283.アキラ、煮込む。
思いついたアイディアは毒矢である。これならば、矢の形を変えずに威力アップが期待できる。この中で、一番そういう知識がありそうな人がいるではないか!!
「まゆき、少し知恵を貸してほしいんだけど・・・。」
そう言って、まゆきに事の次第を説明する。
「毒になりそうな植物ですか・・・。お婆から、少し教えてもらったので、お役に立てると思います。」
快く快諾してくれた。
そして、翌日まゆきと共に毒を持つ植物を探してみることとなった。まゆきは、近くの林へと入っていく。僕もそれに続いていく。
すると、すぐに
「あっ、ありました。」
と言い、指を指す。目の前には、白くきれいな花があった。まゆきは、それを慎重に取り、カゴに入れていく。
「これは、グゼリと言って、草全部に毒が含まれているんです。セリと間違えて食べてしまうことがあるので、注意が必要ですね。」
こんな綺麗な花をつけておいて、毒があるとは恐ろしい。
僕も慎重にグゼリを採取していく。そうして、ある程度集まったら、次の場所へと移動する。
そうして、しばらく歩いているとまゆきが何かを見つけた様で植物に近づいていく。
「旦那様、ありました! ありました! 」
そう言って、ヨモギのような植物を指さし、
「これは、トブトと言って根っこに毒がある植物です。多分、これを煮込んだものが、一番狩りの毒矢に向いていると思いますよ。」
と答える。
初めて見るその植物に、思わず一歩下がる。
「旦那様、そう怖がらないでも大丈夫ですよ。」
まゆきはそう言って、トブトを引っこ抜く。けっこう雑に、カゴに入れていく。一応、毒なんだけど大丈夫なのかと心配になりながらも、同じように引っこ抜いていく。
その後、家へと帰宅するのであった。
さっそく、外で採ってきたトブトやグゼリの根っこだけを煮込んでいく。じっくりとじっくりと時間をかけていく。すると、鍋のそこに液体が染み出してくる。
少し鼻がツーンとする匂いなことに気付く。そうして十分煮詰まったら、毒液の完成である。
「旦那様、十分に気をつけて取り扱ってくださいね。動物を毒矢で射たら、矢の付近の肉は切りとってくださいね。」
そう口を酸っぱく聞かされる。それほど、この毒は危険なものなんだと認識する。
それから、完成した毒液に矢を浸し乾燥させる。それを繰り返して、毒を付け込んでいく。そして、ようやく毒矢が完成する。合計、三本作る。
そうして、翌日再び、バイソンを狩りに出かけるのであった。
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