312.アキラ、さばく。

 イリスの元へと戻ってみると、彼女は水面と真剣に向き合い、釣りを行っていた。




僕が戻るとタイミング良く、竿がしなり始める。




「・・・・・・今だッ!! 」




そう言って、竿を引き上げる!! 




『バシャバシャ!! バシャバシャ!! 』




その糸の先には、小ぶりな川魚がチョコンと引っかかっているではないか!!




イリスはそれを手繰り寄せ、手に握ると同時に




「汝、我に力を示し給え・・・ッ!! 」




すると、魚はカチンコチンに凍って動かなくなる。そうして、凍った魚を針から取り外す。




「ふぅ・・・。これで二匹目・・・。」




やりきった顔をしているイリス。その成果は二匹ではあるが、可憐な美少女の初心者を考慮すれば、かなり頑張った方である。




その点は、大いに褒めてあげようと声をかける。




「おおお、イリス!! すごいじゃん!! 二匹も釣ったのか。」




そう声をかけると、彼女は嬉しそうにこちらに駆け寄ってくる。




「すごいでしょ!! 二匹も釣れたわ! 」




満面の笑みで、褒められたことを嬉しがってくれる。




一方の僕は、ガッツン漁で12匹ほどらんk・・・じゃなくて、ゲットしていた。そのことに彼女は、すぐ気付いて、




「でも、アキラもすごいじゃない。この短時間で、こんなにたくさん獲って、すごいわ!! 」




とお互いを褒め称える。すぐに凍った魚の口に木の枝を差し込んでいく。そして、鮮度を保つため、イリスの魔術で僕が獲ってきた魚も冷凍していく。




「やっぱ、イリスの魔術ってすごいわ・・・、超有能・・・。」




と呟く。それが聞こえていたのか、彼女は少し照れらながら魔術の出力を強める。




本日の漁の成果は、川魚14匹と大漁、大漁。そうして、家へと戻るのであった。




 それでは、さっそく獲ってきた川魚をさばいていきたいと思います。




塩を手に取り、ごしごしとよぉーーーく揉み込んで、魚の表面のぬめりをとっていく。




次に、魚のエラと内臓を取り除く。この時、ハラワタは破いたら大変なことになるので、慎重に取り除いていく。




内臓をとったら、背骨の内側の血合いという魚の腹と背の身の間にある赤黒い部位を


指でしごいてとっていく。




最後に水で軽く洗っていけば、下ごしらえの完了である。ここらへんの説明はすべて、スキル【職人】さんの受け入れであることは彼女たちには秘密である。




下ごしらえの終わった川魚たちの半分は、まゆきとテラが台所で調理することとなり、もう半分は、僕が直火で焼く段取りとなる。




最近、台所には立たないが、焚火の前にはよく立つようになったなとつくづく思いながら、心は炎(物理)の料理人と化していくのであった!!

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