お前だからこそ
「そんじゃ、行くか」
「あぁ」
「レッツ、ゴー」
授業が終わり、今日は俺達三人で街の外へと向かう。
いつもは誰かしら執事やメイドがいるんだけど……今回は無し。
俺達生徒だけでモンスターを狩りに向かう。
「リーベも、それを身に着けてるだね」
「も、ということはロウレットもか……いや、ラガスのパートナーならば当然か」
「そう、私はラガスの、パートナー、だから」
セルシア、それは本当のことなんだけど、大勢の人がいる前で胸を張って言われると……俺がちょっと恥ずかしい。
幸いにもセルシアの声は大きくないから、多くの人には聞こえていない……と思う。
「私がラガスから貰って、お父さんが欲しいって思って、一番良いのが、造られたの」
「前に言っていたあれか……実際にはどれ程の性能を持っているんだ?」
「えっと……素材が素材だったからな。リーベ用に造った奴と比べて切れ味と脚力強化は数段上だ。それと、雷の魔力を纏えば消費魔力と比べて、高威力の技が放てる」
ロウレット家は雷の魔法アビリティを覚える者が多い。
現当主様、一代前、そして今の次期当主も雷魔法のアビリティを習得している。
「まっ、素材や魔石を公爵様が用意してくれたから最高傑作が造れたんだけどな」
「そうか……もしかしてだが、この魔靴に魔力を纏えば、多少は増幅されるのか?」
「おう、レイジファングにも同じ効果があるぞ。まぁ、他にも効果が有るんだけど……どういうのか、なんとなく解るだろ」
今回、レイジファングに付与された効果の中で、俺の意志に関係無く、偶々付与された効果があった。
「……あぁ、なんとなくだが理解出来る。だが……それなりにコントロールが必要だ」
「だな、でも安心しろ。俺らがいるから暴走しても直ぐに止める」
「しかっりと、止める」
セルシアもグーサインを出し、問題無いと伝える。
するとリーベは少しの間、面食らった表情になり・・・・小さく笑った。
「ふっ、頼もしいサポートだ。だが……何故、二人はそこまで付き合ってくれる」
「何故って……既に報酬はしっかりと貰ってるぞ」
「確かに報酬は渡した。だが……その報酬以上の恩恵を俺は受けている」
真面目な奴だな。
でも、よくよく考えればちょっと過剰サポートか?
ん~~……けど、俺は別にそれが下都は思ってないしな。
「ロウレットも、放課後になれば何度も訓練に付き合ってくれている」
「……私は、模擬戦出来る相手が増えて、嬉しい」
うんうん、セルシアらしい理由だ。
でも……俺もセルシアも他に理由がある。
「リーベ……俺はお前が悪い意味で貴族らしい奴なら、例え莫大な報酬を貰っても手を貸さない。けど、お前はそのまま行けば思い人と結ばれるのに、ライバルにチャンスを与えた」
「それは……そう簡単に、出来ることじゃ、ない」
「セルシアの言う通りだ。俺達はそんな確かな芯を持つお前だからこそ、手を貸すんだ」
俺がリーベの立場なら……多分ライド君にチャンスを与えないと思う。
一度はこれ以上俺の婚約者に近づくなと忠告するけど、それを破る様なら……強硬策にでるかもなぁ~。
平民が貴族に逆らうなんてあり得ない、なんて考えてる奴ならその平民を速攻で潰す様な件だ。
「そうか……ありがとう」
「ははっ、もう感謝の言葉は何度も聞いた。そうだな……その言葉は、ライド君に勝った時に聞きたいな」
「安心してくれ……絶対に、俺が勝つ」
はっはっは!! 良いね。
相変わらず表情は冷静だけど、瞳の奥は燃え滾っている。
今頃のライド君も予定の日まで頑張って訓練を積んでるんだろうけど……流石に一週間で、激的な変化は起こらないだろ。
……いや、やっぱり主人公気質のライド君にその可能性がないと決めつけるのは良くないな。
あり得ない、なんてことはあり得ない。
それがある意味で常識だ。
そんな展開があるからこそ、ジャイアントキリングなんて言葉があるんだしな。
さてさて、今日はいったいどんなモンスターと遭遇出来るか……できればやっぱり人型のモンスターと戦えたら良いな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます