盲目はしていない
「まっ、あれだ。直ぐに答えを出す必要はない。うん……ただ、友人の……仲間の事情を考えるのも良いけど、個人的にはもっと自分たちの未来も考えてほしいって話だ」
「そう、ね……ありがとう。ラガスが、私たちのことを本当に心配してくれてるのが良く解った。ちゃんと……寮に帰ったらしっかりと考える」
「私も、考えます」
……返事をするだけで、とりあえず答えてるって感じではないな。
二人とも真剣に考えて答えを出してくれるでしょう。
ただ、答えが今までのものと変わるなら、全員一致してないと駄目だ。
「……そうだな。俺もバカだけど、ちゃんと考えるよ」
どうやら、ザックスも二人の……自分のこれからも含めて考えてくれるっぽいな。
ザックスにはもしかしたらこの場で、ライド君と縁を切るのは無理だと言われるかと思ってたけど、現実と向き合って考えてくれるようでホッと一安心だ。
この後、頼んでいたデザートを食べて会計をして、今日は解散。
「あの、ラガス。本当に良かったの?」
「あぁ、大丈夫だ。ここ最近、何回か臨時収入が入ったからな」
最後までレイアが今回食べた料理の金額を気にしていたが、本当に問題無い。
確かに金貨十数枚と聞けば驚き腰抜けな金額かもしれないが、それを上回る謝礼などを受け取ってくる財布に大したダメージは食らってない。
少々重苦しい雰囲気にはなってしまったが、当初の目標は達成した。
最悪の場合……メリルの言葉通り、三人がライド君と……アザルトさんと共に行動するのであれば、もう俺には止められない。
俺はあいつらの友達であって、主人ではないからな。
とりあえず、本気でライド君との関係性を見つめ直すようになっただけ嬉しい。
さて……また明日、色々と頑張らないとな。
待ちをブラブラしてから特別寮に帰ると、いきなりメリルが顔をジーっと見てきた。
な、何か顔に付いてるか?
「ラガス坊ちゃま、あまり無理をなさらなくても良いのですよ」
「……はは、今日も顔に出てたってことか」
三人に対して友達と、未来の仲間と縁を切った方良いと伝えた。
それは俺の中で、結構神経を削ってたみたいだな。
「心配してくれるのは嬉しいよ。でもな、メリル。友達の為に無茶をするのに理由なんていらないだろ」
ていうか、神経を神経を削っただけで、そんな無茶なことはしてない。
三人にガチで嫌われるかもしれないという心配はあったけども。
「ラガスさん、ザックスたちはどう決断したんすか」
「いや、さすがに直ぐ決められる決断じゃない。じっくり考えてくれって伝えた。三人も……表情を見る限り、真剣に考えてくれそうだったよ」
「そうすか……友情に盲目してなかったんすね。それは良かったっす」
友情に盲目、か…………アザルトさんは残念ながら、恋に盲目してしまったんだよな。
「まっ、明日はちょっと気が楽だよ。悪い人じゃないってのは知ってるけど、友達って訳じゃないからな」
今日はザックスたちと話をした。
そして明日は……リーベがアザルトさんと別れる要因となった人物、ライド君とお話をする。
勿論お話と言っても、暴力でお話しするつもりはない。
「ラガス、明日……私も付いて行った方が、良い?」
えっと……公爵家の令嬢であるセルシアが一緒に居た方が、俺の言葉の信憑性が高まる……そう考えてるってことかな?
確かにその可能性はありそうだけど、それはそれで状況的に権力を使って無理矢理アザルトさんと縁を切るか、三人と縁を切るかって迫ってる様な気がする……いや、気がするんじゃなくて事実として第三者から見れば、そういう状況なんだろうな。
「いや、大丈夫だ。気持ちだけ受け取っておくよ」
「そう……メリルの言う通り、あまり、無理しちゃ駄目、だよ」
「分かってる。明日は今日より楽だから本当に大丈夫だよ」
さて、もう明日会う約束はしてるし……何も心配する必要はない。事実を伝えれば良いだけなんだからな。
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