270.アキラ、腹が鳴る。

 気が付けば、自分はベッドで仰向けに寝ていた。身体には包帯が巻かれているような感覚があり、思うように寝返りがうてない。




一瞬、ここがどこだかわからくなったが、すぐにここがテラの家だと理解する。森で倒れたはずなのに、どうしてここにいるか不思議に思っていると、




「アキラさん、やっと起きてくれましたね。2日も目を開けないので、心配しましたよ。」




そう言って、横に座っていたテラたちが僕が起きたことに気付く。




「テラ、僕はどうしてここに? 」




僕の問いかけにテラは、ニコリと笑い答える。




「ハチが教えてくれたんですよ。」




そう言って、事の経緯を話してくれる。どうやら、意識が途絶えた後、ハチが皆のところまで走っていき、助けを呼んでくれたのであった。




ハチがいなければ、非常にもっとまずい状況になってたなと考えるとハチの賢さに救われた。




そんなことを考えていると、突如、腹が痛みだす。




『グゥ~~~~~!! 』




と腹が叫び狂う!! その音を皆が聞いていた。まゆきが察して




「少し遅いですが、朝食にしましょうか。」




それから、胃に負担のかからない粥を作ってくれて、赤子のように介助されて食べる。




「フゥー、フゥー。」




とテラが慣れた手つきで、まだ熱い粥を適温に冷ます。そして、食べさせてくれる。




 しばらくした後、粥を食べ終わる。すると、精霊さんが




「宿主、おはようございます。」




と話しかけてくる。




「おはよう。今、起きたところ? 」




そう聞くと、




大分前から起きていたという解答が帰ってくる。どうやら、声をかけつらかったようで、今になって話しかけてきたと言う訳だ。




「宿主、緊急時によりご報告していなかったのですが、免疫力と消化良好、頑丈のスキルが向上しました。」




なんとなくそんな気がしていたが、やはりそうだったかと納得する。スキルがなかったら、今頃助かっていなかっただろう。




「それで精霊さん、動けるようになるまでどれくらいかかりそう? 」




と今、一番気になることを聞く。精霊さんは少し間を置いて答える。




「宿主の状態を見るに、三日といった具合でしょう。」




つまり、三日はまたあの羞恥プレイを受けなければならないのかと、とほほになりがらも、今は生きているだけ良しと思うのであった。




しかし、事態は急を要し、彼に傷を癒す時間などを与えないのであった。

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