148.アキラ、付けられる。

 ウグリナスは、喜びながら僕の手を握りしめて、




「アリクバートンの奴は、シカ教を自分の私物のように扱っている。私はそれが許せない。奴は、教皇の代理という立場を言いことに、金に物を言わせて勢力を増している。




勝手に自分が発行する免罪符を買えば、それまで犯した悪行が清算されることや異邦人の血を捧げることも、善行などとと触れ回わっている。




それでは、今まで熱心に信仰し続けていた貧しく異邦人の血を持たぬ教徒たちがあまりにも酷だ。」




そう言って、涙を流しながらアクリバートンの悪行を訴える。確かにそれはひどい話だと思いながらも、このシカ教を通じて異邦人探しをしていたのかと確信する。




もしも、僕以外にも異邦人の血が濃い者がいるとしたら、その先祖は僕と同じように異世界から来たということになる。




その分布の因果関係から、何か帰る手掛かりが掴めればと考える。その情報を得るためにも、アクリバートンを吐かせる必要があるという結論に至る。




私は、ウグリナスに提案する。




「その話を聞いて感服致しました。なんとしても奴を権力の座から引き下ろさなければなりません。そのためならば、私はどんな汚い手も使うことをここに誓いましょう。」




と渾身の演技を披露しながら、ウグリナスに共感したと思わせる。




その姿に、ウグリナスはうっすらと笑みを浮かべる。精霊さんが、そのことに対して、




「本当に民衆のためなのでしょうか。」




と呟く。その言葉に僕は答える。




「どっちでもいいよ。僕はただアクリバートンに近付ければそれでいい。」




こうして、晴れてウグリナス陣営に正式に招かれたのであった。




 リーシェに連れられて、ウグリナスと別れる。その様子は監視している奴らも見ていただろう。




そして、近いうちにアクリバートンは仕掛けてくると覚悟し、僕は部屋に戻るのであった。




目が覚める。隣にはリーシェが寝ている。ハンターセンスが危険を察知して、僕を起こしてくれたのだ。少し、外を散歩しに出かける。その後を、2人組が付けてくる。




月明かりに照らされた夜の城は、神秘的でどこか恐ろしさを醸し出していた。歩いていると、ほかにも男たちが近づいてくる気配を感じる。




その男たちは段々と近づいてくる。ハンターセンスがさらなる危険を知らせる。どうやら、彼らは今日、僕を葬る気なのだと察知し、僕は走って逃げるのであった。それでも、彼らの仲間が目の前に立ちはだかるのであった。

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