286.アキラ、追いたてる。
ハチがキジを追いたててくれたおかげで、キジは完全にこちらには気付いていない。
この時を待っていた! と言わんばかりに狙いを定める。スキル【計算】の補助により、キジがどこに逃げていくのかが、直感でわかる。
逃げていく方向に、狙いを定めて、射る!
矢は放物線を描きながら、キジの進行方向に飛んでいく。キジはそれに気付かず吸い寄せられるかのように、射線に入りる。
そして、狙い通りキジの胴体を貫く!
「ケェェェェエエエエエエ!! 」
キジは痛いと叫ぶかのように鳴いて、その場に倒れ込む。
僕はそれに素早く近づき、キジの首元にナイフで止めを刺す。
「ケェェェ・・・」
と断末魔が聞こえると同時に、傷口から赤い血潮が吹き出る。首を刎ね逆さまに吊るして、血を出し切るのであった。
その後、テラたちの元へと戻り、キジを見せる。
「なかなかの大きさじゃないの。やったわね! 」
とイリスが喜び、褒めてくれる。それでは、肉が痛まないうちに解体していこう。
まずは、前処理として60~70度くらいのお湯に2~3分浸けた後、羽根を抜いていく。この時、少し面倒でも丁寧に抜いていくと綺麗に仕上がる。
抜いた羽根もあとで再利用するので、大切にとっておく。胸部から腹部にかけてナイフを慎重に入れて内臓を取り除いていく。
取り出した内臓から、スナギモ、ハツ、レバーを分けて水できれいに洗う。
そして、鳥の中もしっかりと水で流しながら残っていたな血を洗い出していく。薄っすらと生えている産毛は少し炙って、前処理が完了する。
次は、いよいよ解体作業だ。
始めに、ウロコがある部分の関節を折り、切れ目を入れて回して、足を外すと同時に筋を引っ張り出す。
次に肉をはずしていく。腹の骨に沿ってささみをはずし、鎖骨を真ん中で切ってそのままあばらに沿って肉をはずしていく。そこから、手羽とモモは肉に付けたままにして、これを両側で行うと肉が1枚になる。
それをまゆきたちが、調理していく。
『グツグツグツ・・・。』
キジ肉は、野菜と一緒に鍋で煮込まれていく。家においしそうな匂いが漂う。そうして、完成するキジ鍋。
残った内臓肉は、野菜と一緒に炒められる。
そうして、完成するキジをまるごと使った料理。それを一口食べると、あっさりとした旨味が口の中に広がる。
「おいしい・・・。」
ただその一言に限る。次に内臓肉の野菜炒めのスナギモを口の中に入れる。噛み応えのある弾力! うん、おいしい!!
テラとまゆきは、本当に料理上手だなと実感しながら、キジ料理を味わうのであった。
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