310.アキラ、ガッツする。
「やめなされ・・・、やめなされ・・・。」
小さい頃、あの某国民的日ノ本御伽草子番組のホラー回で、毎度夜中にトイレ行くが恐ろしくてたまらなかったのを思い起こしながら、不気味に浮かんだ川魚の遺体を遠くから見る。
川の水質は、根流し後のように白く濁っておらず、清らかなままであった。
それに先ほどまで、クマの真似をしていた身体に腫れやかゆみはない。
「私も、根流しの様な上流から毒を垂れ流したような気配は感じられません。」
精霊さんもどうやら、根流しの線は薄いと報告する。
ハンターセンス君からも警戒感じられない。つまりは、水質になんら問題はないということであると推測できる。
恐る恐る魚に近づいていく。ハンターセンスを敏感にしながら、辺りを警戒してその魚を手に取ってみる。
毒がないかハンターセンス君でビンビンに検査していく。
「特に問題等は、ないです。(断言)」
そう感じとったことにより、これは無害であると判明する。それでは、なぜ川魚が浮かび上がってきたのだろうか。
その謎を解明すれば、もしかすると大量に魚が獲れるのではないかと考えるのであった。
試しにもう一度、石を放り投げてみる。
「バッシャァァァァン!! 」
と先ほどと同じように水しぶきをあげる。
しかし、今度は一向に魚が浮上して来ない。あれ・・・、勢い足りなかったかな・・・と思い、今度はでかい石を投げる。
「スゥゥゥゥ・・・ンンンンン!!! パウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!! 」
大石君は、空に飛んで宙を舞う。そして、川の中へ
「バッシャァァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!! 」
それでも魚は浮いてこない。
「なんでかな~~~。なんで浮いてこないかなぁ~~~。」
と成功例と比較してみる。何かが足りない・・・。情熱、愛、夢、希望、そんなふわっっとしたものではない。具体的な要素。
「ガッツが足りない。ガッツーーーンッ!! が足りない!! 」
と擬音語を交えた抽象的な表現で言い放つ。
すると、精霊さんが、
「つまり、振動が足りないんですね。」
「(・_・) ・・・うん。」
そして、数秒後に
「( ゜口 ゜ ) あっ! 振動か!! 」
と理解する。
この瞬間、自分のふわっとした表現を的確に理解した精霊さんの理解力に脱帽する。
「宿主、絶対、ガッツ(根性)が足りないと思ってましたよね。」
そう精霊さんから鋭く指摘されたことは秘密である。まぁ、ケッカオーライ、よかった、よかった。
そうして、先ほど沈めた大石君に狙いを定めて、小石君を全力で投げつけるのであった!!
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