264.アキラ、漬け込む。

 突拍子もない行動に、もう1人は驚いた様子で馬を止める。その間に、盗賊と取っ組み合い、奴の首にナイフを突き立てる。




「あああああああああ・・・。」




と盗賊は声を出しながら、血を噴き出す。次の瞬間、状況を理解したのか残っていたの盗賊が弓でこちらに狙いを定めて、矢を射る。馬上で逃げ場がなく、射られると思った瞬間!!




水の盾が、目の前に現れる。アルテシアの魔術が間にあったようで、なんとか防ぐ。盗賊の持っていたナイフを手に取り、もう1人に向かって投げる。




ナイフは異能の奇妙により、不自然な軌道を描きながら心臓部分に突き刺さる。透かさず、ハンターセンスで周りを警戒する。




すると、まだ飛び掛かった盗賊に微かな反応を感じる。しっかりと止めを刺しておく。これで、安全を確保したことを確認して馬車へと戻る。




幸い、彼女たちに怪我はなかったようで安心する。




「アキラさん・・・。」




そう言って、テラが僕にぎゅっと抱きつく。テラはこういうことは、初めてだったようで、華奢な身体が震えていた。




そんな彼女をに対して、出来ることはそばに居てあげることであった。




 それから、テラも落ちつきスゥースゥーと寝息を立てながら、寝てしまう。そうして、帰りは盗賊の襲来があったがなんとか無事にテラの家へと帰りつくのであった。




さっそく、買ってきた石灰を使い、皮をなめす作業を再開する。




まずは、水を張った樽に、石灰を投入する。




「あぁ!! ほしいのか! もっとほしいのか!! 」




そう言いながら、過飽和濃度まで投入したら水に漬けていた皮を入れておく。塩基により皮を膨潤されてゆるめられてほぐされると、共に毛・脂肪・表皮層を分解除去する。




これがしたかったのよ。これがそう思いながら漬けておく。




漬けている間に、リフェルベ村に行くことにする。マウリさんとの約束を果たすためである。村の村長は、僕が了承したらならいいだろうと言うことで、快諾してくれる。




さっそく、マウリさんに報告の手紙を出す。もちろん村長の娘さんに文章は書いてもらう。


そうして、家に戻って石灰漬けしておいた皮から、表面層の分解物、脂肪などをそれ専用の道具を使って洗浄する。




最後に石灰漬けで塩基性の皮をどうにかして、中和させる作業。そこで役立つのが、以前漬けておいた梅酢である。




漬けておいた梅漬けの蓋をとれば、辺りに酸っぱい匂いが充満する。これなら、中和させられそうだと期待する。


それから、樽に梅酢と水を適量入れて、酸性水溶液の完成である。そこに塩基性の皮を入れて漬け込んでおくのであった。

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