気前良すぎる

ルーフェイスが戻って来てからフェリスさんのところから借りて来てくれたアイテムポーチのリング版にあたるアイテムリングを使ってメタルゴーレムの残骸を全て回収した。


というか、このリングの性能が正直ぶっ壊れの様に感じた。

まず俺が副騎士団長から貰ったアイテムポーチは四級に対し、フェリスさんから借りたアイテムリングは二級のマジックアイテム。

この時点でアイテムリングの性能の高さが分る。


実際に性能がえぐかった。

収納量はアイテムポーチの約二十倍。

そして更にアイテムポーチの中に入れた物は二週間の間は完全保存される。

一日が二十四時間だから三百三十六時間は食材やモンスターの素材がそのまま保存されているという事。


それで保存効果の対象がアイテムリングの中にしまったものは二週間の間完全保存される。一度保存されたものという訳では無い。

つまり入れた食材などを十三日目あたりで一回外に出してからまたしまう行為を繰り返せば延々と保存できる!! ・・・・・・と俺は思っている。


しかもだ。


『お母さんはこれラガスに上あげるって言っていたよ。似たようなものがいくつもあるからって言ってた』


だそうだ。いや・・・・・・マジで有難いのは有難いですよ。

というか、これと似たような物が幾つもあるって・・・・・・伊達に冒険していないって事だな。


これから何を収納したのかしっかりとメモった方が良さそうだ。

そろそろ貯めているモンスターの素材や魔石とかも俺の魔靴やシュラの鍛冶で造る武器の材料とかに使って消費していくか。


そんな感じで今日一日は終了した。

フェリスさん本当に気前良すぎるでしょ。

勿論有難い訳ですけど。


家に帰って父さんに説明したら物凄く羨ましがられた。

そしてあまり人前では使わない方が良いかもしれないとも言われた。

二級ということもあってやっぱりかなり高級品らしく、阿呆な冒険者や商人に貴族は中途半端な厄介者を寄越して奪いに来るかもしれないとまで言われた。


ただそう言った後に俺の顔を見て苦笑いになり、「でもラガスならそこら辺は心配いらないか」と言われた。

父さんと母さんには俺がどういった事を出来る様になったかは事前に言ってあるから当然の態度かもしれないな。


父さんなんか嫌がらせ系の能力を教えたら爆笑してたし。


それからはシュラは親方の元で鍛冶に励み、ルーフェイスがフェリスさんの元へ戻ったりする事があるので鉱山へ行くときは皆が揃っているときと決めた。


シュラが鍛冶をし、ルーフェイスがフェリスさんの元へ帰っていると時などはソウランさんの元で朝から夕方までずっと錬金術の作業に没頭している。

その甲斐もあってか、ようやく魔靴を造る事が出来た。


「・・・・・・やっぱり多少の違和感はあるな」


今日は魔靴の試運転という事で森の中に入り手頃なモンスターを探している。

外側は金属を使っているが中身は履きやすいように調節してるから問題な。

でもギミックの為に通常の靴のサイズよりも大きく造ってあるからそこの違和感がなぁ・・・・・・。


「問題ないように歩けていると思いますが」


「そこはしっかりと確認してるからな。ただぶかぶかって訳じゃないけど少しの重さといつもよりサイズの大きい靴ってのが少しな」


「でも攻撃の際には問題なく使えるんすよね」


「ああ。攻撃の時に不具合が起こったら・・・・・・それはマジで焦る」


攻撃のギミック的に射程が伸びるからそこが狂うとちょっとな。


『ラガス、こっちにモンスターが向かって来るよ』


「そうか。丁度良い、早速実験台になって貰おう」


さてさて・・・・・・最初の実験台はコボルトか。


「? 傷を負ってるみたいだな。まっ、関係ないけど、なっ!!!!」


何かから逃げる様に走るコボルトがこちらに気付き、必死の形相で襲い掛かって来た。

それを冷静に躱してコボルトの勢いをギミックを発動して勢いを止める。


「よっと・・・・・・うん。しっかりと機能してるな」


俺が足でコボルトの勢いを止めた部分は心臓の辺り。

そこには無数の穴が開いており俺が魔靴を離した瞬間、一気に血が噴き出した。


「お見事です」


「いやーーーーー、手負いとはいえコボルトに対して特に力を入れる事無く瞬殺とは流石っす」


『ブスッと良い感じに刺さった』


俺もこの結果に結構驚いてる。

ひとまずコボルト程度のモンスターの皮膚にはこいつが通じるって事が分かった。


それは確かな収穫だ。

だがコボルトがこちらに来た方向から数人に声と足音が聞こえる。


あぁ・・・・・・状況が何となくだけど解った。

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