205.アキラ、執念を知る。
この国の文献は、調べるだけ調べた。次にすることは、何かとないかと考える。とりあえず、一旦、家に帰るかと考える。
そりゃねぇ、未知の事に知的好奇心が騒いだけど。ひとつ大事なことを忘れていた。そう、テラの家のことだ。
テラはなにかあれば、ぼぉーと外を眺めていた。その様子を見て、僕はふと気が付く。
「あ、やべぇ・・・。家のことすっかり忘れていた。」
人付き合いが苦手なテラの人柄を考えると、自分の意見を押し殺していたに違いない。なんでもっと、早くに気付いてあげなかったのだろうと、
不甲斐ない自分に喝を入れながら、テラの家に戻ることを、皆に提案してみる。テラの表情がぱぁーっと明るくなる。
ほかの者たちも、城での生活に飽き飽きしていたところだったので、この提案をすんなりと受け入れてくれた。早速、皆で荷物をまとめ始める。
「宿主、スキル【執念】の説明をまだしていませんでしたので、この時間を持って、説明してもよろしいでしょうか?」
と精霊さんが言うので、それを聞きながら、荷物の準備をする。
「スキル【執念】は、目標の対象物を、見つける確率が大幅に上がります。なお、発動条件は、任意でありますが、使う為には生き物を一定数、殺さなければなりません。一回に付き、ざっと100体ほどです。」
そう言って、【執念】に関しての概要を説明してくれる。
「それってモノでも、効果あるの?」
と聞くと、
「はい、ございます。」
と言う。もしかすると、このスキルを獲得したのは、幸運なのかもしれないと、この時思う。
そうして、荷物を準備が完了するのであった。
その日の昼には、城を出発し、一行は東へと向かうのであった。道中は、何事もなく進んでいき、ついに、テラの家に到着する。
彼女の家に、いつぶりか帰ってきた。自分の作ったシェルターは、奇跡的に壊れておらず、そうじをして使えるようにする。
そうして、一通りやることを終えた僕は、新鮮な肉を求めて狩りに出かけるのであった。
この森で、狩るのも久しぶりである。成長した自分が、どれほど強くなった試してみる。ハチが獲物の匂いに気付いて、先に進む。
その後を追っていくと、足跡を見つける。ここでは、見た事がない足跡だ。それは、まるで豚の足跡のようであった。
ふと、考える。今、ハチが追っている獲物は、もしかしてあの生き物なのかも知れないと思った瞬間、俄然やる気が湧いてくる。
この世界でも、逞しく生きているのだなと感じながら、探していく。途中、土が掘り返されている場所を通った時、その予想は確信に変わる。
「ふふふ・・・、待ってろよ。牡丹鍋・・・。」
と僕の猛り狂う食欲が、そう呟くのであった。
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