ハンター生活が終われば
「そんなに落ち込む事か? ラガスだって、モテるのは嫌じゃないだろ」
「その女子生徒が寄って来る理由はモテるとは関係無いと思います。それに、モテるのは確かに男にとって喜ばしい事かもしれないけど、群がって来る理由にもよりますよ」
「群がって来る、か。中々手厳しいね。まぁ、ラガスが言いたい事は解るよ」
「カロウス兄さんにはそういった経験があったんですか?」
見た目クールな優男だからそういった経験があっても可笑しくないか。
クレア姉さんやクローナ姉さんも同じような経験をしてそうだ。
「まぁ、入学当初は多少ね。僕が男爵家の子息だからか明らかに上から話しかけてくる令嬢もいたから、そういった人達とは極力関わらない様にしていたよ」
「それが一番良い方法だね。俺も出来ればそうしたいんだけど・・・・・・あまりにもイラッとした場合、反撃の言葉が口から出そうで怖いな」
「ふふ、ラガスは目立ちたくはなくても、権力を持つ相手にペコペコする訳では無いからね。でも、学園の中では心強い味方がいるんじゃないのかい?」
「心強い味方? 友達にロックスって奴はいるけどそいつの実家は男爵家だし・・・・・・カロウス兄さん、もしかしてセルシア・ロウレットの事を言ってる?」
「ああ。僕としては中々に心強い味方だと思うよ」
いや、確かに心強い味方かもしれないですよ。
ただ学園にいる間、四六時中一緒って訳では無いんだし、というか俺が面倒な件を起こさなければ良い話なんだけどさ。そうすれば話しかけてくる面倒な令嬢もいない筈だし。
「家同士の付き合いがある訳じゃなんだし、そうそう上手くいかないよ」
「でも向こうはラガスに興味を持ってるし、友達みたいな感じなんだろ。ならラガスが面倒事に襲われてる時は助けてくれるんじゃないか? 公爵家の娘ってだけで大抵の令嬢や子息はビビッて態度が小さくなる」
「それはあるかもしれないね。それを考えると、友達って関係でいるのも悪くは無い、か」
基本的にデメリットしかないと考えていたけど、一緒に居れば小さな面倒事は自然と来なくなると考えて良いのかもしれないな。
「それに、公爵家当主から直々に武器の依頼が来るんだ。その辺りを考えればある程度の問題は何となると僕は思うけどね」
「あぁーー、あれの事か。とんでもない素材と魔核を態々送って貰ったんだ。前払いの報酬と一緒にね。だから中途半端な作品を造っていない。ただ、作品を送る時に使い心地に付いて感想を送って欲しいと頼んだんだ。でもまだそれが来ていない」
まだ魔靴を送ってからそこまで日が経っていないから来なくて当たり前なんだけどさ。
ただ、その手紙が来るまでが本当に怖い。
素材の良質さもあってまだ造り始めてそこまで日は経っていないけど、今のところ最高傑作なのは間違いない。
「そこまで心配する必要は無いと思うけどね。ラガスは自分が楽しいと感じる事には物凄く集中するタイプだ。そして確実に結果も付いて来ている。だからもっと自信を持つんだ」
「・・・・・・有難う。カロウス兄さんのお陰で少し楽になったよ」
そうだよな。特にミスをする事は無く造れたんだ。
あれだけ高級な素材や魔石を扱うっていうプレッシャーに負けず、あそこまで良い魔靴が造れたんだ。
少しぐらい自信を持っても罰は当たらないだろう。
うん、多分大丈夫だな。
「ははは、シーリアは随分とラガスから貰った魔靴が気にいったみたいだね」
「製作者としてなによりだよ」
だってあんなにシーリアさんが喜んでくれてるんだ。
カロウス兄さんと少し色々話してから一夜が明け、今日の朝食後に二人に造っていた魔靴を渡した。
それを早速履いて試運転を始めたシーリアさんは夢中になって空を蹴っている。
「確かに僕も良い魔道具だと思うよ。普通の靴と違って多少は重いけど、少しでも鍛えている人なら気にならない程度の差だよ」
こんな感じでカロウス兄さんに好評だった。
ハンター生活を終えたら魔靴を造って商売するのもありかな。
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