322.アキラ、拡張する。

 不思議な水晶からは、何かとてつもない力をハンターセンスも感じとる・・・。




「宿主、これは何やらとてつもないマナを感じます。」




精霊さんもそのマナを感じとっているようで、この水晶が神秘的なものだとわかる。




それを丁重に、収納しようとした、その時!!




『グワンッ!! 』




と自分の中で何かが拡張する音がする。すると、精霊さんが、




「宿主、何やら先ほどの水晶の影響により、収納の魔術の許容量が大幅に拡張されました。」




そう告げる。僕自身もそのような感覚を徐々に感じ始める。




「なんだか、馬鹿でかく増えたような気がする・・・。家一個分くらい収納できそうだ・・・。」




そのように感じるので、試しにベリーの木をまるごと、収納してみようと試みる。




「うりゃあああああああああああああ!! 」




自分の中に宿る収納の魔術を発現させると、大きな収納の穴が出現する。それは徐々に下がっていき、ベリーの木をすっぽりと覆っていく。




なんと、ベリーの木は根ごと収納される。そうして目の前には、大きな穴が広がるのであった。




何本かの木々を収納していき、ベリー狩りを終えて家に帰る。




 家に帰ると、心配そうに僕の帰宅を待っていた彼女らが迎えてくれる。そうして、今日の成果を報告と称し、日当たりのいい場所に植林する。




まず、穴を掘っていく。そうして、適度な深さになったら、収納の魔術から、ベリー木を取り出す。




「ほわぁああああああああああ・・・!!! 」




と言いながら、いでよ!! と念じていると、大きな輪っかが出現し、そこから木がにょきにょきと降りてくる。




「アキラ様、もうちょっとです。」




そう言いながら、アルテシアたちがその根っこに土を被せていき、なんとか一本、植え木する。こうして、残りの木も同じようにしていったら、テラの家の一画にベリーの林が完成する。




後は、まゆきの成長促進の魔術をかければ、本日の作業は終了となる。




 然らば、手伝ってくれた彼女たちに、例のものを振るわなければなるまいと思い、重曹君を用意して、ベリーの果実たちを取り出す。




レッツ・マッスルタイム!!




「スゥゥゥウウウウウウ・・・、ンンンンンンンンン・・・パゥゥワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! 」




圧縮機並みの怪力で、果汁を絞って、久しぶりのスパークリングベリージュース。




その甘酸っぱく、弾ける感触に彼女たちは大喜びしながら、ゴクゴクと飲んでいくのであった。やっぱ、紆余曲折あったけど、これが一番うまいなぁ・・・。と思うのであった。

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