出来ないが……とりあえず、行けば解かる話か」
セルシアも賛成してくれたため、森を徘徊するタコ? がいるである森付近の街、ホープレスに行くことが決定。
ノールスのハンターギルドからはもう少し滞在してくれないかと頼まれたが、俺たちが倒すまでノールスを脅かしていたファイルトロールみたいな脅威がないから、さくっとお断り。
道中はいつも通り、モンスターに襲われることがあれば、山賊に襲われることもあった。
「ラガス坊ちゃま、山賊の首を持って帰ってハンターギルドに提出すれば、直ぐにエメラルド……もしくはサファイヤランクにランクアップ出来ると思いますが」
ルーフェイスに匂いを辿ってもらい、あっさりとアジトを発見し、十分も掛らず殲滅は完了。
「そういえば、人を殺せるか否かがエメラルド、サファイヤにランクアップ出来る条件だったか……まっ、別に今回は良いんじゃないか? 焦ることじゃないからな」
「かしこまりました」
いつか父さん、母さんを越える……シルバーランク以上を目指すという目標は変わってない。
でも、それは大きな目標の一つだから。焦って上に登る必要はない。
「到着だな」
途中、ルーフェイスの背中に乗ったこともあり、数日程度でホープレスに到着した。
街の規模はノールスよりは小さい。
ただ……規模的に活気が平均以下とは思えない。
思えないんだけど……思ってた以上に、活気がない。
もしかして、あの噂の森を徘徊するタコのせいなのか?
「ラガス坊ちゃま、まずはギルドで素材を売ってしまいましょう」
「お、おぅ……そうだな」
メリルの言う通り、まずは道中で倒したランクが高くない不必要なモンスターの素材を売却。
「……お通夜でしょうか?」
「黙ってろ」
こいつ……本当に偶に無塩量だよな。
でも、同じ考えではある。
正直お通夜かと思ってしまう程、ハンターギルドにいたハンター、ギルド職員も含めてテンションがかなり低かった。
多分、まだファイルトロールが討伐されてないノールスよりも酷い。
こう……あれだ、自分たちが絶対に殺ってやる!!!! って感じの怒りすら消えてる状態だった。
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