第二十章 引導

280.アキラ、足もみする。

 家に帰宅するや否や、長く漬けておいたキツネとウサギの皮を確認する。スキル【職人】が、ちょうどいい頃合いなんだよね。そう告げてくる。




その皮を水から取り出して、わずかに残っている毛根を取り除いていく作業をしていく。そして、それが終わればいよいよあれを使う時がやってくる。




スキル【職人】が囁く。




『塩入れの潮時なんよね。』




さっそく、買ってきた塩を入れて水分を抜き、十分に揉み込んだを馴染ませるようにしていく。塩の量は、皮の重さに対して、10%ほど入れる。




けっこうな塩により、手の水分が失われて、指がシワシワになる。




そして、塩入れした皮を桶にいれて、「足もみ」と言う足で踏んで揉みこんでいく作業をしていく。ただ踏めばいいというわけではなく、足に力を入れて念入りに踏み込まなければならない。




「なかなか、これしんどいな」




そう思いながら、しばらくの間踏み込んでいく。少し足が疲れを見せ始めた頃。アルテシアとミユが、興味深々にその様子を見ているではないか! 




おっ! (^ω^)ちょうどいい所にいたと思い、彼女らを呼び寄せ、代わりに足ふみをやってもらう。彼女らは皮の感触に驚きつつも、足に力を入れながら踏んでいく。




それから、交代しながら皮を踏んでいくのであった。そろそろいい頃合になれば、それを一晩寝かせる。そうして、本日の作業が終わるころには、空がうっすらと赤みを帯び始めていた。




翌朝、さらに足で揉み直す作業を行う。そうすれば、風通しのいい場所で約2週間ほど、天日干しする。




皮なめしの準備段階から、けっこうな作業量に少し驚く。昔は、衣服を手間暇かけて作っていたのだと実感する。




 さて、皮作業もひと段落ついたので、久しぶりに狩りに出かける。




森の中を進んでいくんよ~~痕跡探しながら、痕跡を探してみるが見当たらない。




いつしか、いつもの狩り場の広葉樹林を抜けて、スギっぽい木々が立ち並ぶ針葉樹林へと迷い込んでいた。




そこは、空を覆い尽くさんと生える針葉樹の枝々が太陽の光を遮り、それにより広葉樹林とは対照的に草木があまり生えておらず、見通しが良い。




しばらく動物の痕跡を探していると、茶色大きな物体を発見する。あまりの大きさに最初は岩か何かだと見間違うほどであった。




イーグルビューで恐る恐るその物体を見る。すると、岩全体が白く誇張される。その時、すべてを理解する。この巨大な茶色の物体はう●ちであったのだ!! 




透かさず、精霊さんが一言。




「宿主、嗅いでください。」




正体不明のう●ちを発見したのなら、次の行動は嗅ぐという行動である。その「うん」命からは、絶対に逃れられないのであった。

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