218.アキラ、梅を漬ける。

 さてさて、収穫した梅を家へと持ち帰る。カゴいっぱいの梅が採れたので、僕的に大満足である。




「それでは、これより梅干し作りをしたいと思います。」




そう高々に宣言する。まぁ、祖母が作っているのを横で手伝った記憶を頼りに、祖母の梅干しを再現してみるのである。




まずは、梅水洗いだ。アルテシアが魔術で水を出してくれるので、きれいに梅を洗浄していく。




「本当に、アルテシアの魔術はすごいなぁ・・・。本当に居てくれて助かるよ。」




と褒めると、顔を赤くして、




「そ、そんな、もうアキラ様ったら・・・、褒めすぎです。」




そう呟く。もっと自分に自信持ってええんやで!! 




アルテシアが梅を水洗いしてくれている間に、梅をつけておく樽ときれいな布を煮沸消毒しておく。




梅干作りで大敵なのがカビなので、使う道具類は熱湯で消毒しておく必要がある。カビったら食えなくなるからね、しっかりしとかないといけない。




次に、痛んでいる梅などを選別しながらヘタをとっていく。




「旦那様、こんな感じでしょうか?」




そう言って、まゆきが器用にヘタをどんどんとっていく。やっぱ、エルフって手先器用なんすね~、もうこれまゆきにやってもらった方が、確実で早いんじゃないかと思ってしまう。




 さぁて、ここから楽しい楽しい塩振りタァーイム!!




樽にきれいな布を敷き、底に塩を一掴み振る。次に梅を平らに並べて、その上にまた塩をふる。




これを交互にやり、塩と梅を入れていく。梅と梅に隙間が無いように塩を入れて、上に行くほど塩の量を増やしていく。




手の水分が塩に吸われていく気がする。




「そ、そんなに塩入れるんですか!? 」




とテラが驚いている。そりゃ、梅干しですからね、これぐらい使いますよ。




一番上で隠れるまで塩を入れたら、その上に落し蓋を乗せる。




そして、あらかじめ消毒して置いた重石の代わりの物を乗せたら、はい、仕込みは完成!!




あとは、このまま一か月置いておけば、梅漬けの完成だ。それを何日か干せば、やっと梅干しが出来上がる。まぁ、梅干しと簡単に言っても意外と手間がかかっているのだ。




大体こんな感じだったかなと、我ながら、うまく再現できたのではと思う。家の中は、梅のほのかな香りでいっぱいだ。




梅漬けを作る過程でできる梅酢も、重要である。それさえあれば、いろいろ料理などに使えるので、同じ味に飽きてきた頃に大活躍するであろう。




そうして、おばあちゃんの知恵を借りて、梅干しを作る僕なのであった。

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