172.アキラ、決まる。

 さて、狼の名前も決まったことだし、作業の途中だったベッド製作を、再開する。残りの切り出した木材を、拠点に運び入れる。




狼のハチは、寝そべりながら、その様子を眺めている。前に、シェルターのベッドを作った要領で、作っていく。




今回は、板状の面を上にして、木々を隙間なく並べていく。そして、木の板がベッド状の大きさになったら、木材の端と端を、蔓で固定していく。




そして、ただ板を並べただけだが、簡易的な床ができる。そこに、寝袋を敷いて、簡単なベッドの完成である。




これで、ベッドは完成したし、食料はまだ大丈夫だし、水も確保したので、少し、生活に余裕が生まれる。




 それにより、考える余裕が生まれてしまう。あの二度も敵わなかった死神のことを考えてしまう。ここも、いつかは見つかってしまうだろう。




今度も逃げるという、保障はない。でも、一体なにをすればいいか、わからない。やはり、敵わないのだろうかと考えてしまう。




「宿主、相手は同じ人間ですよ。勝利の糸口を一緒に、探しましょう。」




精霊さんが、柄にもなく、僕を励ます。そうだ! 前回の戦いで、姿は確認して、奴も実態していることはわかったんだ。




僕は幽霊と戦っているわけではない。生身の人間と戦っていたのだ。




ならば、どうやって、本体を見つけ出し攻撃するか、そのことを考えなければならない。しかし、わかりません。




例え、前回と同じように、雨が降る状態になったら、本体を見つけられるが、奴は動かなくてもしなくても、先制攻撃できるようになる。手詰まりになってしまう。




逆に、晴れた状態では、動かなければ、先制攻撃されることはない。しかし、本体の場所がわからないという、問題が生じる。これでは、いずれ、攻撃されて、前々回のように、死にかけになる。




う~~ん、詰んだ。そう思う、まるで、真っ暗な状況から、敵を見つけるようなものだと、思う。




すると、精霊さんが、




「宿主、方針が見えないことは、理解できます。それならば、今の異能を習練して、技能をつけるというのは、どうでしょうか。」




と提案してくる。たしかに、今、できることは、異能やスキルのレベルアップしかない。技能を高めれば、何か攻略の糸口が見つかるかもしれないと方針が決まる。




その一筋の希望に、すべてを賭ける。さて、まずは、応用が利きやすい弓術を、練習でもしていこうかと考えて、行動するのであった。

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