あいつとは大違い
フォース君とリッシュちゃんとの模擬戦を終える、観戦していた人たちから拍手が起こった。
俺としては勝って当たり前の模擬戦だったんだけど……違うか。
この拍手は俺にじゃなくて、俺と戦った二人に向けての拍手だろうな。
「流石ラガス君だね。二人もそれなりに戦えるのだが、君の前ではやはり良い一撃を当てることすら難しいようだ」
「いやいや、二人とも年齢の割には本当に高い実力を持っていましたよ。コンビネーションも高いと感じましたが、最後の武器に属性魔力を纏う技術。あれには驚かされました」
お世辞ではなく、本当に驚かされた。
才能があったとしても八歳や九歳ぐらいの子供がサラッと実行出来る技術じゃないでしょ。
……うん、多分そうだと思う。
俺は例外的な属性魔法のアビリティしか持ってないから、詳しいことはあまり解らないけどさ。
ただ、まだ二人とも闘気は扱えないのかな?
それとも使えるには使えるけど、実戦で使うのは難しいってレベルなのか……どっちかは分からないけど、闘気まで実戦でしっかり使える様になったら、同年代の子供たちとの差が一気に開くだろうな。
「そう言ってもらえると、この子たちの親としては嬉しいよ。さて、二人とも今回の模擬戦で分かったと思うが、ラガス君は十分過ぎる余力を残して二人に勝った。そしてセルシア……今ラガス君と戦えば、前回と違う形になるかい?」
「……多分、無理。また同じ結果に、なる」
「そういうことだ。セルシアも大会から少しは強くなったと思うが、ラガス君にはまだまだ及ばない。そんなラガス君がセルシアの隣に立つ人物として相応しいと思わないか」
「「はい、思います」」
うぉ!? 凄いハッキリと答えてくれた……ということは、本当に俺のことを認めてくれたと捉えても良いのか?
「ラガスさん、生意気な態度を取って申し訳ありませんでした」
「申し訳ありませんでした」
「あ、うん。別に気にしてないから……これからよろしくね」
「「よろしくお願いします!!」」
……うん、超良い子たちだな。
いや、これが当たり前なのかもしれないけど……ほら、俺がセルシアの隣に立つ人物として相応しくないって宣言してきた奴らって、大抵考えが改まることがなかったからさ。
イーリスなんて絶対にまだ俺がセルシアの隣に立つ令息として相応しくないと思ってそうだし……まぁ、確かに俺がセルシアとつり合い取れそうなのなんて戦闘での力ぐらいだと思うけどさ。
そういった連中の中だと……関係が良好になったのはジークぐらいか?
従者は俺に敵意むき出しだったけど、あいつは柔軟な思考だったというか……現状を受け入れたって感じだったよな。
「ラガス、夕食まで時間はあるけど、どうする?」
「どうすると言われてもな……ここで時間を潰した方が良さそうかも」
「ふむ、訓練場で時間を潰すというなら是非私も「そろそろ仕事に戻りましょう。今日以降の為に書類仕事を片付けたいと言っていたではありませんか」…………」
あらら…………バルンクさんも俺たちの交流会? に参加したかったようだけど、残っている書類仕事を片付ける為にアリスタさんに連れてかれちゃったよ。
「えっと……二人は俺と模擬戦を終えたばかりだから少し休憩するとして……シュラ、ちょっとやるか」
凄い戦いたそうな目でこっちを見てたし、一先ずシュラを模擬戦相手に選んだ。
「うっす!!!!」
すると元気と気合十分って表情で返事を返され、メリルが審判を行う形で模擬戦スタート。
当たり前だが、フォース君とリッシュちゃんの強さを足しても、到底シュラに及ばない。
先程までの模擬戦と違って素手で戦うので、鈍い音や風切り音が訓練場に響く。
周囲で観戦していた兵士さんたちも驚いた表情をしていた。
結局はいつも通り途中でストップが掛けられ、模擬戦は終了。
それからは俺やシュラ、セルシアは騎士の人た達とも模擬戦を行いながら夕食までに時間を潰した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます