277.アキラ、珍味を食べる。
心配している彼女たちに元へ戻ってみると、やはり僕の帰りを玄関で、今か今かと待ちわびていた。
そして、僕の姿に気が付くと、喜びこちらに向かって走ってくる。
「アキラさん!! おかえりなさい!! 」
そう言ってテラが抱きついてくる。そして、ワンワンと涙を流し始める。その涙は少し暖かった。皆も無事でよかったと、自分の帰還を喜んでいる。
それから、家へと戻り今日の成果を披露する。その大きな心臓と肝臓に彼女たちに見せる。
「おっきな心臓です・・・。」
「けっこう大きいわね・・・。」
アルテシアとイリスがそう呟き、皆もその大きさに驚く。
それもそうだろう、いつも食べているシカやイノシシと比べて、2倍くらいありそうな大きさなのだから。それをまゆきとテラが、どう調理するか話し合っている。
「せっかくですから、しっかり焼いて食べましょう!! 」
「そうですね、お肉だけでは少し淋しいので、一緒に野菜を焼いてはどうでしょうか? 」
ほほ、どうやら今日の料理は串焼きのようだ。さっそく肝の下処理をする二人を横に、ミユたちがクマを狩った時のことを聞かせてと、せがんでくる。
「仕方ないなぁ~~。」
と言いつつ、僕は内心喜びながら、その話をする。彼女たちは、その話に食い入るように聞いてくれる。
「その時、矢をズギャーンって矢を撃ったのよ、それが致命傷になって・・・。」
と話が山場を迎えた頃、
「皆さん、料理が出来ましたよ。」
まゆきが夕食が完成したことを知らせてくれる。さっそく、2日ぶりに6人で、食卓を囲む。
夕食の料理は、粥状の野菜スープと肉と野菜の串焼きであった。その食欲をそそる匂いに、唾液腺が刺激される。
「いただきます。」
と皆で言うとすぐに、僕は肉に齧りつく!!
濃厚な旨味が口の中に広がっていく。そして、一言!!
「うまいっ!! 」
その言葉を聞いて、テラとまゆきは嬉しそうに微笑む。皆もおいしいと、口々に呟きながら無心に食べ進める。
そして、野菜スープをスプーンを入れ込むと、ごろっとした肉の感触があった。掬ってみると、ぷるっとした心臓らしき肉片が出てくる。
それを口に運ぶ。すると、野菜の旨味と一緒に弾力のあるコリコリとした食感が見事にベストマッチしている。これも、
「うまいっ!! 」
そうして、珍味のクマの味に舌鼓しながら、皆、料理を完食するのであった。
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