表情でもろバレ

オーガの死体を全て回収し、拠点の場所に戻ると……既に全員集まっていた。


「お疲れ様です、ラガス坊ちゃま」


「おう。まぁ……今回はそれなりに疲れたかな」


「そうですか……つまり、強敵との戦いを楽しんでいたということですね」


「え? いや、別にそういう訳じゃ……ま、まぁそうなるのかもな」


ルーフェイスだけじゃなくて、アルガンツ先生にも同じこと言われたからな。

そこは認めないと駄目だ。


ただ……なんでメリルは俺が実際に三本角のオーガジェネラルと戦っているところを観てないのに、さくっとそれが解るんだ?


「ラガス、どんな敵と、戦った、の?」


「途中までは普通のオーガとか、その上位種だな。それで最後の方になったら、群れのボスの三本角のオーガジェネラルと戦った」


「ッ!! ラガス、お前あのオーガジェネラルと戦ったのか」


うぉ!? いきなり会話に入ってこないでくれよバレント先生。

超ビックリするだろ。


「は、はい。確かに三本角のオーガジェネラルでした」


信じてもらうために、空間収納にしまっている三本角の死体を一度取り出した。


するとバレント先生だけではなく、その場に居た同級生や俺たちの護衛、見張りをしてくれていたハンターの人たちも一斉に驚いた。


そもそもオーガジェネラルの体は大きく、三本角の体は更に大きい。

持ってた大剣もいかついし、初見じゃベテランのハンターでもビビッて後ずさるかもしれない。


「……ラガス、お前もしかして一人で戦ったのか」


「あ、はい。なんか……現場の流れというか、自分の表情というか……なんとなく俺が一人で戦う感じになって、結局最後まで一人で戦いました」


「…………はぁーーーー。そうか……本来なら拳骨を落としたいところだが、そもそもを考えれば落とす相手が違う」


そう言いながら、バレント先生はアルガンツ先生を睨んだ。


「い、いやぁ~~……思ったよりラガス君が良い感じに戦えてたんだ。従魔であるルーフェイスも戦いに参加していなかったし、それなら俺が戦いに参加するのは違うかなと思って」


「…………」


バレント先生もルーフェイスが本当はブラックウルフではないと知っている内の一人だし、なんとなくアルガンツ先生の言い分が分からなくもない……って表情をしている。


「バレント先生、その……とりあえず俺一人でなんとか出来たんで、あんまりアルガンツ先生を攻めないでください」


「あのな……ラガス、実際にこの三本角のと戦ったお前なら、こいつがAランククラスの実力を持っているのは解るだろ」


「「「「「ッ!!!???」」」」」


ま、まぁそれは解ってますけど……バレント先生、それを聞いてビビってる生徒がいるんであまり詳しく話さない方が良いのでは?


「それは解ってますけど……ほら、俺には魔弾があるんで。途中まで普通にやってたら回復力が高過ぎて鬱陶しいというか、中々勝負を決められずにちょっとイライラしてましたけど、魔弾を使い始めてからは結構なんとかなりましたよ」


「…………解った。お前が本当に戦いを楽しんでいたということは解った」


えっ、そこ?

つまり……また顔に出てたって事か。


はぁ~~~、俺無茶苦茶ポーカーフェイス下手だな。

いや、特に平常心を保つ場面ではないかもしれないけど。


「だが、それでもお前は生徒だ。ハンターになれば基本的に全て自己責任だが……今は俺たち教師に守られる立場だ。まぁ……今回は将来先輩になる者たちがやらかしたわけだが……今はいいか」


将来の先輩たちがやらかした?


……つまり、今回いきなりオーガ達が俺たちを襲ってきたのは人間を潰そうと……自分たちの活動範囲を増やそうとしたわけではない、のか。


「分かりました。今度からはもっと先生方を頼らせてもらいます」


「あぁ、そうしてくれるとこっちとしても嬉しい」


そうだな。次回から近くに大人がいれば、Aランク以上の敵が相手という状況なら是非頼らせてもらおう。

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