いったい誰だろう?

「お疲れ様、シュラ」


「うっす。いや~~~、Cランクのモンスターだったんでやっぱりそれなりに時間が掛かってしまったっす」


「何言ってんだ。十分早かったよ」


本当にサクッと倒したよな。

軽く一撃で倒したり、長くても数撃程度で倒し終えた。


攻撃を受け流す技術も前より上がってる気がする……やっぱり、実戦で試すのが一番効果的か。


「ふむ……ラガス君、ワイルドグリズリーの肉は今日の夕食に使っても良いかな?」


「俺は構わないませんが……」


多数のワイルドグリズリーを倒したのは俺じゃないので、夕食の際に食べるのであればシュラの許可を取らなければならない。


「勿論、構わないっすよ」


「大丈夫だそうです。えっと……それなら、時間的に今ここでワイルドグリズリーは解体してしまった方が良さそうですね」


まだ夕食前だが、夕食の料理にワイルドグリズリーの肉を使うとなると、今ここで解体して早めには屋敷に戻った方が良い。


「そうか。判断はラガス君に任せよう」


「ありがとうございます。それでは、直ぐにワイルドグリズリーの解体作業を行います」


ロウレット公爵様とアリスタさんは解体に慣れていないので、見張りを頼んで解体に慣れてる組でささっと解体を行う。


ただ、それなりに数が多いので中々短時間では終わらない。


「……解体の腕も素晴らしいな。既にプロと変わらないのではないか?」


解体している様子をチラ見していたロウレット公爵様から嬉しい褒め言葉を貰った。

ただ、他のハンターが解体してるところを見たことがないから、俺の解体技術がそこまで高いのかはいまいち分からないんだよな。


「ありがとうございます。子供の頃からモンスターを倒すのと同時に解体も行っていたので、それなりの腕はあると思います」


実際のプロの腕を知らないので、あまり大袈裟なことは言えない。

それでもロウレット公爵様に伝えた通り、それなりに長い間解体作業も続けてきたので、決して下手ではない……と、思う。


そう思うが、多分現時点ではメリルの方が上な気がするからな。


というか、シュラはまた倒し方が上手くなったか?

結構あらあらしく攻撃してるように見えたけど、きっちり魔核は傷付けないように倒している。


魔核の位置ってそこまで変化はないけど、個体によって小さいズレがあるから、大技ぶっぱで倒したりするときはやらかす時もなくはないからな……俺も何回かうっかりやってしまったことあるし。


「シュラ、今日はなんか気合入ってたな」


「そうっすか? まぁ、ラガスさんたちがアサルトワイバーンと戦ってるのを観て、闘争心に火が付いたって感じっすかね」


「なるほどね」


普通に考えればそれが一番の理由か。

俺もあの戦いに参加せず、観る側なら次は自分もあんな盛り上がる戦いがしたいって思わなくもない。


「あと……ちょっと負けたくないなって思う人がいるんで」


「へぇ~~~~、それは興味深い内容だな」


言葉通りに捉えるなら、今シュラにはライバルと認識してる人物がいるってことだよな。


身近な人物であればセルシアかメリルか?

でも、二人ともシュラとは戦闘スタイルが違うし、比べるのは難しいような……そんな事はシュラに関係無いか。


けどそういった目で二人を見てないし……も、もしかしてロウレット公爵様かアリスタさんか!?

それはちょっと、なぁ……別になしとは思わないけど、中々壁が高い気がするぞ。


「それは俺が知ってる人か?」


「えぇ、勿論ラガスさんが知ってる人っすよ」


となると、少なからずロウレット公爵様とアリスタさんという可能性がゼロではないな。

でもライバル視するような関係でもない。


ただ……俺が知ってる人物でシュラと実力が同じぐらい、近い。

もしくは上ってなると、結構限られてくるんだよな……まっ、今はとりあえず早く解体することに集中するか。

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