249.アキラ、木を焼く。
収穫はあった。洞窟に住んでいたヒトもどきは、海に住まう同族との交易をしていたことがわかった。
それがわかっただけでも、良しとしよう。詳しい年代測定などできたら、いいのだが、
「精霊さんや、精霊さんや。年代測定できるスキルってある? 」
そう一応聞いてみるが、
「ないです。」
夢も希望もない答えが返ってくる。ちょっと期待してただけに、残念である。彼らは、一体どこへいってしまったのだろうか。
今回の一件でその謎が、より強く残ったのであった。
ともあれ一旦、洞窟調査を切り上げて、僕は家へと帰る。
「ただいま・・・。 」
と家に帰れば、皆は農作業をしていた。
「ああ!! アキラさん、おかえりなさい!! 」
とテラがこちらに向かって走ってくる。尻尾をフリフリとしながら、全身で喜びを表して、ぎゅっとハグをしてくる。
あら~~可愛いね。と思いながらそのハグを甘んじて受ける。だが、ハンターセンスが敏感に危険を察知する。テラはクンクンと匂いを嗅いでくる。
あっ! これは・・・そう思った時には遅かった。
「アキラさんから、知らない女の人の匂いがします。それと香ばしい匂いも。」
とテラは、恨めしそうに呟く。すぐにその言い訳を考えるが、思いつかず。本当のことを吐いてしまう。
「すぐにわかるんですから、今後はそのようなことはしちゃ駄目ですよ!! 」
そう言いながら、彼女はこの事を皆には秘密にしてくれた。だが、僕は恐怖に怯えた。この話題の時のテラの目が無なのに、恐れおののいた。
次やったら、確実に殺される。そんな危機感を覚えるのであった。
その後、家で一息ついた後、途中で放置していた家作りを本格的に再開させる。
良い具合に材木は、水分を失っており建てるのにもってこいの状態になってる。いいね、いいね。さぁ、作るか。
そう言いながら、焚火を起こして柱にする丸太の根元を焼いていく。
なぜ焼いているかというと、木を腐らせるのは菌で、土に埋める部分は、土の湿り気で菌が繁殖しやすい。
こうして表面を焼いておくと、菌が侵入しにくくなるというのを、覚えていたので、こうして焼いている。
イリスとテラが可哀想な目で僕を見てくるが、それは見なかったことにしておこう。テラの家のすぐ横に建物を作るので、実質、増築みたいなものである。
そうして、4本の柱の根元を焼いていく。その熱を冷ましている間に、柱を埋める穴を掘っていくのであった。
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