違い過ぎる

「ラガス、今何したの?」


「特に大した事はしてないよ。ちょっと顎を揺らして平衡感覚ずらしたんだ」


「・・・・・・その平衡感覚ってのはいまいち解らないけど、上手く立てなくなるって事で良いのかしら?」


「それで概ね合っているよ。本人は立とうと思っても立てない状態になっているんだよ、あの四人は」


ゴブリンとかで試して上手くいったから、構造が似ている人間相手に十分に通用するな。

まぁ、一定レベル以上の相手には攻撃を当てる前に気付かれる、というか仕組みは解らなくても顎を揺らされたら立ちづらくなるって事は知っている人はいるかもしれない。


取りあえず雑魚を相手にするには十分って事が分かっただけでも収穫だ。


「なるほどね・・・・・・あの四人、見た目からしてハンターよね。なんでお父様が元ハンターだって分からなかったのかしら? 確かに場所の見た目は地味かもしれないけど、こう・・・・・・なんて言えば良いのかしら。お父様からはっせられる雰囲気とかで察せると思うのだけれど」


「そこは・・・・・・あれだよ、あの四人のハンターには悪いけど、相手の力量が分かるほど経験を積んでいないんだよ、多分」


「・・・・・・ああ、そう言う事ね。ふふ、どっかの誰かさんみたいね」


過去の出来事を思い出したのか、クレア姉さんはアリクを見て小さく笑う。

はは・・・・・・確かにハンターの四人と、俺に決闘を申し込んで来た時のアリクが被って見えるんだろうな。


アリクもそれを理解しているのか、クレア姉さんを睨むだけで何も言ってこないし。


「ほらお前たち、中に入るぞ」


王都の中に入ると、とんでもなく騒がしかった。

父さんと治めている街と比べて人の人数が違い過ぎるから当たり前だけど、活気が段違いだ。


「・・・・・・・・・・・・凄い。これが王都」


店の数、人の数もとんでもなく多い。というか、いろんな種族の人がいる。

あの尻尾が生えていて頭に耳が付いてるのは獣人だろ。耳が尖がっていて美形なのはエルフ!!


体が小さいけどデブって感じがしないのはドワーフかな?

後体に鱗が付いてるのは竜人族って奴か!!??


ヤバいな・・・・・・こう、物凄く刺激されるというか、心が驚くというか。

兎に角凄い!!! その一言に尽きる!!



「ふふ、さっきよりも目が輝いてるわよ。ま、この様子を見せられたら私もまだまだ驚いているというか、どきどきするのだけどね」


「・・・・・・やっぱすげーーーな」


そりゃ、二回目だとしても田舎と言える場所に住んでいる俺達からしたらこの景色は圧巻だろう。

というか、アリクの奴は王都のハンター達に目を奪われてるな・・・・・・あ、こいつ際どい恰好をしてる女のハンターを見てだらしない顔してやがる。


「・・・・・・マセガキだな」


そういうのに興味を持つのが早過ぎないか? 確かに前世と比べて子供の娯楽が少ないからそう言う事に興味を持ってしまうのも・・・・・・仕方がないのか?


こいつ、気に入った娼婦に入れ込みそうな気がする。そうなったら絶対に助けないけどな。


「取りあえず泊まる宿に向かうぞ。そこで昼飯を食べてから街を散策するぞ」


街の探索か、正直超楽しみだ。

クレア姉さんとアリクも早く時間よ経てって顔してるな。




「よし、これから夜まで王都を散策するけど絶対に俺から離れるなよ。はぐれたら衛兵の方に捜索願いを出さなきゃならないからな」


「「「分かりました」」」


「それじゃ出発だ」


泊まる宿に着き、昼食を食べた俺達は早速王都の散策へと向かった。

ちなみに昼食の肉は舌が蕩ける程美味かった。サラダも普通の野菜じゃなかったのか、美味さが段違いだったな。


そして王都を散策したんだけど、どれもこう・・・・・・規格外って感じだ。


露店の多さ。デパート? の大きさや売ってる品の高価さ。細かい事は解らないけどとんでもなく高価なんだって事は理解出来た。

所々で聞こえてくる値段に背筋が凍りそうになったな。


昼食食べたから露店の料理はあまり腹に入らなかったけど、美味かったな・・・・・・王都にある貴族の学校に入学するのが楽しみになって来た。


剣闘試合を行うコロッセオが有るらしいけど、今日は時間的に無理って言われたな。

まぁ、王都に来れば見れるんだし今度の楽しみに取っておこう。


「ここが父さんの知り合いがいる武器屋だ。ラガスは来るのが初めてだったな。運が良ければ武器をくれるかもしれないぞ」


賑やかな通りから外れた場所に向かい、やって来たのは父さんの知り合いがいる武器屋。ここに来る途中にいくつか見たけど、ここは随分と雰囲気がある場所だな。

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