ボロボロになれ

「はっはっは!!!! 最高だな!!!!」


「ガァアアアアッ!!! ガッ!!!!!」


……モンスターの言葉は理解出来ないけど、ファイルトロールもシュラの狂気的な闘争心に呼応してる、のか?


「あいつ、なんであんな動きを……いや、そもそもあの判断力は……」


こちらはこちらで楽しんで……は、いないか。

でも思った通り、こいつはまだまだこれか伸びそうだな。


「あんな動きが出来るのは、単純に実行出来る身体能力があるから。判断力に関しては、これまでの膨大な戦闘経験があるからこそだな」


「……俺が、俺たちがそこまで努力してない、ってことかよ」


おっと、そういう感じに言ってるように思われるか。

言葉って難しい~なぁ~。


「努力してないとは思ってないって。あんたなんか、相当努力してると思うし、実戦的ね経験を積んでると思ってるよ」


「なら、俺には何が足りないってんだよ」


……ここで才能とは言えないない。

いや、別にシュラだって鬼人族史上、最強で最高の戦闘センスや才能を持ってる訳じゃないと思うけど……なんだろうな。


「別に俺は指導者じゃないから、あまり詳しいことは言えない。でも……判断力の速さに関しては、ある程度全力で色んな戦闘スタイルの相手と戦ったからこそ身に着いた、と俺は思う」


同じ力や大型武器の相手は俺。

多数の小細工や短剣に双剣などの相手はメリル。

ルーフェイスという四肢出移動するモンスターとの戦闘経験も、他の人にはない経験かな。


偶に仕事を終えた父さんが相手にする事もあったし、格上との戦闘経験も多い。


「もっと模擬戦を繰り返せってことか?」


「簡単に言えばそんなところかな。あんたの場合は……同じルーキーの中でもとび抜けてるだろうから、先輩たちに頭を下げてボコボコにされるのが一番かもな」


「ボコボコにされるのが前提なのか」


「先輩でも、しっかりと自分より実力が上の先輩に頼めば、結果的にそうなるだろ」


同じルーキーとの模擬戦でも経験にならないことはないと思うけど、こいつの周りに目立ったルーキーっているのか?


ノールスのルーキー事情は知らないけど、多分いないだろ。


「今日みたいに、いつ格上のモンスターと……自分の命を狙う、絶対に見逃してくれない敵と戦うことは珍しくない。そういう時に生き延びたいなら、命は取られないぐらいにボコボコにされるぐらい、別に構わないだろ」


「…………あぁ、そうだな。その通りだ」


他の連中は知らないけど、こいつだけは目の奥に闘志が宿ってる。

もしかしたら、いつか一緒に仕事をする機会があるかもしれないな。


「ぐっ!!!???」


「っと、良い一撃を食らったな」


豪快な大斧による一撃を受け止めようとしたみたいだが、勢いは死なずにそのままシュラを吹き飛ばした。


その勢いで後方の木々に激突。

てか、何本も折れてしまった。

ん~~~~~……とりあえずうでよりも背中が痛そうだな。


背面の骨に罅が入ってたら参戦しようかと思ったけど、まだ戦れそうだな。


「ラガス坊ちゃま」


「セルシアの時と同じで、準備だけしとこう」


「かしこまりました」


まだシュラから闘志の炎は消えてない。

それに……シュラとしては、もしかしたらここからが本番だったのかもな。


シュラの援護より、消火の用意をしとこう。


「いくぜぇえええええッ!!!!!!!」


「あいつ、鬼火まで……しかも、あの練度……ッ」


おそらく、今まで周囲の木々に引火しないために使用を躊躇っていた。

それでもシュラは十分強いんだけど、やっぱりファイルトロールクラスの強敵になると、そうもいかないって判断したんだろうな。


「ぜぇええあああぁあああああッ!!!! オラッ!!!!!!!」


結果として、消火ように用意してた水弾は必要なかった。

学園に入学してから数年で、鬼火の扱いも上手くなったって証拠だな。

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