284.アキラ、這いつく。
しばらくの後、バイソンを見かけた場所へと到着する。ハチにその匂いを覚えさせて、後をつけさせる。
バイソンたちが通った跡には、大きな糞や足跡が残っており、そして食事をしたと思われる痕跡もいくつか見られた。
そうして、追っていくとついに、彼らを発見する。すぐに木の陰に隠れて様子を窺う。バイソンたちは、こちらに気付かず、草を貪り食っている。
風向きを気にしながら、バイソンの一群が、どこに向かっているのか判断した後、その先にある茂みを見つけて配置につき、待つ。
そこで、ひたすら待つ。
やがて、その時が来る。
彼らは、何も知らずこちら側に近づいてくる。逸る気持ちを抑え、毒矢を構えて、獲物を慎重に見極める。
そこから、一番狙いやすい場所に居た一頭に狙いを絞りこむ。そして、毒矢を放つ。
放物線を描きながら、首筋あたりに命中する。手ごたえは十分あった。しかし、毒矢はバイソンを即死させるには至らず、
釣られて、他のバイソンも逃げていく。
毒が足りなかったかと、思った頃にはもうバイソンの一群は、どこかへと去っていた。
それでも、血痕を頼りに彼らを追跡していくと、先ほど命中させた一頭を見つける。
その一頭の足取りはフラフラとしていて、今にも倒れそうであった。それでも、こちらに気が付く。
毛を逆立てて、
「バフォッ!! 」
力強い威嚇音を発する。その音に少し怯んでしまいそうになる。しかしながら、必死の抵抗も虚しく、段々のバイソンの目から生気がなくなり倒れてしまう。
透かさず、近づきナイフを首元に刺す。
「バフォォオオオオ・・・」
と言う唸り声を上げて、血が滴り出てくる。
すぐに、まゆきの忠告通り毒矢の刺さった部位の肉を切り捨てる。毒矢の威力は、凄まじいもので、その部位の肉は、紫色に変色していた。
毒の殺傷能力に感心しながら、すぐに角と前足を切断する。牛の後脚を紐で括り、近くの木の枝で支えながら、吊るし上げれば、血が勢いよく出てくる。
続いて、血の勢いが止まれば腹部にナイフを差し込んでいく。シカやイノシシと同じ要領で、内臓を傷つけない様に解体していく。種類は違えど、四足歩行動物なので解体は同じような感じである。
腹を裂き、腹膜を切れば、
『ドサッ!! 』
と内臓が落ちてくる。消化器系も元の世界では食べれるが、そういう知識がないため、ハチに食べてもらう。
ハチはおいしそうに内臓を頬張る。
その様子を横目に僕はバイソンを解体していくのであった。
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