149.アキラ、格闘する。
ああ、前門の虎、後門の狼とはまさにこのこと。こういう戦いに慣れていない僕は、近くの部屋に滑り込んでいく。
そこは、窓の付いた小部屋だった。外に逃げれるかと思い見てみるが、この高さで落ちたら死んでしまう。
そう思い、一度躊躇う。しかし、イーグルビューで見てみると、外の奴らは近づいてきており、ここが調べられるのも時間の問題と判断できる。
僕は決死の覚悟を決める。
『ガシャーン』
窓の割れる音が響く。その音に男たちが気付き、部屋の近くに集まってくる。
リーダー格らしき男が、
「今の音は・・・一体なんだ? 見て来い、カロダ。」
そう言って、部下らしき者に命令する。カロダという者は、手にナイフを持ち、そのまま部屋に入る。
『ピューーー』
と冷たい風が吹きつける。部屋の窓は破られており、カロダは窓の外を見て、すぐに状況を理解する。そして部屋の外にいる男たちに告げる。
「奴は外に逃げました。」
男たちは足早に去っていく。その音を聞きながら、ちゃんと上も見ないとね、と思いながら、僕は張り付いていた天井から降りる。
一瞬、窓の外に出ようと考えたが、昔、見た映画を思い出し作戦を変えたのだ。
そして、襲ってきた奴らのことを考える。多分、だが、奴らはアクリバートンの手先という結論に至る。
「さて、精霊さん。お部屋に戻りますか。」
そう言って、僕は大急ぎで部屋に戻るのであった。
部屋につくと、一人の男が今にも、リーシェに刃を突きたてようとしていた。
「精霊さん!! 」
と言いながら、渾身のタックルをその男に喰らわす。その振動にリーシェが飛び起きる。彼女は寝ぼけて辺りを見回す。そして、目の前の光景に怯え、壁に張り付く。
その間に、僕の身体を電流が流れて、自然に手足が動く。
男が怯んだ隙に、精霊さんが強烈な蹴りをお見舞いする。これに手ごたえを感じて、やったかと確信するが、男はまだ立ちあがる。
そして、刃物を振りかざし、僕に迫ってくる。恐怖を感じながらも、それを紙一重で避けていく。
精霊さんの回避スキルに、賞賛を送りたいところだが、今はそれより、こいつを倒すのが、先決だ。
僕は、近くにあった椅子を持って反撃に転ずる。しかし、すぐに椅子は壊れて、木片だけが手元には残る。
それで攻撃を防ぎながら、反撃の機会を窺う。ナイフの攻撃により、鋭利に尖った木片に、ありったけの電流を流んで、男に投げつけた。
『ビリ』
と肉が焼ける音があたりに響く。その木片は、男の胸に突き刺さる。男は胸を抑えながら、その場に倒れ込むのであった。
段々と男の顔色が悪くなっていき、そして息絶える。その様子を見ていたリーシェは状況が飲み込めていないでいた。
そんなリーシェの肩を持ち、
「直に、ここも危ない。逃げるぞ。」
と状況を無理やり理解させて、この場から逃げるのであった。
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